4月は花見!1
「お花見季節到来!」
リガノが重箱につめている料理をウカは自室から覗く。
「うっほっほ~」
「ウカちゃん、ゴリラみたいになってるよ……」
「煮しめだよ! ミタマくん! ゴリラにもなるって! おいしそ~」
呆れるミタマにウカが嬉々とした表情で言った。
「ウカちゃんは花より団子だよね」
「と、いうよりか……信仰より飯だな」
リガノが煮しめを重箱につめ、サトイモの唐揚げを作り始めた。
「お~う! いい匂い!」
「おにぎり作らないと……」
リガノは忙しい。
「あ、具材、ワカメがいい!」
「……ウカ、作ってくれないか……」
「まー……この辺はミタマくんが!」
「ウカちゃんも手伝う! わかったよね?」
ミタマに言われ、ウカはしぶしぶ動き出した。
「てか、ほぼイナの分じゃん」
「あの子、尋常じゃない食べっぷりだからねー」
ミタマとウカはおにぎりにとりかかった。
今日は晴天で桜が美しく見える日だろうということで、近所の河川敷の桜を見に行く予定だ。
つまり花見をしに行く。
「はぁい! イナちゃん来たよ!」
おにぎりを作り始めてすぐにやってきたのはイナだった。
「あ! おにぎり! いなり寿司は? 持ってくよね?」
「おにぎりにいなり寿司って米だらけじゃん」
「お米は別腹ってよく言うでしょ?」
「聞いたことないんだけど」
楽しそうなイナにウカはあきれたため息をついた。
しばらく作業に集中し、すべての料理が詰め終わった。
「あー、疲れた」
ウカは大量におにぎりを握ったので手首が疲れたようだ。
「じゃあ、行く?」
ミタマが声をかけた刹那、元気な声が響いた。
「花見すんだって? いくー」
キツネ耳むき出しの青年、ミノさんであった。
「タイミングよく来たね……」
ウカは横目で睨みつつ重箱をリガノに持たせる。
「重い……」
「そりゃね」
ウカは一番軽そうなのを持つと、明るく言った。
「じゃ、いこっか!」
全員そろった稲荷さんらは花見に向かった。




