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15話 カレー男は見た。


 15話 カレー男は見た。


 『センが腰かけていた席』に向かって、


「お疲れ様です」


 そう言いながら、深々と頭を下げた佐田倉。


 そんな佐田倉に、

 『センが瞬間移動した瞬間を見逃さなかった男』が、

 食べていたカレーを放り投げて、


「ちょちょっ……さっきの少年、消えた? え、消えた? 消えたよね? なに? え? 神隠し?!」


 などと、詰め寄ってきた。

 佐田倉は、まっすぐな瞳のまま、


「神隠しだなんて、そんなチャチな現象じゃねぇ。あにさんは、世界を救うために、『今日』を積みにいった。あんたが知らない世界の深淵で、兄さんは、必死に戦っている。俺達のような、弱い命のために」


「……えっと……それは……どういう厨二? ぃ、いや、今は、お前の『痛さ』よりも、さっきの少年の神隠しの方が重要だ! 信じられない! 別に、見ようと思っていたわけじゃなく、本当にたまたまなんだが、俺は、さっきの少年が消えるまでの一部始終をずっと視界にとらえていた。だから、わかるんだ。彼は、本当に消えた。消えたんだよ。お前も、それを、目の前で見ていたよな? な?! 信じられない! 超常現象って、本当にあるんだな! 俺、幽霊とか、占いとか、そういうのは、一切信じていなかったんだけど……さすがに、目の前で、こういうことがあると、考え方かわるよなぁ……」


 謎に興奮しているカレー男を横目に、

 佐田倉は、


「兄さんを知れば、もっと、考え方は変わるはずだ。それまでの人生を猛省するだろう。もっと頑張れたはずだ。もっと出来ることはあったはずだ。削れた無駄時間があったはず。努力に割り当てられる有意義な時間がもっとあったはず。正しく時間を積んできていれば、もっと役にたてたはず……」


 そう言いながら、

 自分の両手を見つめて、


「俺には何も出来ない……兄さんが、あれだけ頑張っている間……俺は、何も出来ない……世界のために、あれだけ頑張ってくれている英雄の『盾の一つ』にもなれやしない……」


 あまりにも重たい空気を放つ佐田倉に、

 それまでは超常現象に興奮していたカレー男も、

 さすがに空気を読み始めて、


「ぇ、えっと……なんか知らんけど……あんまり落ち込むなよ……」


「……てめぇに心配されるほど、俺は落ちぶれちゃいない」


「自分に自信があるのかないのか、どっちだよ!」


 と、イラつきながら叫んだのちに、

 カレー男は、自身のスマホの画面を、佐田倉に見せながら、


「実は、さっきの少年が消えるところを、カメラに収めているんだ。俺、ちょっとしたユーチューバーをやっていてね。『海が見える無駄におしゃれなファミレスで独り飯』ってタイトルで、動画を上げようと思って、カメラをまわしていて……いや、俺の動画投稿計画はどうでもいいんだけど! それより、見てくれ、ほらほら」


 そう言いながら、動画を再生させるカレー男。


「な! な! 消えてるよな?! すごくね?! いや、これ、ヤバいよ! 絶対に、ニュースになるよ! 登録者、一気に増えちゃうよ、まいったなぁ。有名になっちゃうなぁ。金持ちになっちゃうなぁ。何を買おう……やっぱ、車かなぁ……」



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