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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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18.ニコレッタ、生家を思う

メープルシロップなどを納品し終わると、陛下から別件での話が始まった。


クレメンティ家の処遇についての確認であった。

私を森に放置し死に至らしめることを前提の愚行に、国としては厳しい処遇を言い渡す予定だと言う。だが一応当事者の私に確認してからと陛下は私がくるのを待っていたそうだ。


私の「ちなみにどんな処罰を予定してますか?」という問いには、「もちろん当主その他、関わった全ての者を処刑して……」と言い始めたので慌てて胸の前で×を作って話を止めた。


「父母については正直どう処分しても構いません。ですが当時は何も知らなかった妹や、多少の恨みはありますが兄、それと悪意を持っていたとしても雇われの身だった屋敷の者については軽い処罰に止めて頂ければと……」

「あい分かった」

そう短く返答した陛下は、顎に手をあて何かを考えているようだ。


暫くして、陛下は両親の処刑となることは変えようが無く、兄と妹は別の土地の男爵家に養子に出すこととし、その他の者は厳重注意で止めるが良いか?と確認され、私もそれを受け入れた。

さらにクレメンティ家についても私が継ぐかと聞かれたが、断固拒否したので取り潰しとなり別の者に割譲するとのことになった。ご先祖様には悪いけど、私には思い入れが全く無いから仕方ないかなと……


それに取り潰しともなればすぐに別の者がやってきて、何なら屋敷の人達もそのまま仕えることもできるのでは?と考えた。それとなしにそんなこともありますか?と陛下に尋ねたら、そのように手配しようと言ってくれた。


これで私の中に目覚めた小さな罪悪感も解消された……気がする。


その話が終わると、今度は王太子との婚約について、もう一度考えてみないかとの提案を受けた。もちろん即座にお断りした私に、陛下はがっくりと肩を落としていた。王太子との婚約なんてどう考えても面倒事にしかならない。

諦めきれない陛下からは、妃殿下になった場合の様々な特典を紹介されたが、残念なことに私の心が動くものは何一つなかった。


そんな話をしていると、あっと言う間に時間は過ぎた。

陛下の号令のもと、フェルと一緒に大きな食堂に移動する。


並べられた豪華な食事でお腹を満たし満足していた。やっぱり城の食事はとても美味しい。これを作ったシェフを呼べー!


だがフェルはそれだけでは満足していないようで、私に味噌ラーメンが食べたいと駄々をこねた。仕方なく作りおいていたそれを出す。最近フェルははこれがすごく気に入っており、少し冷ましてからどんぶりに顔を突っ込みガフガフと食べていた。


それを見た陛下が物欲しそうな顔をしていたので、もう一つ出すと目を輝かせ「あっつー!うまっ!はふはふ!うまー!」と食べるのを見て笑ってしまったが、そんな私に周りの皆もにじり寄ってきたのを見て恐怖を覚えた。


これは切りが無いなと思って侍女にお願いして調理の人を呼んでもらった。シェフを呼べー!その間に大急ぎでレシピを紙に書き始める。


調理の人がきたタイミングで味噌、塩、醤油と3つのラーメンを取り出すと、味見をしてもらいながらレシピを渡し軽く説明してみる。唸っている調理の方々を他所に、残りを皆が奪い合うように食べていた。


ここの調理人たちにお任せしておけばがいずれ再現してくれるだろう。

できれば豚骨ラーメンを再現してほしい。あれは私も良く分からないのでふわっとした知識で味などを教えたが、納得のいくものができたら連絡を頂けるとのこと。他にも再現できないものを思いついたらまた教えを乞おう。


それなりに満足な夕食を終え、今後は何かあれば冒険者ギルドに伝言をという事にして城を後にする。


前回同様またしても城の前に陛下達が並び仰々しく見送られた為、集まってきた貴族街の人達にも好奇の視線に晒される中、フェルにまたがり森まで帰った。

街中を通る時にはそれなりに遅い時間だったこともあり、通りの人は少なかったのでそれほど騒ぎにはならなかったのだけが幸いだ。


なんだか今回も色々疲れたなと思いながら、フェルに包まれるように寄り添い眠りについた。


それから次の日曜日までのんびりと過ごした。

ふとした瞬間になぜか色々と考えてしまう事もあった。


私が捨てられなければ、妹が生まれていなければ、誰かが優しく守ってくれていたら、とか……


クレメンティ家については僅か2年の記憶しかない私は、やはり何の思い入れも無いはずだ。それでももしかしたら私が転生してきちゃった事で、兄や妹は不幸になったのかもしれない。そう思ってしまった。

私が生まれてこなければ兄も妹もそれなりに男爵家の地位を守り、執事のジョルジョや乳母のセレナや侍女マリカも何事もない生活を送れたのでは……そんなことまで考えてしまった。


少し悲しくなってしまった私を心配したのか、フェルのふわふわとしたしっぽがお腹を撫でた。


くすぐったいよ。


そう思いながらもその暖かい尻尾をがばりと抱きしめると、少しビクっとしたフェルに笑いかけながら、心の中でありがとうとつぶやいて眠りについた。




それから3週間程が過ぎた。


先週はエレナから渡された王家からの手紙に、すでに両親は死罪が言い渡され僻地に移送され、いずれひっそりと刑に処されると書いてあった。場所や日付が書いていないのは、陛下からの優しさなのだろうか?

それを聞いた時は何とも言えない気分になったが、連日フェルに癒された今では"私に親はいなかったのだ"と自分の中で消化できていた。


そしてまた日曜日。

冒険者ギルドに行くといつもの様に出迎えてくれたエレナから、いつのも城からの手紙とは違う封筒を渡された。差出人は妹からであった。それを見た私の心臓がまたキュっと苦しくなってしまった。

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面白く拝見してます! >今度は王太子との婚約について、もう一度考えてみないかとの提案を受けた ここは王の行動としてちょっと違和感を感じました。 たとえば下位の貴族が身内を王太子の婚約者に勧めたら王…
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