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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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69.ニコレッタ、宰相からの報告を聞く。

宰相シモーネが私に向かってゆっくりと話し始めた。


「ファビオラ殿のことです」

そう言われてドキッとしてしまう。


だが、そんな私に宰相はニッコリ笑って続きを話してくれた。


なんと、まもなく18となるファビオラが、同じ鉱山で働いている炭鉱員の男性と結婚をするという話だった。そして近いうちに鉱山の仲間内で簡単な披露宴をするという話だった。


ファビオラ自身に「せめてお姉さんを呼んでは?」と聞いてはいるようだが、「迷惑はかけられない」と言っているようだ。そんなことを聞き、私は涙がでそうになるのを堪えた。

だが、思えば悪いのは全て両親だ。

あの両親がまともならきっと私たちは良い姉妹になれたはず。


私は皆をつれて披露宴に参加することを決めた。


相手は炭鉱員で、そうなれば元犯罪者だ。

私がしっかりと見極めて見せる!


そう息巻いてフェルとディーゴ、カーリーにクラリスを連れ、私は辺境の地、マディア領の北に位置する鉱山まで1日かけて移動した。


予定通りに披露宴の当日の朝に到着。


こっそり覗いた2人は仲睦まじそうに笑顔で話をしていた。

久しぶりに見たファビオラは、とても綺麗に、そして大人びて見えた。


今日1日は2人ともお休みで、炭鉱の仕事が終わる夕方過ぎに皆で祝うというので、邪魔しちゃ悪いかな?と言いつつも2人の前に姿を見せた。


ファビオラは始めはびっくりしていたものの、私だと分かった瞬間駆け寄り抱きついてきた。そして泣き出してしまったファビオラの背中を優しく撫でる。


「ファビオラはもう18才なんでしょ?泣かないの」

「また17です」

なんて可愛いらしい言い訳……


私が泣くのも仕方ないなと自分の中で納得し、思う存分声を殺して泣いてみた。


その私の頭をポンポンと撫でるフェル。

なぜかしたり顔でうなずき続けるクラリス。

ディーゴとカーリーは相手の男性を質問攻めにしていた。


互いの涙が止まった後、ソファーに座った私の膝に頭をのせ、床に座って笑顔をうかべるファビオラの頭を撫でつつ、カーリーの話を聞く。


相手の男性、炭鉱員のブルーノ・ヴィターリは体格の良いおじさんに見えるが23才の青年であった。多分髭面だからだろう。舐められない様に生やしているというが、カーリーの報告中は少し緊張しつつも、優しい表情でファビオラを見ている。


ブルーノは3年程前に子爵家に執事の見習いとして仕えていたが、その当主を半殺しにした罪でここへ送られたという。


御貴族様にそんなことをしたのなら極刑では?と思ったが、他の従者が理不尽にナイフで切りつけられるのを助け、そして怒り狂う当主をどうしようもなく行動不能に追い込んだということらしい。

その子爵家当主は元々素行の悪い噂もあり、周りの従者からも一様にブルーノが主張する事と同じ証言がとれたことから、炭鉱送りで済まされていたようだ。

その話を聞いて、そんなことがあったのだから無罪とか、それが駄目でも情状酌量で軽い禁固刑ぐらいでも良いのでは?と思ってしまったが、どうしてもそうはできない大人の事情があったようだ。


本人は納得していると言っているので今更な話ではある。

ブルーノの評判も、看守達からしっかり確認済みのカーリーは、真面目に働く良い男だと確認できたようだ。


「うん。合格」

ついそう口にしてしまったが、それを聞いたファビオラもとても嬉しそうに男の元へ行き抱きついていた。


その幸せそうな笑顔を見てまた泣きそうになった。

いや、気付けば耐え切れずにまた泣いてた。


真面目に働く2人についてはしっかりと上へと報告があったようで、恩恵として2人揃って外に出ることもできると言う宰相から預かっていた手紙も渡した。


2人でそれを読んだ後、驚いた表情を見せ互い内緒話を始める。そして、声を揃えて「私達はここで幸せになります」と言われ、また大号泣。


時を戻すせるのなら、ファビオラと仲良し姉妹としてキャハハウフフしたかった……そう思いながら、心の中で、すでにこの世にいないバカな両親に"あのハゲ親父に色魔ばばー!永遠に地獄で苦しみ続けろ!"と呪詛を投げつけていた。


「ニコ、どうした?」

優しく声を掛けてくるフェルに「なんでもない」と返す私。


その後の披露宴も大いに騒ぎ笑顔を見せあった。



「その節はすみませんでした」

その声の方を見てみれば、そこには三馬鹿……あの元公爵家当主も居心地の悪そうに座っていたが、今はやつれてるが少しだけ筋肉もついているようだ。


頭を下げて謝る3人を見て、それなりに苦労したんだろうなと感じた。

そりゃ、3人共実子に裏切られ置き去りにされたんだからね。


私も「もう怒ってないよ」と伝えると、安堵の表情を見せていた。

もしかしたら"またお仕置きする為にやってきたのか?"とビクビクしていたのかな?実際は顔を見てもお詫びを言われても、やや暫くは思い出せなかったぐらい忘れてたのにね。


そして楽しい時間も過ぎ、「後は2人で……」、と思っていたが「今日はどうしてもお姉様と一緒に寝たい」と言われ、さらにはブルーノも「そうしてやってくれませんか?」と頭を下げてくれた。


口には出さないが"初夜だというのに中々にできた男だ"と感心した。

それだけファビオラを大事にしてくれるんだろうな。


「今夜は妹をお借りします。でも、明日からはブルーノさんが妹をちゃんと守ってあげて下さいね」

そう言って頭を下げると、ブルーノは照れくさそうに頬を掻いて他の仲間たちの元へ去っていった。今夜は他の人と一緒に大部屋で雑魚寝するようだ。多分宴会になうのだろうけど。


ファビオラに与えられた部屋で一緒に部屋へと入る。

他の皆も外で待機だ。

フェル達は適当に外で寝るだろう。クラリスは、まあ問題なさそうだ。どこでも寝れる女騎士様だしね。


ファビオラに断りを入れいつも寝ている小さなベッドは袋に収納する。

少し大きめの、前世で言えばセミダブルぐらいのベッドを取り出した。


部屋もそんなに狭くは無いので、良ければこれを結婚祝いにと伝えると、笑顔で私の胸に飛び込んできてくれた。


私は、そこでやっと気付くのだ。

明らかに私より大きく育ったぽよんが私の無い壁に当たる現実を……私は神様に向かって思いつく限りの暴言を叫びたい気持ちを押さえ、歯を食いしばりながら布団の中へとファビオラを(いざな)った。


腕枕をしながら眠くなるまでファビオラの話を聞く。

私への懺悔も多少あったが、一緒に居れなかった時間のことを聞けて良かったと思っている。そして、まだ話がしたそうなファビオラの声が途切れ、寝息を立てるのを見守った。


私も寝よう。

ファビオラの頭を撫でながら私も目を瞑り、意識を手放した。

ブクマ、評価、励みになります。感想お気軽にお書きください。


18時から、『勇者のオマケ』全十話で公開開始。良ければ読んでみて下さいいね。

https://book1.adouzi.eu.org/n0268jo/

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