好きなだけ食べなよ
「ディオン、ここだよ。」
「こちらがガーヤ食堂です。」
商店街の一角に位置する『ガーヤ食堂』
わいわいガヤガヤしていて、大変賑やかだ。
厳つい顔の店長らしきお爺さんと、バタバタと準備して回っているおばあさん、後片付けしている年若い青年、接客中の少女の姿が見える。
「いらっしゃいやせぇぇー!!」
店長さんらしきお爺さんは、声を張り上げて、出迎えてくれた。
彼は、おそらく、80代くらいか。生涯現役で頑張っているのか?凄いな。
「いらっしゃいませー!
お客様は、何名様ですか?」
「こちらは、4名です。」
接客担当らしい少女は、ディオン達を見ると、ニコニコとやって来た。
この4人を見て、一瞬、緊張したように見えていたが、この少女の、すぐ仕事に集中が出来る姿は、個人的に、好感がもてる。
なんせ、王都でお忍びで入ったら、積極的に、裕福そうな異性を見かけたら、店員であろうと声をかけてくるものだから。
しかし、彼女は動揺はしたが、すぐニコニコと普通の表情に戻ったのだ。
「はーい!
お客様、ありがとうございます!
お席は、こちらです!ご注文がお決まりになりましたら、お呼び下さい!」
「うん、ありがとう。」
「何にする?」
「かなりあるな………
一番、コレが気になる。」
「うん? キーンパイタメンの大盛りか
良いんじゃないか?」
「うん、そのキーンパイタメンにするよ。
2杯分、頼んでも良いか?」
「もちろん、好きなだけ食べなよ。」
パイタメンというものを初めて見た。
もちろん、それが麺類だと言うことくらいなら知ってはいるが。
白いスープに細長い麺が入っていて、なんか、これは、シンプルだが、不思議な麺類だな。
「パイタメンは、
東のラウメン王国発祥なんだ。
ここの店長の奥さんが、ラウメン王国のクーガ辺境伯領の商家出身なんだよ。」
「ああ、だから、珍しい料理が多いんだな。」
ラウメン王国は、小さな王国ながら栄えている国であるらしい。料理の種類も豊富だとは。
いずれ、交流したい王国のひとつだからこそ、こうやって、文化を知れるのは嬉しく思う。
「ルーカスは、何を選ぶんだ?」
「うーん………そうだな………悩む………
マーボナライスとキーンジャ大盛りで!」
「それ、辛そうだな…
リュージは、何にする?」
「そうですねー
僕は、キーンパイタメン普通盛りと
サクライス入りパイタメンを大盛りで」
「おー、サクライス味か、美味しいよな」
「ええ。大好物なんです。」
「店員さん〜
こっち、決まったよ〜!」
「はい!お伺いいたします〜!
ご注文はいかがなさいますかー?」
「キーンパイタメンの大盛り2杯
マーボナライスとキーンジャ大盛り
キーンパイタメン普通盛りと
サクライス入りパイタメンを大盛り
お願いします。」
「はい、ありがとうございますー!
少々お待ちくださいー!」




