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87話 K5級の潜在的ワガママ力。


 87話 K5級の潜在的ワガママ力。


「今日より、私は、あなたのために生きることを誓います。この上なく尊き王よ。私の命は、常に、あなたと共に在る」


「あ、間に合ってまーす」


 と、ゾーヤを刺激しないよう、

 にこやかに、やんわりとお断りを差し込んでいくセン。


 ――が、そんな声が、ゾーヤの耳に届くはずもなく、


「もちろん、服従の意を示すのは私だけではなく、300人委員会の総意です」


「……人の話聞いてる? 『間に合ってる』っつってんだよ。あと、独断で、勝手に総意を掲げちゃダメじゃない?」


「目を見ればわかります。ここにいる全員が、すでに、あなたに陶酔している。このに及んで、いまだ、その域に到っていない真正の愚者も、どうやら何人かおるようですが、それほどの愚者すらも、あなたに最低限の畏怖は抱いている。あなたこそ……いえ、あなただけが、人類の王にふさわしい」


「よし、では、王として、最初の命令をくだす。耳の穴をかきわけろ。一言も聞き漏らすな」


「なんなりと、我が王よ」


「今日、この瞬間をもって、俺は王という役職を辞任する。短い期間だったが、俺のために尽くしてくれてありがとう。というわけで、後釜を探しておいてくれ。『俺ていどに出来た仕事』ということは『たいていのやつに出来る雑用』ということだから、後釜を見つけるのもたやすいだろう。――これが王としての最後の命令だ。頼んだぞ、ゾーヤ」


「さっそくですが、偉大なる王の誕生を世界にあまねく公表したいと考えております。すべてのメディアをフル稼働させ、情報統制の周知徹底を図り、遅くとも、三日後までには、『センエース』という『この上なく尊き名』を知らぬ者は一人たりとも存在しない、という状態にまで持っていきたく――」


「人の話を聞こうか、ゾーヤさん、俺は、もう王ではなくなったんだ。王の命令は絶対。だから、王の辞表も絶対。わかるな? わかってくれるな? すでに、俺の退位は、ゆるぎない決定事項で――」


「もちろん、これより、あなたの命令は絶対。今後、私は、死ぬまで、あなたが望む全てを叶え続けます。それが、王の側近に就任した私の責務だと心得ております」


「……す、すごい……この自称側近レディ……K5級に人の話を聞かない……あるいは、潜在的なワガママ力もK5クラスかもしれない……」


 これまでのループでは、

 『ゾーヤと関わること』が少なかったので、

 その実質を知る機会はなかったが、

 このたび、直で対面したことで、

 センは、彼女の異常性を理解した。


 絶対に揺るがない、頑なな自己主張力。

 決して乱れることのない鋼の


「俺のまわりにいる『女』は、どうして、こう、いろいろと、ヤバいヤツばっかりなんだ? なんでだ? おしとやかで控えめで口数少ない常識力バリバリの大和撫子はどこにいる?」


 『本当に欲しいもの』だけは、いつだって、どうしても手に入らない。


 どれだけ強くなろうが、

 どれだけの地位を手に入れようが、

 王になろうが、神になろうが、

 本当に欲しいものだけは、絶対に手に入らない。


 ――それが、世界のコトワリ。

 この世界の絶対的な真理。


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