見えないよな!
「ディオン!」
「ディオン様!」
「ああ、ふたりとも、おはよう。」
「すまない、待たせたな。今日は宜しく。」
「本日は、僕まで、宜しくお願いいたします。」
「ああ、宜しく。
エクトール。ユージくん。」
今日からは、本格的に、エルナール辺境伯領の観光地巡りに向かうこととなった。
レオンは、勿論。今回は、親友のエクトールとエクトールの義弟、ユージくんと一緒に向かうことになった。彼らは、飛び入り参加だ。
「まずは、ガーヤ食堂に。」
「なぜ、ガーヤ食堂なんだ?」
「ここは、サラサ夫人からのオススメだな。」
「サラサからの………あり得るな。ああ見えて、実は、サラサは、大食いなんだ。」
「え、そうなのか!?見えなかったぞ?」
「ははは!見えないよな!」
「次は、どちらに?」
「そういえば、泊まるんだろう?
何処に宿泊することになったんだ?」
「次は、セーテ村の温泉地に泊まろうかと。
リタ嬢のオススメなんだ。」
「おおー、セーテ村か、それは良いなー。
あそこは、良い場所だよ。」
ガーヤ食堂で食事をしたら、夕食時に間に合うように、セーテ村に向かう予定。
セーテ村へは借りた馬車で向かうことにした。お忍びだから、護衛は、レオンのみ。見知らぬ操縦士を雇うのは難しい。
そこで、護衛しながら、レオンが器用だから、馬車を操縦することになったのだ。
「四人部屋は、取れたのか?」
「もちろん。」
「旅館は、どちらの?」
「旅館『オーグリア』の別館だ。」
「へぇ〜!良い場所とったな、レオン!」
「レオンさんは、凄いですね!あそこの別館は、なかなか予約がとれないんですよ?」
「はい。 ありがとうございます。
先日、幸いにして、キャンセルされる方がいたようで、空き部屋がありました。」
『オーグリア』は、セーテ村のオーグリア商家の親族が経営している旅館らしい。
お忍びで温泉地に行く貴族たちに人気とのことなので、そちらの別館を予約したのだ。
ちなみに、その別館は、今回貸し切りらしく、今夜は、ゆっくりと過ごせそうだ。
「それじゃあ、さっそく、向かうか?」
「ああ、行こう!
ガーヤ食堂に案内するよ。」
「ディオン様、エクトール様!
まだ、ちょっと、お待ちください!」
「何かあったか、ユージくん?」
「ん?なんだ?」
「ディオン様は大丈夫なんですが、エクトール様や僕は名を呼んだらバレます。」
「あー、なるほど、確かに、バレそうだな。
それなら、ルーカスとリュージは?」
「よし、それで行きましょう!」
「ルーカスとリュージか
面白そうだな!」




