これが、王都!
「これが、王都!」
「とても広い………凄いわ………
わたくしが想像していた以上に大都市ね!」
目の前に広がる大都市の王都、ソアラール。
約束通り、ディオンは、ユージくんとリタ嬢を王都に連れて来た。ふたりは、また同じような表情で、ぽかんとしている。
無理もない、エルナール辺境伯領の中心部より遥かに広い王都の街並みに驚いたのだろう。
「オライノース公爵家は、何処ですか?」
「うん?真ん中に、王城が見えるだろう?
その左隣りの緑色の建物が、そうだ。」
「大きい………王城と変わらない………」
「ああ、確かに、オライノース公爵家は公爵家の中でも、一番でかい。王弟が養子入りしたり、婿入りしたりする家だからな。」
今、オライノース公爵家には、公爵閣下と嫡男夫妻、孫息子の少年が住んでいる。
その割に、広い屋敷なので、執事や侍女などの使用人、料理人、庭師、清掃係、その家族も、一緒に暮らしている。
私達が宿泊し滞在するのは、その屋敷の一角、別館のひとつだ。そこは、あまり使用人たちが入らない、賓客用エリアになっている。
「ええと………
ハリウィム公爵家は?」
「ハリウィム公爵家は、右隣りの青い方だ。」
「こちらも、巨大ですね………!」
ハリウィム公爵家の方も、割と広い。
こちらは、ハリウィム公爵夫妻、嫡男のエルモ兄上の家族、ディオンが暮らしている。
ディオン自身は、次男坊で、役職がある訳ではないため、離れで、一人暮らし生活だ。執事や侍女もいない、自立した生活を送っている。
いずれ、伯爵位をもらうことになっているが、あまり興味が無く、静かに暮らしていた。
まあ、それが、キャンベル伯爵令嬢にとって、つまらないものだったのかもしれないが。
「今回、向かうのは、オライノース公爵家だ。
まずは、ルイス王弟殿下に挨拶だな。」
「ここからは、私が、実家を案内いたします。
着いて来てください。」
「は、はい! ありがとう存じます!」
「ありがとう存じます!」




