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知らね

作者: 七宝

  挿絵(By みてみん)

まあ、あれですよ。自殺。飛び降りですね。僕らが登校するよりちょっと前に飛んだみたいです。

そうですね、いじめられてたんだと思います。


えっ? こっそり僕もいじめてたんじゃないかって? すごいこと言いますねあなた。


ほんとすごい。


そりゃ当たり前に休校ですよ。臨時休校。中にはショックで倒れた子もいたみたいで大騒ぎでしたよ。


僕ですか? 見てませんよ。ていうか、ほとんどの子が見てないと思いますよ。門のところで先生が止めてましたからね。入るなって。そりゃあそうですよね。


んで後日クラス全員でお通夜に行って、杉山くんのお母さんとかお姉さんに挨拶して、座ってみんなでお経聞いてたんです。


そしたら急に田中くんと、佐藤くんと、あと誰だったかな⋯⋯⋯⋯ま、とにかく3人の男子が立ち上がったんですよ。

で、3人とも棺桶のほうに歩いていって。


手を叩き始めたんです。


「死ーね! 死ーね! 死ーね! 死ーね!」


棺桶に向かってそう叫びながら、楽しそうに笑ってるんですよ。


やば。って思いましたね。杉山くんいじめてたの絶対コイツらじゃん。って。


すぐに先生が「なにやってんだお前ら!」って鬼の形相で飛んでいって3人を引っぱたいたんですけど、なかなかやめなくて。


すると、お坊さんが「これはよくない」と言って聞いたこともないお経をあげ始めたんです。そしたら3人とも嘘のように大人しくなって、その場に泣き崩れました。


話を聞くと、彼らは自分たちの意思とは関係なくやっていたそうで、勝手に体が動いたのだと訴えていました。


先生が3人を連れて退室して、その後お通夜は滞りなく終了し、僕たちは現地解散しました。


そして翌日、希望する生徒は先生が葬儀に連れて行くとのことだったので、僕だけ行きました。いや、特別杉山くんと仲が良かったというわけでもないんですけどね、まぁその⋯⋯学校サボれるんで。たまにはいいじゃないですか(笑)

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