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辺境の地に婿入りしても良いですか?  作者: ゆりあ
リーンダート伯爵家へ
25/36

ご自由にどうぞ

「ディ、ディオン様………

リタのアクセサリーを買って下さるので?」


「ああ、私の母上は、こういった手作り感のあるアクセサリーが好きでしてね。来月は、母上の誕生日なので、ちょうど良いかと思って。」


「そうですか…… ありがとう存じます。」


伯爵は、あまり納得していないようだった。


正直に言うと、リタ嬢製作のアクセサリーは、王都で売れると思う。


男性目線ですら、そう思うのだから、母上や、兄の妻、王太子妃殿下に見せたら、とても人気出そうなものばかりだ。


リタ嬢が自信無さげなのは、婚約破棄の件だけじゃなく、父母がこんな感じだからだろうな。





「まあ、実は………

もうひとつ、旅に出て、

こちらに来た理由があって」


「えっ!? そうなのですか?」


「実は、そうなんだ。

周りには、あまり言ってないんだが…」


「そ、そうなんですね。

あまり言えない内容なのでしょうか?」


「婚約してたキャンベル伯爵令嬢から、一方的に婚約破棄されたばかりで、休養中なんだ。」


「えっ? ディオン様も婚約破棄を………?」


「ああ。そうだよ。

 先月のことだ。」 


伯爵家当主夫妻も、ユージくんも、リタ嬢も、その情報に思わず驚いて、目を見開いた。


リーンダート伯爵家の人達は、それぞれ、このような見目麗しい赤髪の美青年が、公爵子息の青年が婚約破棄!


しかも、相手は、伯爵令嬢?伯爵令嬢からは、一方的な婚約破棄は出来ないのに?


と、内心、混乱していた。


「え、ええと………」


「どうやら、キャンベル伯爵令嬢は、次期侯爵の青年と婚約したいらしい。」


「それは、いきなりは、難しいのでは………」


「ああ、難しいね。その次期侯爵である彼には、来年婚姻を結ぶ予定の最愛の恋人がいるから、相手にはされてないみたいだが。」


「な、なんと………

そのようなことが………

貴方様のような、高貴なお方でも、婚約破棄があり得るのですか?驚きました。」


王族のディオンのような公爵子息でも婚約破棄されるのだから、リタ嬢やご家族は安心しても良い、と。そう悲観しなくても良い、と。


ディオンは、そう伝えたかったのだ。






「ああ、そうだ。」


「な、なんでしょう?」


「もし良ければ、ユージくんとリタ嬢とゆっくりこの部屋で話しても構わないかな?」


「は、はい、もちろんですとも。

こちらの部屋は、ご自由にどうぞ。」


「ああ、ありがとう。」

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