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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女と、前触れ 1

10月30日 二話目

 目を開ける。

 視界に映るのは、もう見慣れてきたといえる天井。



 獣人の村での生活に、私はすっかり慣れてきていた。朝、目が覚めてすぐ、井戸から水を汲んで顔を洗う。朝ごはんは、昨日森でとってきた木の実と小麦粉を使ったもの。朝、起きてすぐはごはんがあまり入らない。村にいた頃あまり朝ごはんを食べる習慣がなかったからかもしれない。獣人の村に来てからは朝ごはんはちゃんと食べた方がいいってガイアスに言われてからちゃんと食べてる。



 今日は一人で朝ごはんだけど、ガイアスとか村の人たちがご飯を持ってきてくれることもある。皆でご飯を食べるのは楽しい。一緒に同じものを食べて、笑いあえることってこんなに楽しいのだってこの獣人の村で初めて知ることが出来た。



「ぐるぐるぐるぐる(レルンダ、おはようー)」

「ぐるぐるぐっ(おはよう!)」



 朝ごはんを食べて、着替えて外に出たらレマとルマのグリフォンの兄妹の姿があった。



「おは、よう」



 おはよう、と元気よく挨拶をしてくる子グリフォンたちに、私もおはようという。

 二匹と一緒に朝から村の中心部にある広場に向かった。朝早い時間帯だからあまり周りに人はいない。私がここで何をするかといえば、身体強化の魔法の練習だ。ドングさんが教えてくれているそれを私は上手く使えないでいる。魔力はあるから、使えるはずなのだろうけれど、中々難しい。



 そもそも、前に怪我を治した時のものに関しては無我夢中だったから、意識して魔力を使うというのが難しい。



 魔力。魔力。私の中にあるらしい力の塊。

 それを感じることはなんとなくだけど出来るようにはなった。なんかこう、意識を集中させると何かがあるのはわかる。




 ドングさんが身体強化の魔法を使っているの見たけれど、凄かった。


 びゅって走れて、どんって飛び上がれて。獣人たちは人間よりも元々身体能力高いというのに、それ以上の動きを見せていた。ガイアスも、魔力があるかもわからないけど身体強化使いたいってやっているけれど魔力を感じることが今の所出来ないと言っていた。



「んー……」



 唸りながら、私は自身の中にある魔力を感じる。温かい、何かがある。それはわかる。わかるんだけど、身体強化を使うにあたってこの魔力をどうすればいいかが分からない。ドングさんは特に意識せずに身体強化が使えるようになったらしくて私にどう説明していいか分からないらしかった。

 もしかしたら王都から来たと言うランさんが魔法使えないかなと思ったけど、ランさんは魔法が使えないらしかった。



 この温かい魔力を移動させる。慎重に移動させ、手の方に温かい魔力が集まるようにしていた中で、

「レルンダ、おはよう!!」

 突然やってきたガイアスに声をかけられて、集中が途切れてしまった。



「……あ」

「ん? どうしたんだ?」

「魔法、練習してた。集中、とぎれた」

「そうなのか!? ごめんな、只立っているようにしか見えなくて」



 ガイアスは、しゅんとした顔をして謝ってくる。でも確かに言われなければ私がただ朝からぼーっと立っているようにしか見えなかっただろう。



「いい。ガイアス、悪気、ない」



 悪気ないことはわかっているから私はそういう。そうしたらしゅんとした顔が、変わる。耳も動いている。



「魔法の練習って、身体強化のか?」

「ん。それ以外よく、分からない」

「レルンダは魔力は感じられるんだろ? 魔力って、どんな感じ?」

「ん、なんか、あったかい」

「あったかいのかぁ。俺も身体強化使ってみたいけど、魔力がそもそもわかんないからなー」



 ガイアスが残念そうに言う。



「ぐるぐるぐるう?(ガイアス、落ち込んでいるの?)」

「ぐるぐるぐるぅう(私も魔力って何か分からないよ)」



 レマとルマの子グリフォンの兄妹は、残念そうに声を出すガイアスを慰めるように左右から鳴いている。ガイアスはグリフォンたちの言葉は分からないのだけど、グリフォンたちが鳴きながらガイアスを囲むのを、「慰めてくれるのか? ありがとな」と言って撫でていた。



 魔力。

 この胸の内に感じる魔力、それをガイアスに伝えられないだろうか。これだけガイアスは魔力を感じたいと思っているのだから、少しぐらい伝えられてもいいのではないかってそんな風に思った。

 だから、私はガイアスの手を両手で握る。



「レルンダ?」



 ガイアスは、どうしたんだ? とでもいう風に私の名を呼ぶ。



「魔力」



 私はそれだけ口にして、体の奥に感じる魔力を一生懸命手の方へと移動させようとする。ガイアスのために、魔力を使おうと思うと、先ほど練習していた時よりずっと簡単に手の方へと移動出来た。

 私の両手に、私の魔力が集まる。




「手、わかる?」

「なんか、温かいけど……、手に魔力を集めてるのか?」

「ん、これ、魔力」

「これが、魔力……」

「ん」



 ガイアスのためにとやった方が魔力を集めるのがずっと楽だった。これからもガイアスと時間が合う時があったらこうしてガイアスの身体に触れて、魔力を感じてもらおうということで手伝ってもらえないかな。そんなことを私は両手に魔力を込めながら考えた。



 ガイアスはやっぱり、自分の中の魔力が感じられないと言っていたけれど、毎日私の魔力を感じてもらえればガイアスの中に魔力があれば魔力を感じられるようになるんじゃないかとも思った。



 だから、そういう提案をしたらガイアスは「俺も魔力感じたい!」と了承してくれた。それから暇さえあればそういうことをしていた。そうしているうちに私は身体強化が使えるようになっていた。ガイアスも、「自分の中になんかあるかも!」って言ってたからそれはガイアスの魔力かもしれないと思った。




 ランさんが村に住まうようになったり、身体強化が使えるようになったりちょっとした変化はあるけど穏やかな獣人の村での日々の中で、ある日、村の外からの訪問者があったという知らせが私の耳に届いた。




 ――――少女と、前触れ 1

 (多分、神子な少女は多少の変化がありながらも、穏やかに獣人の村で過ごしている)




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 気に入ったので、原作ノベルを読むようになったのですが、漫画は大変読みやすかったのに、こちらは読みにくいですねー。 塊の長文が多いからですかね~。 だから、若干飛び気味に読んでます。
[一言] 漫画が発売され、面白そうだから読みました。 モフモフ世界の新たなる1ページかと思いきや、なかなかハードモードな女の子の話で、ビックリしました。 でも、グリフォン一家に迎え入れられ、幸せになっ…
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