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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女と、行方 3

 ガイアス、ガイアス、どこ。

 どこいったの。

 どこに。ガイアス。ガイアス……。




 身体強化の魔法を使って、私は一心に駆ける。どこにいるの。どこに。



 アトスさんが居なくなって、他の人もいなくなって。それでガイアスまで。ガイアス、ガイアス———って、私はガイアスのことばかり考えてた。



 ガイアスは身体強化の魔法を使えない。だから、私でも追いつけるはず! でも、ガイアスは、身体能力が高いから追いつけるか不安。でも、追い付かなきゃ。嫌な予感がする。

 駆ける。ただ、駆ける。どこにいるのかもわからない。声出すのは苦手だけど。



「ガイ、アス!!」



 声を上げる。一生懸命上げる。だけど、返事が返ってこない。



 ガイアス、ガイアス、ガイアス、何処。どこにいるの。駆けて駆けて、だけど、見つからない。

 途中で色々蹴飛ばしたりしてしまった。でもそんなこと気にしていられなかった。ガイアス、何処、どこにいるの。どうやって此処まで走ってきたのかも分からない。



 ガイアス、何処?

 何処にいるの?

 そればかり考えていた。



 足が痛くなってくる。息切れもしてくる。立ち止まりたくなる。でもダメだ。ガイアスを探さなきゃ。ガイアスを、見つけなければ。

 そんな中で、小さな声が聞こえた。



 ガイアスの声? ガイアス? 違うかもしれないけれど、ガイアスな気がした。ガイアス、ガイアス!!



「ガイアス!!!!」




 こんなに声を上げたのは初めてだった。ガイアスを見つけなきゃ。ガイアスが、ガイアスが、って必死で。だから、気づいたら声を上げていた。



 身体強化をして、駆けた先でガイアスが居た。でも、ガイアスだけではなかった。ガイアスを、追い詰めようとしている大人たちがいた。耳と尻尾はついていない。人間だ。人間の大人。ガイアスに何をしているの。何をしようとしているの。



「レルンダ! きちゃ、駄目!」




 ガイアス、優しい。ガイアス、自分が大変なのに、私に来ちゃダメだって。でも、駄目なの。此処でガイアスの言葉を聞くわけにもいかない。



 人間の大人たちが、驚いた顔をしている。なんで驚いているの。どうして、ガイアス、追い詰められているの。私はガイアスと大人たちの前へと気づいたら飛び出していた。そして、両手を広げていた。




「ガイアスに……なに、してるの!!」



 喋るのが苦手だとか、そんなのいってられない。此処で声を出さなくてどうするの。出さないで、大好きなガイアスを守らないで、どうするの。私が神子かもしれないとか、神子じゃないとか、そんなのどうでもいい。私は、ガイアスが大変な目に合うの嫌。だからガイアスのことは守る。だって、此処で守れなかったら————、きっとガイアスが、居なくなっちゃう。



「人間の……子供!?」

「どうして、薄汚い、獣人なんかと」




 同じ人間である私を見て、目の前の大人たちは戸惑っている。なんで。獣人のガイアスだって、私と同じ人なのに。それを追い回すことは平気で出来るの。なんで、酷いこと、ガイアスにしようと出来るの。薄汚いって、何で、そんなひどい事言えるの。




「……お嬢ちゃん、悪いことは言わないからそこをどきな。その獣人さえ引き渡せば、お嬢ちゃんに酷いことはしないから」

「このままだと君まで痛い目に合うよ?」




 脅しをかけるようにそういう。この人たちは多分、私のことを傷つける気はない。それは私が人間だから……。でもガイアスのこと、傷つけるのは全然、気にしてないの。なんで。ガイアスに酷いこと、しようと思っているの。駄目、絶対駄目。嫌、嫌だから。



「―――ガイアスに、酷い事……駄目!!」



 私はどかない。絶対にどかない。ガイアスを置いてなんかいかない。ガイアスが危険な目に合うのを知っておいて、置いていくなんて出来ない。




「レルンダ、俺のことは、いいから———」

「よく、ない!! 絶対、どかないから!!」




 俺のことはいい、ってガイアス、私を心配してそんなこと言うけど、絶対やだ。絶対にどかない。ガイアス、躓いて、座り込んで、動けないみたい。そんなガイアスを置いていくなんてしない。出来ないよ。私は、ガイアスを置いていったら、絶対に、絶対に後悔する。



 じりじりと、大人の人たちは近づいてくる。どうしたらいい? どうしたら、ガイアスのことを守れる? 私はそんな力がない。こんなに大勢の大人の人を前に、私は何が出来るの。どうしたら、ガイアスを守れるの。



 そう考えた時、私は、ガイアスの身体を自分の身体で思いっきり抱きしめていた。包み込むように。

 だって———私のことは、多分、傷つけられない(・・・・・・・)。今までずっとそうだった。お父さんたちが手を上げようとしても、私には届かなかった。私が、守るんだ。私が、ガイアスを傷つけなんてさせないんだ。今まで、生まれ育った村の人たちに、気味が悪いって、そう言われていた現象。でも、ガイアスを守りたい、から。



 大人たちは、溜息を吐いて、私たちに近づいてくる。私たちに手を伸ばして、だけど、それは届かなかった。




「え」

「なんだ、これは……」

「はぁ!?」




 あまりにも手が届かないからだろう。苛立ったように大人の人は魔法を使った。風の魔法だろうか、竜巻みたいなのが、私の方に向かってくる。風が、こちらに吹いている。強く魔力が、感じられる。

 これが、直撃したら、私もガイアスも、きっと死ぬだろう。そう思えるぐらい怖い魔法。ぎゅって、ガイアスの身体をもっと強く抱きしめる。




 目を瞑る。

 怖い。

 でも、守らなきゃ。ガイアス、居なくなるの、嫌だから。







 ――――少女と、行方 3

 (多分、神子な少女は獣人の少年の体を守るようにぎゅっと抱きしめる)



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― 新着の感想 ―
[良い点] すごい面白いです。 [気になる点] 『私のことは、多分、傷つけられない』 のところが、ルビが振られてないので修正お願いします。
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