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17話 どっちもめんどくさい。


 17話 どっちもめんどくさい。


(……K5の中では、こいつと過ごした時間が一番多い。おおよそ『500日』……二年近く一緒にいた……それほど長く時間を過ごしたのに……俺は、こいつのことを、何もわかっていなかった……こいつは、方向性こそ違うが、トコや茶柱に匹敵するレベルでめんどくせぇ)


 渋い顔で、タメ息をつくセンに、

 黒木は、静かに詰めたくヒートアップして、


「あなたに言いくるめられた形でダウジングマシンをしているのは事実ですが、しかし、『閃壱番のダウジングマシンになる』と最終決定を下したのは私自身の意志です。私は私の信念に従います」


 譲らない黒木の顔を見て、

 センは、心の中で、


(こいつは、折れないな……鬱陶しい。もう、いっそ、首トーンで気絶させるか? ……いや、でも、それは気がひける……んー……)


 変なところで律儀な男。

 黒木に対しては、

 『助けてもらっている』という認識であるため、

 『黒木を守ることが前提の首トーン』とはいえ、

 『暴力』で応えるのは『ちょっとなぁ』と思ってしまう。


 もちろん、『超緊急事態』であれば、迷わず実行するが、

 現状だと、ちょっと微妙な感じ。


 悩んだ結果、


(まあ、いいか……ここまできたら、自己責任だ……仮に死んでも、どうせ、ループするしな……)


 と、だいぶ『壊れたこと』を心の中でつぶやく。

 タイムリーパーが陥りやすいダークサイド。


 人類の全滅という地獄を何度も経験してきた結果、

 『命』と『死』に対して、『ひどく鈍感になる』という、

 プラスなのかマイナスなのか、

 突き詰めて考えると、どっちなのか、

 本当にわからなくなる、奇妙な境地にいたったセン。


 変なところで律儀になったり、

 変なところで大胆になったり、

 本当に、忙しい男である。



「余裕がある時なら、気分次第で、手を貸さないこともないだろうが……そんな余裕が微塵もない時は、余裕で、お前を切り捨てるから、そのつもりでよろしく」


「のぞむところです」


 元気のいい返事は、覚悟のあかし。

 センは、もはや、彼女に気を使うことはなく、


「……さて……それじゃあ、行ってみるか……鬼が出ようが、蛇が出ようが、まとめて皆殺しにしてやる。出来なかったら、しっぽを巻いて逃げ散らかす。それだけの話だ」


 などとつぶやきながら、

 センは、次元の切れ目へと足を踏み込んだ。




 ★




 ――数秒ほど浮遊感を感じていた。

 全身がフワフワしている。

 何かが重なっているかのような、

 何かが離脱しているかのような。


(……なんだろう……みょうに心地いい……)


 謎の感覚が落ち着いた時、

 センの視界には、

 広大な世界が広がっていた。



「……ん? ……え、ここ、どこ?」



 反射的に、ボソっとつぶやいたセンに対し、

 後ろにいた黒木が、


「……『異世界』じゃないですか? おそらくですけど」


 と、空や地面を観察しながらそう言った。


「異世界? また、ずいぶん唐突な帰結だな。……なんで、その結論に至った?」


「星の位置が、地球から見えるものとは明らかに異なっています。この草も……見たことがありません」


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