春待ち稲荷2
静かな住宅街。山や緑も多い地域に時神の家はある。古い一軒家で整備された山の中腹に建っていた。
ウカ達が向かうと時神達が慌ててこばるとを探していた。
「え、そういえば、未来神の紅雷王は未来見ができて、過去を見れる時神もいたよね?」
ウカがつぶやき、ミタマとリガノも眉を寄せた。
「たしかに」
「なんで探しているの? どこに行ったかも何もかもわかるんじゃない?」
「そりゃあ……そうだよね」
ミタマが時神達の様子をうかがう。
皆、慌てている様子は嘘ではなかった。
「やはり、未来や過去が見えないようだな」
リガノの言葉にウカは驚いた。
「え! じゃあいままで未来が見えるとかガセネタだったの?」
「……違うよ、ウカちゃん……」
ミタマがあきれた顔のままウカの肩を叩いた。
「こばるとが追跡されないように過去神、未来神の特技をこばると自身がなんらかで防いでいるか、元々そういう次元じゃないやつに連れていかれたかだ」
「あ……あー……でも、未来神、過去神は神格高いよね? こばるとがそんなことできるとは……」
「じゃあ?」
ミタマが促し、ウカは蒼白になった。
「誰かにさらわれた! 神力がある神に!」
「……そういうこと」
ミタマに言われ、ウカは慌ててイナとうろついていたミノさんを呼んだ。
「なんだよ? 今、アヤちゃんのとこのガキが……」
「知ってるわよ、ミノさん」
ウカは声を小さくするように言った。
イナも不安げに近づいてきた。
「やっぱこの辺にいないよ……」
イナが肩を落としてつぶやく。
「あのさ、イナ、あんた、縁結びを発動できない?」
「……あ!」
ウカに言われ、イナは目を輝かせた。




