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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女と、範囲

 フィトちゃんと、あの民族の人たちと会わせる事は出来ていない。ドングさんたちが様子見をして手配すると言っていた。あの民族の人たちは私の情報を吐かなかった。あの人たちは、私たちの村と仲良くしたいと思っている。



 ―――私はその事を実感して、彼らの事も改めて大切にしたいと思った。



 だからだろうか、あの民族の人たちが住んでいる場所でも作物が育ちやすくなったらしい。そして、魔物に襲われる事もなくなったのだと。

 そのことをランさんに言われた時、私は驚いた。



「……そうなんだ」

「ええ。やはり、神子の力というものは不思議で面白いわ」



 ランさんは興味津々といった様子だ。

 学ぶ事が大好きなランさんはこんな風に新たな発見があったりすると、それはもう嬉しそうに笑う。




「なんで、そうなったの?」

「おそらく、レルンダの認識ですね。レルンダが彼らの事を仲間だと認めたからでしょう。認識一つで影響を与えるとは、やはり神子の力はすさまじいですね」



 ランさんはそう言って続ける。




「フェアリートロフ王国においては王国全体で神子としての影響が与えられていました。それはレルンダの村がフェアリートロフ王国に所属しているという認識があったからでしょう。レルンダが所属している、もしくは仲間だと認識している範囲に影響を与えるというものでしょうか。本当に神子というものは驚くべき存在ですわ。それにレルンダの事をあの翼を持つ人たちは気にしていました。レルンダは空や風などといったものと関係する存在との相性がとても強いのでしょう。そう考えるとレルンダはいずれ今よりもずっと空を駆けまわれるようになるのかもしれません」



 私は空を少しずつ浮いたり、移動したり出来るようになっている。でも翼を持つ人たちみたいに空を自由に駆ける事は出来ない。でも、いつか、自由に飛べるようになるのだろうか。そうなれたら嬉しい。空を飛べるようになったら、もっと翼を持つ者達と仲良くなれると思うから。もっと自由に空を駆けられるようになりたいな。



「神子の力の範囲とは何処まで続くのでしょうか。どの範囲にまで影響力を与えられるのか……。それに『神子の騎士』の力についてもまだまだ解明しなければならないことが沢山存在します。『神子の騎士』は数が限られているはずですが、あとの『神子の騎士』がどうなるか……ブツブツ」



 ランさんは、何だか考え込んでしまっていた。本当にランさんは、色々なことを知ることが好きなのだなと思ってならない。


 ランさんがブツブツと何かを言いながらメモを取っている。



 紙の製作はランさんの元進められていて、大分上手くいっているらしい。ランさんは私の事をまとめたものを書きためているそうで、それを本として製本していっているそうだ。あとは子供への教育のための教科書もおばば様と一緒に作っていると聞いた。


 とはいえ、この村には子供はそんなにはいない。

 私と同年代の獣人の子供たちより下の子供はこの三年で生まれていない。元々獣人というのは人間よりも子供が出来にくい。繁殖期と呼ばれる時期は子供が出来やすいらしい。丁度私と同年代の子が多いのはその時期に繁殖期だったからっていう話だった。エルフの人たちに関しては、獣人たちよりも子が出来にくい。



 だけど、これから命が生まれていくだろうから、そういう子供たちに何かを教えられるようにランさんもおばば様も一生懸命だ。



「ねぇ、ランさん」



 ブツブツ言い続けているランさんに声をかける。



「はっ、すみません。考え込んでしまって。なんですか、レルンダ」

「その影響の範囲って私の思考次第ってこと?」

「ええ、おそらく。それも無意識の思考が影響していると思われます。貴方が幾ら取り繕ったとしてもその心が本心から思わなければ影響は与えられないでしょう」

「……それは、怖いね」



 無意識の思考が何かに影響を与える。それが良い影響だったらいいのかもしれないけれども、悪い影響だったらと思うと恐ろしくなる。



 影響を与えているという事実には、怖さの方が強い。



「そうですね……。とても強い力というのは恐ろしいものですわ。でも、恐れなくていいの。貴方は貴方のままでいいの。きちんとその力と向き合って、ちゃんとやっていけば恐れる事はないわ」

「……うん」



 きちんと、自分が何を出来るかというのと向き合っていくこと。それが出来れば、私は自分の力を恐れる事をしなくていい。―――ランさんの言葉は力強くて、とても安心する。私は頷きながら、きちんと向き合って頑張ろうと改めて思った。



 ―――少女と、範囲

 (神子の少女はその影響を与える範囲の話をする。そして改めてその力と向き合わなければならないと実感を深めるのだった)




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