3月はひなまつり!1
「三月になったねー」
「ねー」
イナの社に遊びにきたウカは三月を喜びつつ、雛人形を準備する時神現代神アヤを見つめた。
アヤは茶色のショートヘアーの少女で未来神プラズマなどと共に時神達全員で生活している。
その時神ハウスの庭に住み着き始めたのがイナだ。
「イナの本社、今どこにあるの? そういえば。これ?」
ウカは庭にある社を指差した。
「本社は家守龍神の社の端にあるよ! ヤモリ、忙しそうだからさあ、今はこっちで遊んでる!」
「ふーん。ていうかさ、紅雷王ってああいう扱いなの?」
ウカが再び時神ハウスの中を指差した。
「プラズマ、部屋片付けて! いつまでもゴロゴロしない! 布団片付けて!」
「あ~、アヤ……春眠暁を覚えずって言ってさ……」
「あなたね、いつまでも暁を覚えないじゃない!」
「そういや、部屋ってさ、屁屋って言うんだって。すっごいオナラする嫁さんがいてさ、家壊しちゃうから、ひとまを与えてここでしてねって言ったんだと。で、それが部屋に……」
「いいから布団あげなさい!」
アヤがプラズマの布団を剥いで片付け始める。プラズマは思い切り畳に鼻をぶつけて転がった。
「え、時神現代神アヤって怪力?」
ウカが面倒くさそうにつぶやき、イナが笑った。
「雛人形飾るんだって」
「へぇ、いいじゃん。桃の節句だし。あー、桃食べたい」
「桃は夏だよ! あー、でも食べたくなってきた。もも缶もらってこようかな」
イナがつぶやき、ウカがあきれる。
「もらうじゃなくて盗むが正解なんじゃないかって思うんだけど」
「失礼な! もらってくるだけだよ」
「よう! ウカとイナ!」
イナが動こうとした刹那、ミノさんが声をかけてきた。
「あ、どーも、遊びにきたよ。久々に布団からでたー」
ウカが手をてきとうに振る。
「寒いからなあ、まだ」
「ミノさん、あんた、何いっぱい持ってるの?」
ウカはミノさんが抱えているものを指差した。
「ああ、ひなあられ、ひしもち、金平糖に……ちらし寿司だぜぃ!」
「あんた! さすがに盗みすぎじゃん!」
「いやあ、堂々と置いてあったからさあ」
「……ま、まあ、勝手に持っていきなみたいな感じなのかも?」
「ずらかるぜ!」
「ずらかるぜぃ!」
ミノさんが走りだし、イナも続く。
「ええ……やっぱ盗み? アマテラス様に食べ物を持っていく神なのに、持っていったらダメじゃね?」
ウカもふたりを追いかけて走って行った。ちなみにプラズマは威厳なく、アヤに頭を下げていた。
もう少し寝ていたかったようだった。




