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夏祭りからの盆踊り1

 梅雨は終った。

 今年は毎日暑い。ウカ達はかき氷を食べたり、水遊びをしながら暑さを忘れようとした。

 ただ、暑すぎて今は皆で近くのスーパーに避難中。

 「あっついじゃないのっ! 外が暑すぎてセミも鳴いてない!」

 ウカがぼやき、ミタマは苦笑いを向ける。

 「今、あっつい風がこっちに吹いてるらしいよ。暑さ対策どうする? もうアイスは食べちゃったしね」

 ミタマがスーパーの冷凍コーナーにあるアイスを眺めつつ、どうするか考えた。

 「あ、みて!」

 ふと、イナが貼ってあったポスターを指差す。

 「なんだ?」

 横にいたリガノが代わりに読んでやる。

 「えー、夏祭りから盆踊り……今日の夕方からだそうだ」

 「夏祭り! このあっついなか!?」

 ウカが驚き、ミタマは眉を寄せた。

 「ゆだりそうだね……」

 「もうこうなったらさ、熱を感じに行く?」

 イナが嬉しそうに聞いてきたので、一同はやけくそで頷いた。

 とりあえず、スーパーから灼熱のお外に出て、夏祭りを開催しているらしい神社に向かう。

 「暑い! 水頭からぶっかけたい!」

 ウカが叫び、ミタマが水筒を渡す。

 「お茶だから、頭からかけないでね」

 「あら、ありがとう……」

 「しかし、本当に暑いな……。祭りの音がしないんだが……」

 暑すぎてセミもないておらず、リガノはまいってしまった。

 元気なのはイナだけだ。

 しばらく歩くと地域密着の神社に出た。逃げ水が見える。

 思考力がないまま神社の階段をのぼっていたら気がついた。

 「ってここ、ミノさんの神社じゃん。本社だよ」

 「ああ、ほんとうだ」

 「おたくら、こんな昼間に何の用だよ? 暑すぎて今日は外にでない方がいいぜ」

 鳥居をくぐるとすぐにミノさんが話しかけてきた。いつもは時神のおうちの裏にある神社にイナと居候しているが、今回は本社にいた。

 「ああ、ミノさん、夏祭りを……」

 「その前に冷たい麦茶ほしい!」

 ミタマの言葉にかぶるようにウカが声をあげた。

 「できれば冷たい氷菓子なんかでも!」

 横でイナも叫んだ。

 「あー……まあいいけど。この社の霊的空間にある」

 「そういえば、今日は夏祭りなのに、全然浴衣の人いないんだけど、どうなってるの?」

 ミタマがミノさんに尋ねた。

 「ああ、夕方からだぜ? こんな昼間からやるかよ……。おまけに今日は特別暑いんだ。キンキンに冷えたフルーツポンチが食べたいぜ……」

 「スイカ食べたい!」

 イナが再び騒ぎ、ミノさんはため息をついた。

 「スイカはうちにない」

 ミノさんの社内でのんびりしていると、外が騒がしくなってきた。

 「そろそろ、始まるか」

 「夏祭り、けっこう繁盛してんじゃん」

 ウカの言葉にミノさんはため息混じりに首を傾げた。

 「繁盛してねぇよ? この祭り、俺の神社でやってねーし」

 「え?」

 「この地域の町内会が神社の駐車場と裏の公園で夏祭りをやってるだけー。こちら側の本社は誰もいねぇだろ……。たまについでの参拝客はくるが……」

 「あ、そういうこと……」

 ウカが納得し、てきとうに返事をしつつ、夏祭りへ歩き出す。

 まだまだ暑いが蝉が鳴き始め、気温がやや下がったのがわかる。

 「うわー! キッチンカーだ! 有名店のかき氷ある!」

 イナが騒ぎだし、リガノは唸った。

 「今年は暑すぎて、食べ物が痛むからキッチンカーなのか? なるほど。焼きとうもろこしと焼きそばまでキッチンカーか」

 「たーべたーい!」

 「……お金の前に僕達は人に見えないでしょ……」

 ミタマが屋台を眺めつつ、そんなことを言っていると、肩が叩かれた。

 「うひゃあ!」

 「そんなに驚くことじゃないんだが……」

 ミタマの肩を叩いたのは浴衣を着たプラズマだった。

 「あー……紅雷王さま~……勤務中でありますっ!」

 「夏祭りで何を勤務すんだよ……。時神みんなで遊びに来たんだ。あんたら、焼きそばとか食べたいだろ? 買ってきたからあげるよ。有名な冷やしうどんのお店までキッチンカーで出ていたぜ」

 プラズマは沢山パックを持っていて、ミタマに全部押し付けると時神達の元へ去っていった。

 「あ、ありがとうございます」

 「あー! いっぱい食べ物! ちょーだいっ!」

 呆然とするミタマの食べ物めがけて跳び跳ねるイナ。

 「まあ、いいか」

 ミタマはイナに食べ物を渡した。

 「あっちに射的とかあるよ! 冷やかしに行こう!」

 「やめた方が……」

 リガノの注意を聞かず、ウカは走り去っていった。

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