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辺境の地に婿入りしても良いですか?  作者: ゆりあ
オライノース公爵家へ
31/36

これは、現実だ

「アンヘリノ兄上

ただいま帰りました。」


「おかえり、レオン。

ディオンは、久しぶりだね。」


「はい、お久しぶりです、アンヘリノ殿」


レオンによく似た、肩まで伸ばした黒髪の青年

オライノース公爵家の嫡男、アンヘリノ。


無表情かつ、のんびりとした雰囲気なのだが、実際は、弟妹たちを猫可愛がりしている。


特に、末弟レオンは、14歳離れているから、25歳になった今でも可愛いそうだ。


ちなみに、レオンは長兄のその姿が恥ずかしいらしいのだが、もはや、すでに諦めている。


「あれ? ところで、アンヘリノ兄上

ジーン義姉上とエディは、何処にいます?」


「今朝から、孤児院に出掛けていてね。

最近、新しい子が入って来たみたいで、様子を見に行っているんだ。」


「ああ、それで見かけないんですね。」


アンヘリノの妻ジーン夫人は、隣国から嫁入りしてきた金髪紫目の美しい公爵令嬢。


ふたりの一人息子、エディは、ふわふわ黒髪に紫目の、これまた美しい美少年で、母と共に、孤児院の手伝いをしているのだ。


見るからに高貴な母子のため、孤児院に住んでいる子どもたちからは遠巻きにされているが、慣れて来た子は懐いていると、聞いている。





「そちらのお客人は?」


「リーンダート伯爵が嫡男ユージと申します。

アンヘリノ様、宜しくお願い致します。」


「リーンダート伯爵が次女リタでございます。

アンヘリノ様、宜しくお願い致します。」


「ああ、サラサ夫人の妹弟なんだね?宜しく。

今日は、ゆっくり休むと良いよ。」


「リタ嬢、ユージくん、私が案内するよ。」


「はい、ありがとう存じます。」


「ありがとう存じます。」







「それにしても珍しい。」


「………何がですか、兄上?」


ディオンが、リタ嬢とユージくんを、しばらく泊まる部屋に案内をしている間に、レオンは、久しぶりに、兄とお茶を嗜んだ。


たまに、兄のことを構わないと拗ねるからだ。


この美形の見た目からして、かなりギャップがあるため、兄がブラコンであることは、あまり知られていないようだが。


「そりゃ、レオンがディオン以外の友達を連れてくるなんて、滅多に無いじゃないか!」


「あー、二人は、ディオン様の友人達ですよ。

ちなみに、リタ嬢は、ディオン様の想い人ですから、見守って下さいね。」


「ディオンが?ますます珍しいじゃないか!」


「やっぱり、兄上から見ても珍しいですよね?

てっきり、夢なのかと………」


「これは、現実だ。しかし、気持ちは分かる。

まあ、見守っていくしかあるまい。」


「はい、宜しくお願い致します。」

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