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オレだけクォータービューで戦場を支配する~あらゆるユニットを召喚して異世界を救うキャンペーンのクリアを目指します~  作者: こげ丸


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第17話 ギルドマスター

 受付ではひと悶着……というか、冒険者ギルドに入ってからだとふた悶着あったが、オレとキューレはベンスに連れられてギルドの建物の裏にある訓練場に来ていた。


 サッカーコートがぎりぎり収まるぐらいありそうでかなり広い。


「も、申し訳ありませんが、もう少々お待ちください!」


 ベンスはまだ少し緊張しているようだが、これでもだいぶんマシになった方だろう。


「そんな畏まらなくていいから」


 オレは苦笑しながらそう答え、とある人物がくるのを待っていた。


 そのとある人物とは……。


「おぅ! すまないな! ちょっと立て込んでいてよ~。遅くなっちまった。俺がベルジール王国王都冒険者ギルドのギルドマスターをやっているガンズだ!」


 禿頭の大男といった感じだろうか。

 荒くれ者の多い冒険者たちを束ねるのに不足はないような凄みを感じる。


 それに……今まで会ったこの世界の人間の中では一番強いのではないだろうか。

 あの近衛騎士団副団長のセイグッドよりも何か深い強さのようなものを感じる。


 オレは鑑定能力などはないので正確にはわからないのだが、この世界に来てからその人物がどれぐらいの強さなのか、なにか圧のようなものを感じるようになっていた。


 ゲームでは感じたことのない感覚なので、この世界特有のものなのか、それとも異邦人、もしくはオレにだけに備わっているものなのか……。


 とにかくその感覚を信じるならば、ガンズはかなりの強さを持っている。


「いや。忙しいのにこちらこそすまない。オレが異邦人のレスカで、こっちが護衛を務めてくれているお供のキューレだ」


 キューレはとりあえずお供で護衛だということにしておく。

 異邦人が思っていた以上に地位が高いようなので、冒険者仲間とするよりもこの方が自然だと思ったからだ。


「お~! えらく若い異邦人さまだな! それじゃぁさっそくだが、なにか召喚してみせてくれるか?」


「あぁ、わかった。なんでもいいのか?」


「異邦人しか召喚魔法は使えないからな。召喚魔法を使える所を見せてくれればそれでかまわない!」


 なんでもいいのか。

 それじゃぁ既に多くの人に見られているあいつにするか。


「さぁ、遊戯の時間といこうか……ウォーモード!」


 もうここでは揶揄われることもないだろうし、気持ちよく言いたい台詞を言うことにした。


 別に気付いたら自然に言ってしまっていたわけではない……断じてない。


【ユニット召喚:アダマンタイトナイト】


 オレの前方に直径2mほどの魔法陣が現れ、鈍く青色に輝くフルプレートの鎧を着た騎士が出現した。

 身の丈2mを超える巨躯に巨大なナイトシールドを持つその姿は、何度見ても頼もしい限りだ。


「おぉ~!! すごいな! リビングアーマーを呼び出せるか!!」


 アダマンタイトナイトは、リビングアーマーのかなり上位種にあたる魔物でそこそこな強さを持っているし、人型だから普段使いもしやすい。

 この世界の異邦人でも下位のリビングアーマーを使うものはいるようなので、オレがアダマンタイトナイトを使っていても、並べない限り気付くものは少ないだろう。


 そんな理由から、これから人前でユニットを召喚する時は、とりあえずこいつにしておこうと決めていた。


「これで異邦人だということを証明できたか?」


「あぁ! まさかこれほど高位の異邦人だとは思わなかったがな!」


 先ほどの言葉から、ガンズがアダマンタイトナイトのことを下位のリビングアーマーだと誤って認識していることは確かだ。


 それなのに高位の異邦人だという。


 やはり戦争がなくなって異邦人のレベルがかなり下がったということか?

 レベル80でカンストしているプレイヤーとなるとゲームでもごくごくわずかだったが、それでもレベル50に達しているプレイヤーが多かったように思える。


 かなりレベルのあがりにくいゲームだったが、この現実と化した世界でも同じく……いや、それ以上にレベルはあげにくいはずだ。


 死ねばやり直しがきかないのだから。


 そしてそれは異邦人だけに限らず、この世界の者たちすべてがレベルを簡単にはあげられないということになるだろう。


「しかし、その若さでここまで高位の魔物を召喚できるとなると、いったいどんな経験をつんできたんだ?」


「まぁいろいろとな。それこそ寝る間も惜しんで頑張ったからな」


 もちろんゲームでの話ではあるが、体験としてはリアルに近い仮想現実の中で頑張ったのだ。

 そこまで嘘という話でもない。


 徹夜なんて何度したかわからないしな……


「ほう! それは興味深い話だな! どんなことをしてきたのか聞いてもいいか?」


「すまない。悪いがそういう話はあまり話さない事にしているんだ」


「あやまる必要はねぇ! ま、残念だが仕方ねぇな!」


 興味を持たれてもさすがに話せないからな。

 それより、もっと大事な話を進めておかなければならない。


「異邦人としてはこれで認めて貰えたようだが……ところで、特例の話を聞いたんだが、そっちはどうすればいいんだ?」


 もともと特例として登録時のランクを上げて貰うという話が本題だったんだ。

 異邦人ということでそっちに話がそれてしまったが、認めて貰えたようなので話を戻しておく。


「あぁ~特例の話をしていたのか。でも、異邦人は別だ」


「別? 別というのは?」


 異邦人は特例を受けられないのかと一瞬がっかりしたのだが、逆の話だった。


「異邦人は一律みんな登録と同時にCランクだと決められている」


「なるほど。それは手間がはぶけて助かる。それじゃぁ、さっそく登録を……」


 いや……待てよ?


 ここでちょっとした問題に気付いた。


「なぁ……その異邦人の話でいくと、オレの共は含まれなくなってしまうよな?」


「ん? その後ろで控えている嬢ちゃんか? もちろん含まれんぞ?」


 どうやらこれで終わるわけにはいかなくなったようだ。


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