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オレだけクォータービューで戦場を支配する~あらゆるユニットを召喚して異世界を救うキャンペーンのクリアを目指します~  作者: こげ丸


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第27話 究極戦技

 ゴブリンの集落はかなり小規模なものだった。

 上位種もおらず数も40匹ほどしかいない。


 前回同様にスノーウルフエレメントを召喚して、今回は討ちもらしをふせぐために集落を包囲してからおこなった。


 殲滅状況は上空を旋回させているデミファルコンで確認し、もし逃げ出したものがいればそのままデミファルコンに倒させるつもりでいたが、そもそもスノーウルフエレメントの包囲を突破できるわけもなかった。


 これで一つ目の依頼は完了だ。


 うん、もちろん経験値のバーが伸びたかどうかなんて確認できなかった……。

 レベルキャップが解放がされているかどうかの確認は、依頼をこなしていけばそのうちわかるだろう。


「しかし、このレベル帯の敵と戦うのなんてサービス開始当初のレベルキャップ30時代以来だったからな……。完全に敵の強さを見誤っていた」


 今回はかなりの過剰戦力を投入してしまい、集落まるごと瞬殺だった……。


 デミファルコンでの警戒もまったく不要だった。

 よく考えればレベル差があるのでピクシーバードでも余裕でゴブリンの一匹や二匹倒せるしな……。


 ただ、スノーウルフエレメントは雑魚殲滅には最高に使い勝手がいいので、わざわざ他のユニットを使う必要性もないかな。


「主さま、一つ目の依頼達成おめでとうございます!」


 一瞬過ぎてなにもしていないのだが……まぁ初めての依頼達成だし、ありがたく礼を返しておく。


「あぁ、ありがとう……次、いくか」


「はい! 次はあちらです!」


 なんか接待でも受けているような気分だな……。


 ナイトメアの背に揺られ、次に向かったのははぐれオーガ(・・・・・・)の討伐。

 普通ならこの手の依頼は、目当てのはぐれオーガを見つけるのが非常に大変なのだが、ピクシーバード一〇羽を追加投入したのですぐに見つかった。


 あとこれは大森林に入って本人から聞いてわかったことだが、どうやらキューレはオレの各種情報に直接アクセスすることができるらしく、すっかり気に入って護衛兼案内役を楽しんでいる。


 今までも高度な専用AIを使ってある程度の会話はできたが、こういうことは出来なかったのでちょっと驚きだ。


 というか、何が良いのかわからないが、案内役というのが楽しいらしく、すごく楽しそうだ。

 ニコニコしているキューレはちょっと新鮮で、見てて癒されるので好きなようにやらせている。


「主さま! この先の少し開けたところにいるようです!」


「そうか。ありがとうな」


 オレもクオータービューやピクシーバードのユニットビューで見えているんだが、空気を読んで素直に礼を言っておく。


「どうする? 久しぶりだろうしキューレがやってみるか?」


 先日アダマンタイトナイト五体を瞬殺しているので、戦闘力が落ちていることはないと思うが、ちゃんとした魔物を倒すのは三〇〇年振りだろうからな。


「はい! 許可を頂けるのでしたら一瞬で終わらせてみせます!」


「じゃぁ頼もうか。そうだ。せっかく開けている場所にいるようだし、アレ(・・)で倒してみてくれないか」


 クオータービューで見る限り、オーガは森の中のかなり開けた場所にいる。

 キューレの究極戦技(アルティメットスキル)を使っても問題ないだろう。


アレ(・・)ですね! まかせてください!」


 と言ってナイトメアの背から飛び降りると、キューレの纏う雰囲気ががらりと変わった。


 すでに漆黒の槍を虚空から取り出しており、先日訓練場で見せたはものとは段違いの圧を解放している。


 漆黒のオーラも全身に覆い、キューレが最強クラスのユニット『戦乙女 Ω(ワルキューレ オメガ)』なのだということを否が応でも再認識させられる感じだ。


 でも……これがいい。


 今まで見たことのなかったかわいい姿も最高だが、この身震いするほどの強者の姿こそ、オレが全幅の信頼をおくキューレの真の姿だとも思う。


「いきます!」


 凛々しい声でそう告げると、全身を弓のようにしならせ……。


「ひれ伏せ!! (ディバイン)(パニッシュメント)!!」


 漆黒の槍を天に向かって投擲した。


 音速を超え、光の速度に迫る漆黒の槍は、あたりに轟音を響かせながら、雲を貫き、天を穿った。


 次の瞬間……天が割れた。


 その天の割れ目から、巨大な黒い(いかずち)が地上に落ちる。


 たった一匹のちっぽけな魔物。

 オーガに向けて。


 周囲のあらゆる音を呑み込み、衝撃派となって周囲に破壊の音が響き渡る。

 かなりの距離があるにもかかわらず、その衝撃波はオレの元にまで届いた。


「くっ!? まじか!? はっ!! どう! どう! 大丈夫だ! 落ち着け!」


 高位の魔物であるはずのナイトメアが怯えていた。


 いや……なんだこれは⁉


 オレはたしかに『(ディバイン)(パニッシュメント)』を放つように指示をした。


 さっき言ったアレ(・・)の解釈は間違っていない。

 オレも『(ディバイン)(パニッシュメント)』のつもりだった。

 何も間違っていない。


 おかしくはない。


 おかしいのは……想像を絶するその威力だ!


 周囲一帯の木がすべて薙ぎ倒されている。

 オーガがいた場所には巨大なクレーターができており、そこにいたはずのオーガはもちろん、大きな木も、岩も、なにもかもが消失していた。


「これは……本格的にユニットたちの能力を調べていかないと不味そうだ……」


 とりあえずこの究極戦技はしばらく封印だな……。

 こんなのそこらへんでぶっ放せば、とんでもない被害がでる。


 他のユニットの戦技はまだほとんど使っていないが、ナイトメアのブレスなどはゲームでの威力と差異はなかったように思う。


 キューレの戦技だけなのだろうか?

 確認しなければいけないことが増えてしまったな……。


 オレはすっかり変わり果てた周囲の景色を眺めながら、ぼんやりそんなことを思ったのだった。


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