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3月はひなまつり!2

 ミノさん、イナ、ウカは食べ物を持ってウカの神社へ帰っていた。そろそろあたたかくなりそうな気はするが、まだ寒い。

 ウカの神社は階段を登った高台にあった。稲荷の足は軟弱にはできていないため、長い階段でも苦労しない。

 「紅雷王だってあんな感じじゃん」

 ウカは自室のコタツに入り、ひなあられをつまんでいる。

 「じゃあさ、プラズマの観察日記つけない? 楽しそう!」

 イナはそんなことを言いながらちらし寿司を掃除機のようにたいらげた。

 「ああ……俺が持ってきたのに……」

 ミノさんは少し悲しげに菱餅をかじる。

 「紅雷王の観察日記とかウケる。やろ、やろ」

 ウカが笑っているところへ、いつものようにミタマとリガノが現れた。

 「ウカちゃん、稲荷ランキング忘れてるんだけど」

 やる気なさそうなミタマがとりあえずウカに言う。

 「ああ、ミタマくん、紅雷王の日記つけたら信仰心上がりそうじゃね?」

 「なんでさ……」

 「わかんないけどー」

 「これを見ろ。稲荷ランキング月間だ」

 リガノは電子媒体の「天界通信」を開き、皆に転送する。

 神々は電子データでできているためか、情報共有やテレパシーなどで会話も可能だ。

 「わあ、けっこう上がってんじゃね? どれどれ?」

 「なんもやってないし、あがるわけないんだけど」

 ウカにミタマはあきれた声をあげながら沢山の稲荷がいる名簿の一番下を指差す。最下位は百合組地区の稲荷らしい。

 「お! あたし、上じゃん! やった!」

 「……うちら皆同列で、ウカちゃんの名前が一番上なだけだよ、ほら」

 「でも上!」

 「やった! 皆同じ!」

 ウカとイナが同時に叫び、ミノさんに関してはひなあられをつまみ始めてランキングすら見ていない。

 「リガノくん、これなに?」

 「皆、思い思いに自由に生きる。……いや、まるで動物園だな。この世界は大きな檻なのかもしれん」

 リガノの返答にミタマは頭を抱えた。

 「どういう意見なんだ……? それ。ま、いっか」

 「良くはない。今から九十九神化した雛人形を見に行かないか?」

 「やだよ、なにそのイベント……。普通の雛人形がいいんだけど」

 リガノの言葉にミタマはあきれた声をあげた。

 

 紅雷王観察日記。

 今日はなんか時神アヤに怒られていた。普段はやる気がなさそう。どこに太陽っぽさがあるんだろ? あの神はよくわからない。

 太陽神よりもアマテラス様の子孫な感じが強め?

 太陽神サキ様もてきとうだけど、なんか違う気もする。

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