表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

609/941

14話 定まった人類の方向性。


 14話 定まった人類の方向性。


「センエース……貴様に勝つために……これだけ準備を整えてきた……それでも勝てないのは……なぜだ……」


「俺が積んできたモノが、お前の準備を超えていた。疑問を抱くまでもない話。小学生の算数のドリルよりもシンプルな理論だ」


 たんたんと話すセン。

 そんな彼に、イブは、


「貴様は……異常だ……」


 最後にそう言い残して目を閉じた。

 観念したイブを、

 センは、図虚空で喰らい尽くす。


 その瞬間、

 世界中のまぶたの裏から、

 センとイブの姿が消えた。


 もちろん、苦痛も綺麗サッパリ消えている。

 全人類が、理解する。


 自分たちは救われた。

 この星に存在するすべての人間が、

 センエースに救われた。



 ――その理解に届くと同時、

 人類の感情は、一つにまとまった。


 完全なる一つではない。

 そんな概念は存在しないから。


 しかし、方向性が一つに定まることはありえる。


 『センエースに対する畏敬』


 感謝すべき人、

 おそろしい人、

 などなど、ベクトル的には、色々と思うところはあるだろうが、

 しかし、心に生まれた『畏敬の念』だけは共通していた。


 この世の誰もが、

 『センエース』という概念の全部を、おそれうやまう。


 『人類全員が、束になってかかっても敵わない化け物』


 その化け物が、


 『信じられないほどの高潔さでもって、自分達を守ってくれる』


 という『理解』に届く。

 その理解は、『深い安心感』に直結する。

 これまで感じたことのない安らぎを感じた。


 胸の中に、『支え』ができた気がした。

 これまでは、『一人で生きてきた』と、みなが、ずっと思っていた。


 家族や友人など、他者とのかかわりはあるものの、

 しかし、結局のところ『人間は一人だ』と思ってきた。


 それは事実であり、その事実は、今も変わりないのだけれど、

 しかし、彼・彼女たちは思う。


 ――自分は一人ではなくなった。


 目を閉じれば、心の中にヒーローがいる。

 すでに、イブの魔法は消えているので、

 まぶたの裏に、明確な映像として映し出されることはないけれど、

 心には焼き付いている。


 ボロボロになりながら、

 自分たちの苦痛と絶望をすべて背負って、

 必死に、健気に、献身的に、

 全身全霊で救いの手を差し伸べてくれたヒーローの雄姿。



 胸に抱いた心の『支え』は、

 今日を頑張りぬく理由になった。

 明日と向き合う動機になりえた。


 不安定だった人類は、今日、この時をもって、

 絶対的な精神的支柱を得た。



 人類の明日は、おどろくほど美しく輝いていた。






 ★





 ――祭りになった。


 公式メディアも、もちろん盛大に騒いだが、

 ネットの世界が爆発的なお祭り騒ぎの様相を呈する。


 『センエースがガチで人類の王様だった件』


 『奇跡を中心とした話術』で民衆を扇動するワケでも、

 『悟ったような真理』で死後の救いを説くわけでもない。


 純粋な『肉体言語』で人類を救い散らかしたヒーロー。


 無教養でも一発で分かるその明快さが、

 やはり、センエース教の一番の醍醐味だと言えよう。


 もはや、センエースは完全な教祖だった。

 もちろん、中には、センエースのことを『対エイリアン用の最終決戦兵器』としてしか見ない者も、いないことはないが、しかし、大半の者は、センエースのことを神格化させて、崇め、奉るようになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ