表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

620/941

25話 センエースは、なぜ、立つのか。


 25話 センエースは、なぜ、立つのか。


「なんで、俺ばっかり! どうして、俺ばっかりが、こんな苦労をしないといけないんだ! しんどすぎるんだよ、ずっと、ずっと、ずっとぉおお! いい加減にしてくれぇええ!」


 センエースの悲鳴を、

 ヨグシャドーは、黙って見届ける。


「もういいだろぉおおおおお! もういいはずだぁ! 俺なら許可をもらえるはずだっ! 諦めていいはずだろぉ! なのにぃ! なのにぃい! なのにぃいいいいい!! なんでぇえええええええええ!!」



 ユラリと、センの肉体が動いた。

 絶望の『底』で、センは蠢く。

 みっともなく、涙と鼻水をたらしながら、


 それでも、どうにか、

 必死になって立ちあがり、



「はぁ、はぁ……」



 呼吸あらく、涙のかすむ声で、


「はぁ……はぁ……くそったれ……なん、で……立つんだよ……」



 ぶつぶつとつぶやきながら前を見る。

 中心が折れそうになっても、気付けば、いつだって、拳を固く握りしめていた。


 そうやって、センエースは生きてきた。

 『こういう生き方しかできない』というわけではない。

 別に、このまま『動かない』という選択をすることだってできるのだ。

 ――しかし、それだけはしない。

 絶対にしてやらない。


 意志の問題。

 意地の問題。

 感情の問題。

 覚悟の問題。


 色々な問題を心に抱えて、

 センは、今日も顎をあげて前を見る。



「……俺は……ヒーローじゃない……」



 その言葉を受けて、

 ヨグシャドーは、


「ああ、知っているさ」


 と、輝きを伴う言葉で応える。

 センは、奥歯をかみしめ、


「それでも……」


 銀の鍵を握りしめる力が強くなる。

 ギュウギュウと、拳の中で圧迫される。


 そこで、センは、深呼吸をする。

 深く、長く。




「……俺はまだ……頑張れるっっ!!」




 覚悟を叫ぶ。

 その叫びに、銀の鍵が呼応する。


 ふたたび、

 センエースは、時空の旅に戻る。


 ――地獄は終わらない。






 ★






 一日目の朝に戻ったセンは、


「……なんで、戻るかねぇ……あの場で死んでおいた方がはるかに楽だってのに……」


 ぶつぶつと、自分の選択に文句をいいつつ、


「……まあ、いい。そんなことを言いながら、どうせ、俺は、同じ選択肢を取り続ける。なんせ、すげぇバカだからな」


 などと言いながら、

 自分の強さやアイテム等が、

 すべて、『確実に持ちこされているか』を、

 シッカリと確認していく。


「全部あるな……俺の強さはアウターゴッド級。今の俺なら、ニャルが召喚するクルルー・ニャルカスタムぐらいなら余裕で殺せるだろう」


 などと、この先の事を考えつつ、

 スマホのインカメラで自分の顔を確認するセン。



「……10代の俺、若いなぁ……なつかしいねぇ……こう見るとあれだな……『30代のころの俺』って、若干、生え際が後退していたんだな……俺、おそらく、50代になるころには、M字型にハゲるな……いやだなぁ、ベジ〇タにはなりたくないなぁ……」



 などと、オッサンくさいことをつぶやいてから、

 カメラモードから、電話モードに切り替えて、

 黒木に電話をかけた。


 数回のコールのあと、


「……はい……誰ですか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ