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28話 用事があるので、失礼します。


 28話 用事があるので、失礼します。



「……は……ぁ?」


 あまりの困惑に呆けているばかりの茶柱。


 そんな彼女に、ウムルは半笑いの顔で、


「混沌属性でもついているのであれば、さすがに厳しいところだが、雑にオーラを纏めただけの波動など、その気になれば、いくらでもかき消せる。経験不足の貴様では、イメージすることすら難しいだろうが、魔力の扱いを極めると、こういう事もできるようになるのだ」


「……」


「……『今のフルゼタ』が貴様の『とっておき』だな? 後先考えない『切り札の全投入』……その結果、当然のように、魔力もオーラも、ガクっと下がった。もはや、抵抗はできないだろう? さあ、『露骨な人間アピール』はもういいから、黙ってそこで見ていろ。先ほど宣言した通り、今から、お前を、この思念から解放する」


「……やめ……」


 茶柱は、血を吐くように、


「……やめて……」


 けれど、

 そんな決死の想いなど、


「アピールはもういいと何度言わせる」


 ウムルには届かない。


 その様子を見ていたセンは、




「あのー」




 それまで、我慢して黙っていたが、

 ついに我慢しきれなくなって、


「盛り上がっているところ悪いんだけど、ちょっと用事できたから、行っていい?」


「……」


「私は構わないぞ。好きにしろ」


「あ、そうすか。あざっす」


 感謝の言葉を述べてから、

 ツミカに視線を向けて、


「茶柱。俺が、このまま、ここにいても、役に立てそうにないから、ちょっと失礼させてもらう。別にいいだろ?」


「………………誰も……ここにいてほしいとは言っていない……」


「あ、そ。……じゃ、ま、なんかつーか、色々アレだけど、とりあえず、強く生きろよ。そんじゃ、そういうことで」


 そう言い残し、

 センは、駆け足でこの場から去っていった。


 茶柱は、センの背中を、数秒だけ見送ってから、


「……アレが……人間だ……」


 ボソボソと、


「醜くて、無様で、幼稚で……矮小で狡猾な、ただの気持ち悪い獣……虚栄とおためごかしと自己愛の権化……あれが、あれこそが人間だ……」


 センの背中をモデルに、

 『人間』を語る。


「おそらく、私とあんたが闘っている間に、アドレナリンが切れたのだろう……どうやら、あいつは『純粋な戦闘狂』なんかじゃなく『その場のテンションに左右されやすい』だけの『脳天ハッピーボーイ』らしい」


 『アドレナリンのマリオネット』は珍しくない。

 人は『感情だけ』で動くことも多いから、

 テンションがハネ上がっている時は、

 ありえない行動をとることもある。

 しかし、テンションだけで動いていた場合、

 すぐに『活動限界』がくる。


「少し冷静になって、状況を処理してみたら『このままここにいたら普通に殺される』という当たり前の理解に至って、だから、颯爽と逃げ出した……なんて分かりすい人間。少なくとも、あれは、少年漫画でよく見る『救いのヒーロー』なんかではない。『気持ちのいい勝利』以外に興味がない『勝てる相手』にだけ挑む凡人……」


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