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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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16/79

16.ニコレッタ、拠点へと帰還する。

陛下を含む城の者達に仰々しく見送られ、フェルに乗って森へと戻る。

街中ではかなり注目されたが、今更だと思い冒険者ギルドを目指す。


結界装置に設置した聖魔石はそれぞれ1つ。他の魔石に手分けして聖なる魔力を流しつつ、足りない分は聖魔石で補うことになる。確認したが聖魔石には通常の魔力のみでも効果を発するようで、魔力の多い者なら補充も可能であろう。

実際その装置についていた魔石は大きめだったが500程度の魔力しかなかった。今回作った聖魔石は3000近いものだ。それが属性無しの魔力で賄えるのであれば今回のような不測の事態が無ければ大丈夫だろう。


そう思いつつも、念のためもう3つほど作っておこうかな?備えあれば憂いなし……そんなことを考えている間に、冒険者ギルドの前にたどり着いていた。


ここまで来たなら大丈夫だろう。

そう思ってフェルには森に帰ってもらいギルドに入る。


もしかしたらエレナたちは何も知らないかも……と思いつつも何らかの報告がなされて心配していたら大変だと思って念のため顔を見せることにした。

案の定、私を見たエレナが泣きそうな顔になって抱きついてきた。


冒険者ギルドにも聖女ニコレッタ・クレメンティを一時預かった。との報告が成されていたようだ。


「聖女ニコレッタ・クレメンティ様……無事にお戻りになり嬉しく思います」

少し落ち着いたエレナが私から少し離れ膝をついてそう言ってくる。


「エレナさんごめん。それはやめてほしいかな?私は家名はもう捨てたし、聖女として敬われるのもちょっと……出来れば今まで通りニコって呼んでほしいかな?」

それを聞いてまた泣きだしたエレナに捕獲され、いつもの談話室へと移動を……


手を引かれ移動する中、ギルドに駆け込む男が2人……


「た、大変だ!大きな狼が街中に!ちっちゃな女の子が攫われた!」

「嘘じゃねー!俺も見……た……えーーー!」


私を見て驚く2人。

全てを察して頬を掻く。


事情を話すため2人の元へ移動する。


「大丈夫だったかいお嬢ちゃん!」

「ちらっと見ただけだったが、さっきのお嬢ちゃんで良いんだよな?」

「多分そうだよ。でもあの狼は私のペットだし、もう森に帰ってもらったから心配いらないね」

私の言葉に唖然とする2人。


「も、森って言うと、不帰(かえらず)の森、かな?」

「安心して、良いんだよな」

私はそれに笑顔でうなずいておいた。


「じゃあニコちゃん。その辺の話も含めて、お姉さんとお話しようね」

さっきと違い遠慮の無くなったエレナから少し圧を感じる。


大人しく談話室に入ると、今まで話していなかった聖女であったこと、フェルという森の主について説明した。

最初に会った際、私が捨てられたことは話していたが、その時以上に驚いたエレナの膝から逃れられないまま、エレナが持参したお菓子を口に運ばれ甘やかされていた。


エレナにはあの容器に気付かずいたことで、あのギルド長の2人にばれてしまった事を謝られた。私はあれが無くてもいずれは特定されてしまっただろうことを伝え納得してもらった。


その後、扉を少しだけ開けて様子を見にきたギルド長をエレナが睨みつけて追い返そうとしが、まあまあと子供でもあやすようにしてエレナを宥めその部屋を出る。

そのままギルドを後にして東門の詰所まで一緒に行くことになった。


「ニコちゃんを送ってきますので!良いですよね!」

そう言うエレナにこくこくとうなずくギルド長に見送られながら、詰所まで手を繋いで歩いてゆく。


暖かい日差しの中、エレナと歩きながらご機嫌で歩く。エレナも機嫌が良いようで笑顔で互いの顔を見てはふふふと笑っていた。やっぱり秘密が少し減ったので心が軽くなった気がした。

流石に異世界についての記憶があることは話せないが、いつの日かそれも話せる日が来るかもしれない。そんな予感も感じていた。


詰所では、同じように心配していたノルベルトに同じ話をして、結局森の入り口まで3人で移動することになった。反対の手をノルベルトに握ってもらい歩く道。その手の温もりに少し涙が出そうだった。


森の入り口が見えてくると、案の定フェルが丸まって寝ているようだった。

しかしすぐに私の気配に気付いたのか体を起こし、そしてこちらへと駆けてきた。人への殺意などが無ければやはり結界は素通りできるようだ。ドスドスと走るフェルの迫力に2人は悲鳴を上げつつも、私の前に立ち身構えていた。

説明していたから大丈夫と思ったけれど、どうやらフェルは2人の想像以上だったようだ。


「フェル、ストーップ!」

私の声にズザザという音をたて動きを止めるフェル。


それを見て2人も緊張を解いたようだが、私が2人を背中を押すようにするとまた小さく悲鳴をあげた。仕方なく横から回り込むように移動してフェルに抱き着いた。

フェルもまた私に頬を摺り寄せ、その柔らかな毛並みに顔をうずめた。野生の香りにくらくらしちゃうほどスーハーを繰り返した。


「ニコちゃん、一応聞くけど、本当に大丈夫なんだよね」

背後からエレナの声が聞こえたので顔を上げ、ふふふと笑って見せる。


『そこの人間!お前たちはニコのなんだ!』

「フェル?2人はいつも話してたエレナさんとノルベルトのおじちゃんだよ。威嚇しないの!」

『う、うむ。威嚇などしていない、ぞ?』

「してたじゃん」

そう言う私を無視して頬を摺り寄せてくる。それでごまかされはしなけど?


「フェル様、エレナ・バルトリと申します。ニコ様を今までお守り頂きありがとうございます。今後は私もニコ様を守ってまいりますので、どうそよろしくお願いいたします」

そう言って膝をつき頭を下げるエレナ。それに倣うようにノルベルトもまた膝をつく。


「フェル様、このノルベルト・ブッフォン、ニコ様を可能な限りお守りいたします!」

どうもこの2人にニコ様と言われるのはくすぐったい。


『うむ。よろしく頼む』

そう言って背筋を伸ばすフェル。


「もう!フェルも2人も、やめてよ。フェルもいつもは食いしん坊で怠惰な、お父さんみたいな感じでしょ?」

『う、ニコ。私にも立場という者がだな……』


そのやり取りを見て笑い出す2人。


「じゃあ、そろそろ帰るね。来週も詰所に行くから!またねー!」

そう言って2人とは別れ、高速で走り出したフェルに乗り数日ぶりの拠点へと戻ってきた。

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