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9月は残暑がきつい2

 「あたしはアマテラス様の力を受け継ぎ、太陽を守っているじゃないかい。で、あんたらはアマテラス様の食べ物係なわけ。一見、あたしの傘下に見えるけれど、あたしはアマテラス様の神力を受け継いだ太陽神なだけ」

 サキは息を吐くと続けた。

 「つまり、『アマテラス様に関係はあるけれど、アマテラス様の関係ではない』わけ。それで、プラズマ君や冷林の話になるわけだけどね、冷林は安徳帝、プラズマ君は紅雷王。両方ともアマテラス様から続く皇族。つまり……アマテラス神力を持ってるわけ」

 サキの言葉にイナ以外の稲荷はふむふむと頷いていた。

 「だから、彼らは純粋なアマテラス神力を持つ神。稲荷は高天原北、冷林軍に所属しているんだ。あたしも見てはいるんだけど、実際に見ているのは冷林。で、この百合組地区にいるのはアマテラス神力を持つ紅雷王、プラズマ君だよ。つまり、直接の君達の上司はプラズマ君だねぇ」

 「なるほどわからん! まあ、上司はプラズマくんってことね」

 ウカは途中でわからなくなってからかなり投げやりになった。

 「そういうことだよ、なんにもわかってなさそうだけどねぇ」

 サキは辺りを見回しながら神力を見ている。仕事量を見られ、ウカ達は冷や汗を拭う。

 「なるほどー。もうちょっと頑張ろーねー! プラズマくんに言っておくからね」

 「こっわ……」

 ミタマがつぶやく。

 サキのチェックはまだ続いた。

 「お? これは!」

 サキが本棚から何やら漫画を引っ張り出してきた。

 「あ! そ、それはっ!」

 ウカが顔を真っ赤にして漫画を取りかえそうと動く。

 「ジャパニーズゴッティのコミカライズ!」

 「ぎゃー! やめてー!」

 ウカが悲鳴を上げ、リガノとミタマは顔色が青くなった。

 漫画の表紙は裸の体つきの良い男が頬を赤らめている謎の表紙だった。

 「タケミカヅチ編! ウカちゃん! ジャパニーズゴッティ好きなのかい?」

 サキはなぜか楽しそうに聞いてきた。同胞を見つけた、そんな顔にも見える。

 「えー……いい体の男は好きですよー」

 ウカは冷静に、悟られないように淡々と好きから気持ちを離す。

 「ここ、いいよねぇ! あたし、ごはん三杯はおかわりしたよ! 縛ったタケミカヅチにマヨネーズかけるシーンはゲームでもスチルが最高で、アニメは作画が神だったよ! で、声優さんが……」

 「あー! わっかるー!」

 サキが話したことにより、ウカの何かが切れた。頬を赤らめて早口に話し出した。

 「あの渋い声で、そ、そこはっ……ってやばくない? 作画もOVAは隠してなくて良かったんだけど、私は地上波の少し影があって隠れてた方が萌えて、そこが好きすぎてコミカライズも買ったら、コミカライズは別方向から描かれてて萌えて、最高でっ! 私もあれをおかずにご飯十杯は食べた!」

 「わっかるー! めっちゃわっかるー! なんか余計来る!」

 ふたりが何やら盛り上がっている中、ミタマとリガノは冷や汗を沢山かき、違う意味で背筋が凍っていた。

 「な、なにあれ……なんかマルキンな話してる?」

 「……女は怖いな」

 「女の子っていうか、あの神らが怖いんだけど」

 ミタマはリガノを連れてゆっくりとその場を離れた。イナはお菓子に夢中だったため、置いておく。

 とりあえず、外に出て、なにやら腐りかけた空気を外へ吐き出しておいた。

 「あそこが……話が合うとは……意外だな」

 「おとがめなしかな! ははは! ……はあ、しかし、ウカちゃんが男の裸だけじゃなく、あんなシチュエーションをおかずにしているなんて知らなかったよ」

 「俺もだ……。ま、まあ詮索はしないでおこう」

 「とかいいながら、『検索』はしようとはしてるよね?」

 ミタマに言われ、リガノは頬を赤らめた。

 「お前も検索するんだろう? 知っているぞ」

 「しない、しない! ……ぜ、絶対にしない……と思う」

 ミタマは目線を横にずらした。

 今日も働かない。


 日記


 乙女ゲーム、ジャパニーズゴッティの話をサキ様としちゃった!

 楽しすぎ! 推しの話ができる幸せー。あと何言われてたか忘れちゃった。

 ま、なんか上司は紅雷王様らしいことはわかったね。 

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