エンディング稲荷1
こばると捜索から少し時間が経った。
別に何かあったわけではないが、日記を書くことを忘れていたウカは慌てて日記を書いていた。
「しかしなあ……。本当に今回の一年は何もしてない」
「今回も……だよ」
ウカの言葉に横でみかんをむいていたミタマがすぐに返答する。
「で、でもさ、頑張ったよね?」
「言う程頑張ったか?」
同じくみかんをむいていたリガノも眉を寄せた。
「日記がプラズマとこばるとだらけになってるけど、気になってたことは大方解決したよね?」
「まあ、そこはね、確かに」
ミタマはみかんを口に含み答える。
「ただ、この地域が闇の地域なのは変わらんぞ」
リガノがため息混じりにつぶやいた。
「まあ、この地域は時神がいるからさ。稲荷が頑張ることが少ないこともわかったじゃん?」
「いっそのこと、稲荷ランキング抜ける?」
ミタマが尋ね、ウカは苦笑いを向けた。
「いや、一応いよう。百合組が最下層にいることで、助かる地域もあるからさ」
「そういう使い方?」
「それはそれで意味のあることかもしれん」
リガノもウカに賛同し、ミタマは笑った。
「確かにね」
「百合組はランキング抜けません! 我らは最下層から次の稲田組、柿組になるべく近くなるよう頑張ります!」
ウカが決意を新たにし、ミタマとリガノは頭を抱えた。
「ウカちゃん、稲田も柿も両隣の地域でたぶん時神さんの恩恵を得ていて低いのかもしれない。まあ、百合は時神さんが住んでいる地域だから格段に低いんだけどね」
「たぶんそうだね!」
「仕事は探さないといけないとは思うから開き直らないで……」
このままではなにもやらなくなりそうなウカをミタマはとりあえず止める。
「仕事はなんか来たものだけやろう?」
「ウカちゃん、それ、待ってても現れない恋人と同じだよ……」
「なに? 仕事と恋人が同じ? ありえないしー。仕事は仕事!」
ウカがそう答え、ミタマははにかんだ。
「ま、まあ、このわけわかんない感じがウカちゃんなんだけどね……。こないだと言ってること違うじゃん」
ミタマがあきれた声をあげた時、社の扉が勢いよく開け放たれた。
「イナちゃん、さんじょー!」
「イナだ」
入ってきたのは幼女の稲荷、イナだった。




