135 お掃除団
大陸制覇、1ヶ国目は、無事陥落。そこの軍隊を西側に集結させて新しい国境線を死守させる。
フィリップたちは娼館で疲れを落としたら、すぐに南下。続いての国はもうすでに負けているボローズ王国なので、王都に寄って西側に兵を集結させ、娼館で疲れを癒したらまた南下だ。
次のハルム王国もすでに落ちているので、兵の指示と娼館に寄るだけ。暗黒騎士団は、この十数日間は戦いもせずに娼館に行ってるだけなので、「何してるんだろうな~?」と思ってたんだとか。
しかし、最南端の国に入れば暗黒騎士団の出番だ。敵兵を蹴散らしている間にフィリップは1人で王都を制圧。
数日後に追い付いたらフィリップは娼館にいたので、またラーシュの説教。フィリップは聞きゃしないけど……
娼館で英気を養ったら西に移動。その国も落としたら北上して次々と国を落として進む。そうして、西に移動して南下していたら、暗黒騎士団はカールスタード王国に到着したのであった。
カールスタード王国では、暗黒騎士団はすんなり入国。どこに行っても兵士が見張ってはいるが、戦闘行為は起きない。
王都に近付いても軍隊のような大隊が待ち構えていないので、ラーシュも訝しんでいる。
「おかしいですね……何か罠があるのではないでしょうか?」
「ないんじゃない? 僕と女王様は体の仲だし」
「そうですね。学生時代には何度も顔を合わせていたのですから、旧知の……最後、なんて言いました??」
「だから、体の仲って」
「はあ~~~??」
フィリップはここの学校に2年間いたのだから旧知の仲ならわかる。でも、とんでもない仲だったので、ラーシュもアゴが外れそうなぐらい驚いてるよ。
「あ、そうか。ラーシュには言ってなかったっけ? クーデターの首謀者、僕だったの」
「はあ~~~??」
「うるさいな~。殴るよ?」
とりあえずラーシュにはカールスタード王国でフィリップがやっていたことを教えてあげたけど、女王の体と引き換えにクーデターをやっていたからまた大声出して殴られていた。
それで思い出話はストップ。暇潰しに聞かせてあげようと思っていたけど、ボエルと娼館の話してる。フィリップがプロデュースしたと言ったら「学校も行かずに何してんだ!」と怒られてた。
そんな感じでほのぼの進んでいたら、王都の門もフリーパス。しかし、王都の中央辺りの広場には、大勢の人間が集まって道を塞いでいたのであった。
「どうやら兵士ではなく、民間人のようです」
馬車を止めてラーシュを走らせたら、このような報告。
「民間人だと手を出せないな~……迂回するか、カールスタード兵にどけさせるか……」
「民間人でもただの民間人ではなさそうですよ?」
「どゆこと??」
「自分たちは『お掃除団』だと名乗っていました。おそらく傭兵か何かかと……」
「お掃除団!? プッ! アハハハハハ」
「まぁ変な名前ですけど、それほど笑うことですか?」
フィリップは笑いが落ち着いたところで指示。ラーシュには代表だと言う2人の男を連れて来させて、フィリップは豪華な馬車の中で待機。
2人の男はろくに武器の確認をされなかったから不思議に思いながらも豪華な馬車に乗り込んだら、皇帝しかいなかったので驚いた顔をした。フィリップは子供にしか見えないもん。
「お前たちがお掃除団って、変な名前の団体のボス?」
おそらく2人は緊張してなかなか喋れないと思ってフィリップから声を掛けてあげたら、ガラの悪い男がドスの利いた声を出す。
「ボスみたいなモノだ」
「んで、何がしたいの?」
「女王様は帝国に屈したみたいだが、俺たちは違う。この国はなぁ、俺たちが必死に戦ってアホ国王から取り戻した国なんだ。帝国に好き勝手させるか」
「お前も同意見??」
次にフィリップは細い男に声を掛けた。
「ああ。女王様は優しい素晴らしい人。俺たちが死ぬより自分の命を差し出すつもり。そんな人に死んでほしくない。俺たちは最後まで戦う」
「ふ~ん……」
フィリップが悪い顔で笑うと、2人は身構えた。
「別に女王は死ぬつもりないと思うけどな~……だって、僕と女王は体の仲だもん」
「はあ?」
「第二皇子だったらありえる。昔、カールスタード学院にいた」
「テメェ! その頃から女王様に手を出してたのかよ!?」
ガラの悪い男が憤って立ち上がろうとすると、フィリップは右手を出して制した。
「一回しか言わないよ? 道を開けろ」
「ふっざけんなよ……」
「誰が敵に道を開ける」
「お前らな~。お掃除団のボスの命令が聞けないっての~?」
「「誰がボスだって言うんだよ!!」」
2人が怒りマックスで立ち上がったところで、フィリップはネタバラし。黒髪のカツラを被ってニヤリと笑った。
「ボクボク。夜の帝王、ハタチ~。戻って来たよ~? オロフもトムも久し振り~」
「「………」」
すると2人は口をパクパクして何も言えない。だってお掃除団はフィリップが創業者。カールスタード王国が民に優しい国に変わったのは、フィリップのおかげなんだもん。
「まぁ座りなよ」
オロフとトムは数分間、顔を見合わせてずっと口をパクパクしてるのでフィリップが座らせた。
「お前たちの気持ちもわかるよ? いい国になったもんね。それでもクリちゃんは僕とケンカしない道を選んでくれた。悪いようにはしないから、信じて」
「あんたが言うならそうなんだろうけどよぉ」
「ボスならもっといい暮らしをさせてくれるってこと?」
「それはなんとも言えない。でも、お前たちの頑張りしだいだ。ま、王都にいる間に顔出すから、その時、今後の話をしようか」
「お、おう……」
「うん」
フィリップはカールスタード王国の大恩人。そんな人間の言葉なのだから、お掃除団は協力して民で溢れ返る道を開けさせるのであった。




