138 大陸制覇完了
帝国の大陸制覇は最後の山場。小国連合の王子ことカラフル王子にラーシュが加わったブンテレンジャーとの戦闘だ。
「私はブラオ王国、ブルー!」
「俺はロート王国、レッド!」
「僕はグリュン王国、グリーン!」
「我はリラ王国、パープル!」
「私は帝国、イエロー!」
5人は腕を大きく回してから、決め!
「「「「「悪は許すまじ。我ら、色彩戦隊ブンテレンジャー!!」」」」」
戦隊物の決めポーズもしっかり決まったら、ブンテレンジャーは武器を構えた。フィリップは満面の笑顔で「ブラボー!」って拍手してるのに。
「いいか? 陛下は最初はナメて掛かって来る。ここで一気に決めないと絶対に勝てない。最初から全力を出すんだぞ?」
「そこまで強いのですか……」
「ああ。全員レベル60の100人で一斉に戦っても負けた」
「え? これ、勝てるのですか??」
「だから最初しか勝てる見込みがないと言ってるんだ。気合い入れろ!」
「「「「はいっ!」」」」
帝国が攻めているのに、帝国人のラーシュがブンテレンジャーを指揮する謎現象。しかしやらないことにはこの場の全員がフィリップに殺されてしまう。
ラーシュの掛け声の後に、ブンテレンジャーは全力フルスロットルで剣や魔法で攻撃を仕掛ける。その攻撃は、見ている者が圧倒するほどの迫力。誰もが息を飲んで見守っていた。
それから5分後、フィリップは旗色が悪いのか後ろに飛んで距離を取った。
「アハハハ! いいねいいね! 君たちいいよ! 僕にこれほどダメージを与えるなんてね! アハハハハハハ!!」
傷付いたフィリップが大笑いすると、ブンテレンジャーに緊張が走る。
「剣だけではさすがに不利だから、魔法を見せてあげるよ。アハハハハハハ」
「ヤバイ!? 陛下が本気になった! 足元からも来るから絶対に気を抜くな!!」
「「「「はいっ!」」」」
ここからはフィリップの氷魔法解禁。まるで氷河期がやって来たような吹雪が吹き荒れるのであった……
「いい! いいよ君たち! 兄貴たちより断然いい!! アハハハハハハ」
ああ無惨。フィリップが氷魔法を使うだけでブンテレンジャーは撃沈。フィリップはなかなか長い時間もってくれたから、嬉しくて馬鹿笑いだ。
「へ、陛下……参りました!!」
疲労困憊のラーシュは白旗を上げるが、フィリップはやめる気はなさそうだ。
「カラフル王子はまだやる気だよね~?」
そう。ラーシュは帝国人。カラフル王子は国の存亡が掛かっているから口が裂けても降参ができないのだ。
「「「「まままま、参りました! 何卒、国民の命だけは~~~!!」」」」
いや、疲れて喋れなかっただけ。カラフル王子は最後の力を振り絞って土下座してます。
「えぇ~。ここからが勇者と魔王ごっこが楽しいところでしょ」
「「「「「はい??」」」」」
「それ、全部飲んで完全回復しろ。魔王、第二形態と行こうじゃないか!!」
「「「「「ええぇぇ~……」」」」」
でも、フィリップは各種回復アイテムを投げ渡して無茶振り。もう負けてしまったブンテレンジャーはやる気はまったくない。
しかしやらないことにはフィリップが何をしでかすかわからない。ブンテレンジャーは回復アイテムを全て飲み干して立ち上がった。
「さあ……勇者どもよ……この魔王を倒してみよ!!」
「「「「あわわわわ……」」」」
「やっぱりこれか……」
フィリップがファフニールソードを取り出すと、カラフル王子はガクブル。ラーシュは見たことがあるのでまだ耐性があるけど怖そうだ。
「逃げるな! 逃げたらマジで民を皆殺しにするぞ~~~!!」
カラフル王子、逃走しようとしたけど、フィリップに怒鳴られて逃げられず。
「「「「「うわああぁぁ~~~!!」」」」」
斯くしてブンテレンジャーは、この世界最強の武器、ファフニールソードのサビになるのであったとさ。
「いや~。楽しかったね~……生きてる??」
ファフニールソードを人間相手に使えたフィリップはニコニコ。でも、ブンテレンジャーは全員血みどろで倒れているので返事がない。
なのでフィリップはブンテレンジャーを一塊に集めて各種回復アイテムをブッ掛けてあげた。それでなんとか意識が戻ったので、飲み物を出してやっと話し合いだ。
「「「「はい? それだけ??」」」」
帝国が行う統治案を聞いたカラフル王子は、本当に血が流れないから固まった。
「最初から言ってんじゃん。ちゃんと情報を集めろって。あの頃と全然変わってないな~」
「いや、その……こんな侵略、初めてで信じられなくて……」
「どこが初めてなの?」
「「「「皇帝が兵士100人だけで乗り込んで来るところから全部ですよ」」」」
そりゃそうだ。嘘みたいな人数で嘘みたいな侵略速度なんだから、勘違いしても仕方ないよね~? この会話が聞こえた人も総ツッコミしてるもん。
「ま、これから王様との交渉は残ってるけど、これでこの大陸は全て帝国の物だ。お前たちも帝国のために働いてもらうよ?」
「「「「はい……」」」」
「嫌そうだな~……それとも毎日僕の遊び相手になってくれる?」
「「「「いえ! 帝国のため、粉骨砕身いたします!!」」」」
こうして最後の難関、小国連合もフィリップの手に落ち、帝国がこの大陸で初めて統一をなした国として、歴史に刻まれたのであった……
「あ、お前ら、皇帝に怪我負わした罰で、連れて帰るからね?」
「「「「ええぇぇ~……」」」」
カラフル王子がフィリップのオモチャになったかどうかは記されていなかったけどね。




