少女と、お城の完成 ④
「ガイアスに一番上に……? それはガイアスに王になってほしいということですか?」
「うん。私ね、この国の名前や国旗とか、様々なことが決まって、此処が国になるんだって思った時、一番上に立つのならガイアスがいいなって思ったの。私たちの始まりは、ガイアスが誰も失わない場所を作りたいって言ってくれたからだから。そうじゃなかったら、私はこういう場所を作りたいなんて思わなかった」
私たちの始まり。
私たちの目標が決まった日のことを思い出す。
私とガイアスで誓ったこと。そして皆にその目標を話したこと。
そこから私たちは此処までたどり着いた。
「そうですね……。私も、あなたたちがそういう場所を作りたいと言い出さなかったらこんな風に国を作ろうなどと大それたことを考えたりなんてしなかったでしょう。そもそもレルンダが居なければ私は国を飛び出すこともなかったと思います」
「うん。私たちは沢山影響しあっていると思う。私もランさんが居なかったら自分のことを今ほど理解は出来なかったと思う。それにランさんが居てくれたから、今の私が居る」
「そうですね。私も同じ気持ちです。レルンダが居たから此処にいますから。それで先ほどの話ですけれど、明確に王という存在を作るのならば確かにガイアスはぴったりかもしれません。それはレルンダにも言えますが」
「私にも言える?」
「はい。この場所はガイアスとレルンダが始めた場所ですから。ガイアスだけじゃなくて、二人で上に立つでもいいのではないかと思います」
ランさんからそんなことを言われて私は驚く。
私はガイアスに一番上に立ってほしいなとそう思っただけで、自分が一緒にこの国の一番上に立つことはあんまりぴんと来てなかった。私一人がそういう立場になるのは恐ろしいなって思う。けれども、ガイアスと二人でならそういう立場になってもいいのかもしれないとそんな気持ちになった。
「……ガイアスも、自分一人なら上に立ちたくないって思っても一緒になら一番上に立ってくれるかな」
私がそう口にすると、ランさんは笑っている。
私はガイアスと一緒ならなんて思っているけれど、勝手に私がそう思ってしまっているだけだ。
ガイアス自身にはまだ話せていないから、私が一人で舞い上がってしまっているだけだなとは思うけれど……。
「それはそうかもしれないですね。ガイアスはレルンダの提案を拒絶はしないとは思いますが……、ただ本人は王様になるつもりがあるかどうかわかりません。もしガイアスが嫌がるようなら、国としての形を王政じゃないものにしてもいいとは思いますが……どちらの方がこの国にとって良いものになるでしょうかね」
「王様が居ない国ってこと?」
「はい。世の中にはそういう国はあります。とはいえ、どういう形だったとしても結局のところは上に立つ存在は必要になります。王様という形でなかったとしても、ガイアスやレルンダに上に立ってもらうことはあるかもしれませんね」
「そっかぁ。なんだか色んな可能性があるね。これから作っていく場所だからこそ、どういう形にも出来るんだよね」
「そうですね。もしあなたたちが嫌がるなら、大人の私たちの誰が舵を取るでも全然問題ありませんしね」
ランさんはそう言って、笑みをこぼす。
ランさんはこれからのことを全く心配していないみたい。きっと皆と一緒なら大丈夫だろうなと思っているのが分かる。
私もランさんがこんな風に笑ってくれるから、何の問題もないだろうなとそう思える。
「あとそうですね……。これはあくまで私が個人的に思っていることですが……、ガイアスが王様になるのならばレルンダが王妃になるのもいいなと思いました」
「王妃?」
「そうですよ。私はガイアスとレルンダが仲良く過ごしているのを見るのがとても好きだなと思っています。あなたたち二人が一緒に進んでくれれば、私は嬉しいなと思うのですよ」
「……王妃って、夫婦になるってこと?」
「はい。そうですよ。二人が誰かと共に歩むのか、誰を選ぶのか……。そのあたりはレルンダやガイアスが決めることですが、それでも私はあなたたちが一緒だと嬉しいなとそんな風に思っているのですよ」
ランさんはそう言って、私の目をまっすぐに見る。
……私はそういうことはよく分からない。
周りの人たちが誰かと夫婦になったりするのを見て、とても素敵だなと思っている。幸せな様子を見ているだけで、いいなとそう考える。
「そっか。……ガイアスも誰かと夫婦になったりするんだね」
そんなこと、あんまり想像してなかった。
ガイアスはガイアスで、仲良くするのは当たり前のことで。
私はガイアスとこれからもずっと仲良くするつもりでいて。
だけど、そっか。
もっとこの国に人が増えて行けば、私達が一緒に居る時間はもっと少なくなって。
そしてガイアスが誰かとそういう関係になったら、益々、二人で過ごす時間もなくなるのかな。
……それは寂しいなって、そんなことを思った。
――少女と、お城の完成 ④
(神子の少女は、女史と会話を交わし、一つのことを想像し少しだけ寂しくなる)




