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158話 戦闘後も大変でした!?

 王都が解放されたからといって、いつもの俺たちのように祝宴を開こうとはならなかった。


 王都は荒れ果てている。しかも、王都周辺のスケルトンが牢にいるヨモツに呼ばれているのか、王都へ戻ってきたのだ。


 俺たちはそのスケルトンを倒しながら、城壁や城門の補修を進めた。

  

 それから数日、王都へのスケルトン襲来は小規模なものとなっている。


「いっぱい、人が戻ってきた」


 メルクは城壁の上から王都へ向かう長蛇の列を見て言った。


 メッテが呟く。


「もともと王都の者でない人々も来ているのだろうな。食料が大変そうだ」

「エクレシアさんたちエントが、昼夜問わず王都の外の作物の成長を早めてくださっているようですが……」


 イリアの言う通り、食糧の生産が間に合ってない。王都が戻ってきても、近くの農村はまだ占領されていたり、すでに田畑が荒らされたりしている。


 幸い川が近いので、俺たちの魔法や道具で魚は大量に取れている。エナたちカッパが率先して漁はやってくれている。俺たちの砦があった王都の南の川に浮かぶ島は今、漁業拠点として活用されていた。


 おかげで今のところ餓死者はいない。それでも腹は空かせているから、市街では窃盗なども相次いでいるらしいが。


 アスハも呟く。


「ユミルさんたちも、ずっと忙しそうですね。特に、寝具がいくらあっても足りないそうで」


 俺が建物など、大きな物を作ったり修理する一方、ユミルたちには道具などの修理や作成をしてもらっていた。


「ユミルも楽しいとは言っていたけど、やっぱり大変そうだ……セレスのミルクも赤ん坊へ分けてもらってるしな」


 モニカたちエルフも、この城壁からスケルトンを倒すことに協力してもらっている。


 ある意味で、スケルトンを倒しヨモツを捕らえるよりも、今の方が大変かもしれない。


 人も物も、騒乱の前に戻るには結構な時間が掛かるだろう。改めて、壊すよりも作るほうが大変ということを実感する。


 イリアはでも、と言った。


「その分、皆さん私たちに感謝してくださいます。きっと、フェンデル同盟に対しても好意的に接してくれるでしょう」

「そうだと信じたいですがね……」


 メッテは不安そうな顔で答えた。


 今は余裕がないから歓迎してもらっているが余裕が出てきたら、ということなのだろう。

 確かに、それは一理ある。あまり長居しないほうがいいことも確かだ。


 そもそも俺たちはフェンデル村に早く帰りたい。ある程度目処がたったら、あとはイーリスと王国の人々に任せよう。もちろん、交易などは色々と交渉してからだが。


「まあ、ともかく……明日はちょっと休みをもらうことになっている」

「休み? いいのでしょうか?」


 イリアの声に俺は首を縦に振る。


「いいんだ。そもそも、イーリスが言ってくれたんだよ。このままじゃ皆、倒れちゃうって」

「休むのは大事。メルクも賛成」


 メルクもそう答えてくれた。


 俺は王都の市街に顔を向けて言う。


「せっかくだ。王都の商業区もだいぶ活気が戻ってきたみたいだし、明日ちょっと回ってみないか?」

「おお、それは楽しそうですね!」


 イリアがそう言うと、皆もうんうんと頷いた。


 イリアたちは王都の商店の前を通り過ぎた時、興味深そうに見ていた。


 洋服だとか見慣れないものもあるだろう。魔導書の類もここにはあるはずだ。


 そういえば、ベルドスやモーたち、留守を務める亜人たちへお土産も持ち帰りたい。


「俺としては、屋台だとか喫茶店だとかも行きたいんだよな。フェンデル村にも作りたいと思って……ともかく、明日は王都観光だ」


 俺の言葉に皆、嬉しそうな顔で頷いてくれるのだった。

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