少女と、大きな争い ⑤
「私達の力を見せたら諦めるかな?」
「……いや、諦めない気がする」
私の言葉に、周りはそんな風に返す。
私達の国を狙う人たちを諦めさせる方法ってどういうのが一番いいんだろう。結局血が流れてしまうだろうか。人の命を失わせずに解決する方法はなんだろう。
最善策を一生懸命頑張ろうとしていても、なかなか解決が出来なかったりするのかな。私一人だと、大惨事になってしまったりするかも。そうなるのは嫌だから、私はもっと考えないといけない。
私達の国は、戦闘力が一般的に考えて高い方だってのも知っている。
ミッガ王国の人達とも交友を持っているから、余計にそれを感じ取れる。私の力というのもあるけれど、単純にエルフや獣人たちって人よりもずっと戦う力をもっている。あとは私が契約をしているグリフォンたちだっているんだから。
だから基本的にはそんな人たちが沢山いる場所に手を出そうとはしないものだとは思う。でも……どうしても諦められないみたいなそんな風に考えてしまう人ってきっといるんだよね。
中途半端に見せつけても、逆にその力を欲しいなんて考えを抱く人もいるだろうし。
出来れば怪我なんてさせたくないと、そんな風に思うけれどそれは私が甘いのかも。近づいてくる人たちをひたすらとらえるなんてことも一種の手ではあるだろう。それで私達の国に住んでもらうとか……。いや、まぁ、それは平和と言えばそうなんだろうけれど本人の意思を無視してそういうことをすべきじゃないよね。
そんなことばかりしていたらルーニッド王国は困るだろうしなぁ。行方不明者が多々増えるなんてのは望むところではないだろう。
一番平和的で、楽な道ってなんだろうってそればかり考えている。
ただ多分、そんな道ってないんだろうな。
「結局のところ、私達がこうしたらいいのではないかと行動したところで、ルーニッド王国側が諦めるかどうかは……やってみないと分かりません。ですので、まずは……一部の者達で接触はすべきでしょうね。戦力が多めであるなら流石にこちらが負けることはないはず……」
ランさんの言葉を聞いて周りは頷く。
「じゃあ、私が行く!!」
私が思わずそう口にしてしまったのは、私が一番力があるから。それに私は神子だからこそ、誰かに傷つけられることなんてほとんどないはず。ならば私が行くのが一番じゃないかなってそう思ってしまう。
ただ……やっぱり想像通り、駄目だと言われた。
私が神子だから。私が相手の手に落ちたらもっと大変なことになるから。それに私は王様になったからそんな風に前にばかりでない方がいい事も分かる。
私がもし誰かに仕えるような立場だったりするならば、確かに危険な目には合ってほしくないと思う。というか大切な人達にはそんな目にはなってほしくないなって、ずっとそればかり。けれども私自身は……皆が危険な目に合うよりも、私が対応した方がいいんじゃないかってそんな気持ちになってしまう。
神子って、周りからするとなんでも叶うような存在だとそんな風に思われがちな気がする。でも全然そんなことはない。私は確かに、他とはおそらく違う。だけれども……ただそれだけで、なんでもかんでも自分の思い通りになるわけじゃない。
「レルンダの気持ちはわかりますが、この国にとってあなたの存在はとても特別なものです。もしレルンダの身に何かが起こってしまったら、さらに大変な事態になってしまうでしょう。レルンダの身に何かがあることがこの国にとっての一番の最悪です。ガイアスも……あなたと同じように言ってましたが、止めました」
「ガイアスも?」
「ええ。二人して、本当に率先して前に立とうとするのですから……。それは良いことではありますけれど、王の身に何かが起こればどんな未来に繋がるか分かりませんから」
「……うん、わかった」
ランさんの目があまりにも真剣で、結局私はこくりっと頷く。
基本的には私はランさんの言うことは聞いておきたい。ランさんはこの国の為に、そして私達のために一生懸命考えてくれているはずだから。
それに私が相手側に捕まってしまったり、不利になる情報を向こうに落としたりしたらそれだけで他の皆が命の危険に陥ったり、怪我をしたりしてしまうかもしれない。
……うん、それは絶対に嫌だ。私の行いで、そんな未来が来たら私は悲しくて仕方がなくなってしまうだろう。そしてずっと、苦しくなってしまうと思う。
――そして私は契約している魔物達にはついていってもらったものの、ルーニッド王国の人達と接触する皆のことが私は心配でならなかった。ただ、無事でありますようにと私は願いながら彼らを送り出した。
――少女と、大きな争い ⑤
(神子の少女は、ルーニッド王国の者達と接触する仲間を送り出す)




