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八月はプールへゴー!2

 「さてさて、遊園地のプールに来ましたー!」

 ウカが叫び、他の稲荷達も大興奮。イナは走り出して波のプールへ裸で飛び込む。

 「まてまてーい!」

 すぐさまウカがイナを捕まえ、子供用水着を着させた。


 「あっぶない……。裸はダメだよ、さすがに!」

 ミタマが横で顔を赤くして立っており、リガノは顔面蒼白だった。まあ、稲荷は稲荷しか見えてはいないが、用心だ。

 「えー! 水着、いらなーい!」

 「いる! リガノ君とミタマ君が発情したらどうするの!」

 ウカが怒鳴っている横でリガノとミタマはため息をついた。


 「俺は子供の裸では発情しない……」

 「僕もまあ……恥ずかしいけど発情は……。てか、発情って言い方……」

 「波のプール入りたい! はやくー!」

 イナが走って行ったのでウカも追いかける。とにかくプールサイドは日が照っていて暑い。


 「暑いからウカちゃんと一緒に波のプール行こうか」

 「ああ、浮き輪をしっかりしないと波のプールは深さがありそうだ」

 「あれ? リガノ君、もしかして泳げない?」

 ミタマの質問にしっかり浮き輪を装備したリガノが答える。

 「泳げん! 浮き輪は手放さなければ人にみられることもないからずっと身につけるつもりだ」


 「ああ、そう……リガノくん、あっちの幼児用プールで良くない? つかってれば?」

 「俺をバカにしてるのか?」

 「浮き輪に腕輪までつけてて、バカにしてるのかってのは……」

 ミタマはあきれたまま、炎天下のプールサイドを歩く。


 「リガノくん、本当に波のプールで大丈夫なの?」

 「これだけの装備があれば問題ない」

 「あー……そう」

 ミタマは困惑しながらリガノと波のプールへ入った。水は冷たかった。ウカとイナは波を楽しんでいる。


 「ウカちゃん、リガノに無理すんなって言ってよ……」

 「えー? これから激しい波と水かけショー始まるよ?」

 ウカがそう答え、ミタマはため息をついた。

 人に流されたリガノは最先端待機中のウカ達のところへ来てしまい、顔が青い。


 「あ~、リガノ君、大丈夫?」

 ウカが流されて沖に来てしまったリガノに心配そうに尋ねた。


 「む……も、問題はない。うわあ! 足がつかん!」

 リガノは焦っていた。

 「あのね、浮き輪めっちゃつけてるんだから足つかないでしょ……。浮いちゃってるから……。しかもここ、百三十センチだし、リガノくん足つかない?」

 ウカにそう言われ、リガノは顔を真っ赤にして「知っている!」と叫んだ。


 「あ、はじまるぅ!」

 イナがすいすいと泳ぎながらウカ達を見て微笑んだ。

 『はーい! これからジャブジャブパーティ開始だよー!』

 声優かなんかのお姉さんの声が響く。お姉さんの掛け声で波が激しくなり、プール脇のホースから水が吹き出た。歓声が上がる。


 「いえーい! ふっふー!」

 イナが楽しそうに叫んでいる中、ミタマは困惑していた。

 「ちょっ……これ、水圧つよ……!」 

波が押し寄せ、頭からスコールを浴びてもうなんだかわからない。


 「ミタマくん、リガノがなんか、遭難者みたいになってる!」

 ウカがミタマをこちらに呼び寄せ、ひとりで戦うリガノを見せた。

 リガノは「うおおお!」と勇ましく水と戦っている。

 「ああ、マジだ……。マジの遭難者に……」

 ミタマがリガノに近づき、こちらに引き寄せる。


 「はあ、はあ、死ぬかと思った……。うわあ! また雨がっ! 波がっ!」

 「カオス状態なんだけど……」

 ミタマがウカをつつき、戸惑っているリガノを見せる。リガノはまたも流されてスコール中心部へと引き戻されてしまった。

 「もう、なんか……完璧に嵐の中の遭難者……」

 ウカがつぶやき、リガノを連れ戻そうとした時、時神達が楽しそうに叫ぶ声が聞こえた。


 「げっ……時神が来てるってことは……」

 「あー、よう! あんたら、仕事しないと思ったらプールで遊んでるのか。まあ、暑いからな」

 水着を着た赤い髪の青年プラズマがウカを見つけて話しかけてきた。


 「えー……まあ、暑いのでね、あははは……」

 ウカはその場を離れようとイナを探した。

 「ああ、イナはうちの息子と遊んでいるようだな」

 「う、うちの息子!?」

 「ああ、時神全員の息子みたいなもんだ」

 プラズマは大雨を浴びながら波を器用に飛びながら笑う。


 「……イナの横に」

 イナを見つけて名を呼ぼうとしたらイナと同い年くらいの少年がアヤにイタズラをしかけて怒られていた。イナも一緒になっている。


 「……あの子」

 「こばるとって名前なんだ。イナとも仲がいい。今日はイナが縁結びを発動してプールでたまたま出会ったのかな?」

 プラズマは笑みを向け、さらに続けた。


 「リガノくんだっけ? あの稲荷をまず救ってあげなよ……。イナはこっちで面倒見とくからさ」

 「あ、ありがとう……」

 ウカはとりあえず挨拶をし、リガノを助けに向かった。


 「ところで……稲荷ランキングの方はどうだ?」

 「え? あー……う、うまくいってますっ!」

 背中ごしに声をかけられたウカは顔面蒼白で答えた。

 暑い気持ちが吹き飛び、今季最大の冷気が体を包んだ。

 「ああ、そう……」

 プラズマはふくみ笑いでウカを見送った。

 


 日記。

 こわああ! もうこわああ!

 まさかの紅雷王さまと対面!

 イナはあの後、ご飯をごちそうになっていた。少年こばるととも仲良くなり、一緒に争いながらフライドポテトを食べていた。

 こばるとという少年は時神全員で育てている時神とのこと。

 謎だけど、紅雷王とはかぶらない神力を持っている気がする。

 紅雷王は太陽神と関係があるのか、ないのか……。

 元皇族ならあるよね??

 わからなくなってきた。

 

 と、いうか日差し強すぎてプールの中にいてもめっちゃ日焼けした! 痛い。

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