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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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67.ニコレッタ、白いあの子に嫉妬して

イケメンなディーゴに頬を寄せられ赤面している場面を目撃された私。


『おい骨!あれは、あれはどういう意味があるのだ!』

『ほおほお。多分何となく想像は付きますが、ここは見なかったふりをしてこの場をそっと去るのが大人の務めかと』


私は、部屋を出てゆく2人に何も声を掛けることができず固まっていた。

数秒後に再起動した私は、焼き場で人型モードで佇む2人に近づき言い訳を繰り広げた。


その甲斐あって、なんとか気まずさを消すことができた。


その後、カーリーから神獣とは子供が作れないことをやんわり聞いた私は、また色々想像してしまいフェルと変な空気になるのだ。

とは言え、その日から少しづつギクシャクとした雰囲気も無くなった。


人型フェルにも、ちょっとづつではあるが食事時には隣に座り、甘えるように寄り添ったりする事もできるようになってきた。これなら恋人同士と言っても良いのでは?そう思っているだけで幸せを感じることができた。


そんなある日のお昼時、新たな来訪者がやってきた。


「ニコ、誰か来たようだ」

ここ最近はほとんどの時間を人型で過ごしているフェルがそう告げる。


「知ってる人?」

「いや、知らん奴だな」

「じゃあ、何かあったら助けてあげてね」

「それは大丈夫そうだな。ここまで向かってくるが、それなりに出来る奴のようだ。もうすぐ着く」

そんな会話をしている間に、私でも大きな魔力を持つ者の存在に気付く。


我ながら人間離れしてきているなとは感じている。


そして、ガサリと音を立てて現れたのは真っ白な大きな犬であった。


『ここね!』

私は突然声を発した犬の出現に驚いた。


「犬がしゃべった……」

「ニコ、あれは多分狼だと思うぞ?」

ディーゴがそう教えてくれる。そうか。狼か……見分けが良く分からん。


「姫!お待ちをー!」

「ひぃ!蛇っ!」

少し遠くから別の声も聞こえてきた。


『あーんもう!』

そう言って体を翻し声の方へと戻ってゆく白い狼。


呆気にとられ待つこと数分。


獣人族の男性二人を連れて戻ってきた白い狼。

男達は短パンにベストといった軽装だが、見える肌には鍛え上げられた筋肉と、ふわふわのもふもふが揺れていた。


『ここがそうなのでしょう!』

「はい!多分ここが中心地で、森の主様がおられる場所かと……」

そう言って獣人の1人と話した狼は、私達を見て首を傾げる。


男達は魔力値2000程度。目の前の狼は8000程とここでも充分に活動できる力を持っているようだ。やはりこの狼は神獣様の類なのだろうか?


そして、目の前の狼はこちらをじっと見て口を開け犬歯を見せている。

何かに見惚れているようにも見える。


「いい!」

ポンッと音がしそうな煙を巻き上げ後、そう叫んで出てきたのは可愛い女の子だった。


白いショートカットの髪に大きな瞳。民族衣装のような色鮮やかな羽織のような服を纏っている。そして頭には白く触り心地の良さそうな御耳が付いていた。

そんな女の子が、真っ赤な顔で飛び上がって喜んでいる。


「さすが私の未来の旦那様!素敵です!」

今なんと?


「申し遅れました。私達は王都から北西の泉のほとりに住む獣人です。そして、この方がわが群れの総長の娘、ラウラ・ロワイヤル姫です」

男の1人がそう紹介している。


「私はラウラよ!気高き獣人族の姫!そして、そこのフェンリル様の寵愛を受ける女よ!」

そう言って仁王立ちする少女。


その言葉に説明してくれた体格の良い男性獣人がキルデベルト・ラガルド、細マッチョの長身な男性獣人がロジェ・ビジャール。いずれも姫であるラウラの護衛だという。

そんな自己紹介を聞いている間にラウラはフェルの腰辺りに抱き着いていた。


「私が貴方様のお嫁さん、ラウラよ!ララって呼んでいいからねー」

「なんだうっとおしい。離れろ」

抱きつくラウラの頭を手で押して引きはがすフェル。


それにめげずに手をすり抜けて抱き着くラウラ。

それを見て、もっとこうドーンと突き放したりしないんだね。と思って胸がチクリと痛んだ私。フェルと恋人気分だと浮かれていた自分を殴りたいと思ってしまった。


そんな私は、フェルと目が合った瞬間、ぷいと顔を背けてしまい、それがどうにも恥ずかしくて部屋に戻って布団とお友達となった。


「いい加減にしろ!」

フェルの怒鳴り声を聞いたのはその直後だった。


思えばフェルの怒鳴り声なんて、初めて聞いたのでちょっと衝撃的だった。


言い争う声の後、「キャン!」という声と「姫様ー!」と叫ぶ声も聞こえている。頭の中で"えー!今どうなってんのー!"と叫んでいるが、布団から顔を出して確認する勇気はなかった。


口を閉じ周りからの音を拾おうとジッとしていた私は、布団の上からポンポンと軽く叩かれビクっとする。そっと布団から顔を出すと優しくこちらも見つめるフェルと視線が合った。

意外なほど冷静に見れているのは、さっきのことでちょっと怒っていたからだろうか?


「ニコ、私の一番はお前だ」

私は口をぎゅっと結んで布団をかぶった。


体温が上昇してゆく。

なにこれ!勝手に嫉妬した無様な私にシャクっと刺さる、できる彼氏のような良いフォロー!


「ねえ、今のフェルはフェルだよね?」

「何を言ってる?」

「いや、こんな彼氏みたいな対応がちゃんと出来てるから、別人かなって?」

「意味が分からない。私はまたニコを怒らせてしまたのか?」

「いや、違うし……」

私は場の雰囲気に負け、布団から顔半分を出しくぐもった声でフェルへ思いを伝える。


「フェル、好き……」

すると……


フェルの顔がゆっくりと近づき布団を下にクイっとずらされる。

固まってしまった私に容赦なく優しい口づけが……


そこで目が回ったような感覚と共に私の意識は途切れた。

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