表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/60

春待ち稲荷1

 「さむーい」

 ウカはてきとうに神社の落ち葉を掃く。何かをしなければと動き出したが、外は寒かった。とりあえず、外の掃き掃除を始めたところだ。

 「まあ、落ち葉も落ちきってるし、きれいなんだけどね……」

 ウカは独り言を言いながらホウキを片付けた。暖かい自分の社に帰る。

 こたつでミタマとリガノがみかんを食べていた。今度、イチゴ狩りに行きたいなどと話している。

 「神社まわり掃いてきたー」

 「おかえり、ウカちゃん。年末に年神がきたからか大掃除が年明けになったね」

 ミタマは普段なにもしないウカに皮肉を言うとみかんを差し出した。

 「何かをしなければと思い始めたのはいいことだが、実際に何かがくるわけではないからな……」

 リガノもみかんをむきながらウカにそう言った。

 「たしかに……でも、彼氏彼女も待っていたら来ないし、ちゃんと行動しないとさ」

 「例えが珍しく正論……」

 ミタマがみかんを小さく噛んで大事に食べながらウカに答える。

 「まあ、とはいえ、やることもなくなったから……ティータイムにするかぁ……」

 ウカが羊羮とお茶を取り出した時、思い切り玄関の引き戸が開いた。

 「たいへーん!」

 慌てて入り込んで来たのはイナだった。

 「何? どうしたの?」

 ウカは羊羮を棚に戻してからイナを見た。

 「それ、羊羮?」

 「それはいいんだって! なによ?」

 鋭いイナにウカは苦笑いを向けた。

 「ああ、お友達のこばるとくんがいなくなっちゃって、時神さん全員で探しているの!」

 「ええっ!」

 ウカは湯呑みを落としそうになるほど驚いた。ミタマとリガノはみかんを喉につまらせている。

 「なんだって?」

 「ミノさんはもう探している……。とにかく見つからない」

 「そ、それってもしかすると……」

 ミタマがかろうじて言葉を絞り出した。

 「消滅したかもわからない、もしかしたら誰かに……」

 イナの言葉にウカ達の顔色が青くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ