護衛なんじゃ?
「ディオン様は…」
「ん? なんだ、ユージくん?」
「これから、どうされる予定なのですか?」
「……どう?そうだな、もともとの予定なら、次は、王都にいったん帰省して、オライノース公爵家に、閣下に会いに行く予定なんだ。」
「ルイス王弟殿下に………」
オライノース公爵家の先代当主夫妻の一人娘に婿入りする形で、公爵閣下となった王弟殿下
それが、ルイス・フィーリュ・フォン・セン・スーウィル・オライノース公爵閣下だ。
彼は、国王陛下の弟で、非常にのんびりとしたお方だ。幸いな事に、彼に野心が無さすぎて、派閥が作られることなく、のんびりと爽やかに王位継承権を破棄した人だ。
ディオンは、4人の愛息子と3人の愛娘がいる子煩悩な父親の姿しかしらない。
だが、王位継承権を持っていた時代は、当時の王太子殿下であられた国王陛下の参謀役として名を馳せていた方でもある。
「レオンのお父上だよ。」
「ええと……… レオンさんって
ディオン様の護衛なんじゃ?」
「レオンは、オライノース公爵家の末息子。
私の護衛の振りをしているだけなんだ。」
「えっ!? そうなのですか!?」
レオンは、ディオンの後ろに控えている執事風護衛騎士と思っていたから、予想外だ。
ルイス王弟殿下の末息子、つまり、レオンは、国王陛下の甥ということになる。
「むしろ、血筋なら、レオンの方が上なんだ。
彼は、諜報みたいに調べ物が得意でね、護衛の代わりに着いてきてくれたんだ。」
「あまり自己紹介は好きではないんですが…
オライノース公爵家の四男、レオン・ニーズ・フォン・ビー・レツェロ・オライノースです。
改めて、宜しくお願いします、ふたりとも。」
「あ、ちなみに、私の再従兄弟でもあるよ。」
「よ、宜しくお願いいたします!レオン様!」
「レオン様、宜しくお願い致します…!」
伯爵子息がハリウィム公爵子息に会えるだけで奇跡なのに……
王弟殿下のご子息まで、エルナール辺境伯領にお忍びで来てたらしい。
「あまり、レオン様呼びは好きじゃないから…
普通に、レオンさんで良いですよ。」
「分かりました、レオンさん。」
「ユージくん、リタ嬢、ふたりに提案がある。
ふたりとも、いったん王都に来てみないか?」
「えっ!? 僕達も、ですか?」
「えっ!? なぜ、わたくし達も?」
予想外の話からの、予想外の展開に、二人は、仲良く、ぽかんとした。
その表情は、さすが姉弟、そっくりだ。
「私とレオンが、オライノース公爵家に滞在する期間は、約1ヵ月。その間、ふたりは、私達と一緒に公爵家の別館で滞在する事になる。」
「オライノース公爵家に………」




