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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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23.ニコレッタ、安息の日々を願う

馬車はゆっくりと城に到着した。

城の前にはすでにユリシース国王陛下たちが並んで待っていた。帰りたくなった。


「この度は、バカが大変ご迷惑をおかけしました」


フェルにまたがる私に深々と頭を下げる陛下たち。

またも何事かと集まって見守る貴族街の方々。


所々で「聖女様がまたいらっしゃった!」「国王陛下自らお出迎えだ!」という声も聞こえ、やはりフェルに乗ってるだけで聖女と身バレするんだなと改めて思った。もう開き直ってるからいいけどね。


そのまま馬車は城内に入り、カルロ隊長に横抱きにされながら降ろされた殿下はそのまま城の奥へ消えてゆく。囚われの兵士たちもその他の兵に連れられ同様に城の中へ……

陛下たちが私とフェルの前に膝をつき再度の謝罪の後、陛下や宰相エルカーン、魔導士筆頭エレオノーレに連れられ陛下の執務室に案内された。別の馬車に乗り遅れて到着したジョルジュ達3人も緊張した表情で部屋に案内されていた。


私は呑気に用意されていた菓子などをパクつきながら陛下の謝罪を受け入れると伝えた。目を覚ました時はちょっと焦ったけど結局何も無かったからね。縁が切れるとは言え身内も絡んでいる。

後はそちらでしたいようにしてほしいと伝え、陛下たちもホッと安堵していたようだ。


結局、王太子レアンドロは病気療養という事で王位継承権を剥奪し城内の療養所に幽閉となり、弟のローランドが継承権を持つことになった。


ローランドは現在11才。大人しい性格だが真面目に勉強にも励んでいるという。そしてまた「こっちは本当に優良物件だと思うぞ?」と婚約の打診が始まったが、「相手がどうとかではないんです!」と断った。


兄と妹の監視と言う責務を投げ出した兵は厳重注意の上で暫くの減給、殿下に従った兵の6名は王族の直轄領がある僻地に飛ばされ見習いから再スタートになるそうだ。未遂だったからの恩情で、何かあれば全員処刑だと言っていた。


さらに僻地の男爵家に養子になるはずだった兄妹は、マルコはその男爵領の鉱山送りに、ファビオラもまたその鉱山の診療所で回復を施す役目を与えられ、生涯をその鉱山で暮らすという提案がされた。


特に思うところは無いのでそれで了承すると、ホッと胸をなでおろす陛下。


話も終わったので気持ちを切り替え、また夕食をと言われたので遠慮なくご相伴にあずかることにして皆で食堂へ移動する。


ジョルジュ達3人は城に来てから緊張でガチガチとなり、結局部屋のお菓子や飲み物までも手をつけず一切喋ってすらいなかったが、食堂に案内されると少しだけリラックスしたようだった。


すぐにテーブルにはサラダやティーカップが並らび、続けて天ぷらや炒めた野菜、ひき肉を使った付け合わせのようなが小皿で出ていた。


「今日のメインはこちらです!」

料理長の声で続々とワゴンに載せられてくるそれを見てテンションが上がった。


「料理長!」

目を輝かせ声を掛けると料理長からも素敵な笑顔とサムズアップが返ってきた。


目の前に置かれた大きな器から湯気が立っている。

味噌色スープに黄金色に輝く麺。その上には刻み葱が乗っていた。


「では、ニコレッタ様からどうぞ」

陛下にそう言われたので遠慮なく木のスプーンでスープを掬い、ふーふーと軽く冷まして味わうと味噌の風味と共に良質な油を感じる。


そして竹の箸で麺を……


「私、ちぢれ麺って教えてなかったよね!凄いよ!スープが適量で絡み合ってウマウマだよ!」

「満足頂けたようでこちらも嬉しいです!」

皆も食べ始めたので私はテンションを上げて炒めた野菜をのせ麺と絡めて食べる。お次は天ぷらを掴む。どうやら野菜を千切りにして固めて揚げたかき揚げのようだ。


これは元々ある調理法らしいが、ラーメンに組み合わせるのは中々良いチョイス。私はその天ぷらの上にひき肉の炒めた物をのせ麺と一緒に大きな口を開け頬張った。ひき肉は甘辛なタレに絡んでいるので、かき揚げとの相性も良かった。


私は汗を吹き出しながらそれを食べきった後、料理長とがっちりと握手をした。


横を見ると私と同じように食べ終わっていたフェルが、料理長をジッと見ていたので「御代わりはありますか?」と聞いてみた。「もちろんです」と言った後に不適に笑う料理長。

そして、侍女が私たちの前まで運んできたワゴンには、白っぽいスープのラーメンが……私は、久しぶりに感じる博多の香りに涙を流しそれをスープの一滴まで胃に流し込んだ。

まあ博多には行ったことは無いがそれは些細な問題だろう。料理長には紅ショウガとゴマがあれば最高だと教えておいた。


こうして、料理長の知恵と努力の結晶を堪能した私は、ご機嫌なフェルに乗って森へと帰っていった。



そして翌朝、昨日の疲れもあってやや寝坊してしまった私の目の前に、巨大な黒いドラゴンがドシンと大きな音を立てやってきた。


その大きさは約5メートル程はあるだろうか?

見上げると首が痛い。


大きな翼を広げ、口には大きな牙が何本も並んでいる。尻尾も太さだけで私の腰回りより太いだろう。いやそれは私がスリムだからということか?

そんなことを考えている場合じゃないかもと思うが、私、結構強いしもしかしたらワンチャン倒せるかなドラゴン。と考えてみたりもした。


そして隣に寝ていたフェルの驚く顔を見て、もしかしたらダメかもしんない……そう感じてしまった。


まだまだ私に安息の日々はやってこないのかもしれない。

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