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63話 純粋な無間地獄。


 63話 純粋な無間地獄。



「……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!」



 繰り返し続ける道中で、

 センは、何度か発狂した。


 言葉では表現しきれない痛みの底で、

 センは、もがき、あがき、苦しみ続けた。



「あああっ! うぅうう! うぁあああっ!! いつまで! いつまで! いつまでぇええ! いつまでやればいいんだよぉおお! いい加減にしてくれぇええええ!」



 何度も発狂した。

 喉がつぶれるほど叫んで、

 頭を両手でかきむしった。


 血染めの悲鳴で一杯になって、

 くたびれた魂魄が本気のSOSを叫んでいた。



 ――それでも、降りないのは、なぜだ?



 と、自分に対して問いかける。

 答えは返ってこない。

 センの奥にいる自分は、

 いつだって、だまったまま、

 センを睨みつけているだけ。


「……うっっ……ぜぇなぁ……っ」


 かみしめた奥歯から血が出ても、

 壊れるほどのタメ息に溺れても、

 『答え』というナニものかには、

 いっこうに届いてくれやしない。



「すぅ……はぁ……」


 ずっと発狂しているわけではない。

 諦めて、受け入れて、心を殺して、無になったふりをして、

 ひたすらに積み重ねている時間の方がずっと長い。


 というか、そう言う時間が長いからこそ、

 時折、どうしようもなく苦しくなって、

 喉をつぶしながら叫んでしまうんだ。



「……俺はヒーローじゃない」



 そんな言葉を救いにしていた。

 自分が何者であるのか、

 そんな定義に固執しても、

 特に意味なんかないんだって、

 本当は理解しているのに、

 いや、きっと、誰よりも理解しているからこそ、



「俺はヒーローじゃない」



 そんな言葉を、

 どうしようもない戯言を、

 どうしても、

 口にしてしまうんだろうと思う。



 そうやって、さらに積み重ねた数十年。


 ――全部で『3000回』のループ。


「……まだ……勝てない……?」


 センの問いかけに、

 ヨグシャドーは、


「勝てるわけがない」


 いつも通りの、冷たい言葉で返すだけ。


 センは強くなった。

 人間の視点では理解不能なほどに、

 すべてが研ぎ澄まされていた。


 限界を何度も超えて、超えて、超えて。

 そうやってたどり着いた修羅の最果て。


 けれど、この気が遠くなる領域に到っても、

 しかし、まだまだ、センの力は、

 トゥルーエンドには届いていないのだ。



「……つらいなぁ……」



 大声を出す気力もなくなった。

 積み重なった日々に押しつぶされないように、

 必死になって歯を食いしばるだけの日々。


 時間が、重くのしかかる。

 ストックしている銀の鍵は、300以上。


「……あ、また見つけちまった……今ある300でラストじゃないのか……」


 銀の鍵は、まだまだ見つかった。

 終わりは見えない。


 ここまで積み重ねてきて、

 しかし、まだ、この地獄は、

 『序盤に過ぎないのでは?』と、

 どこかで、感じ始めていた。


 楽観的な予想はいつだって盛大に外すのに、

 イヤな予感というのは、基本的に当たってしまう。


 そんな人生に嫌気がさして、

 けど、それでも、どうしても降りられない。


 そんな自分の性格・性質を呪いながら、

 センは、さらに、繰り返した。


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