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何?手紙?

「ディオン様!」


「なんだ、レオン?」


「先程、王都から手紙が届きました。」


「何? 手紙?」


ディオンとレオンが、エルナール辺境伯領地にいることを知っている者は少ない。


王家の方々とハリウィム公爵家の関係者ならば知っているが。


わざわざ、王都から?何があったんだ?


「こちら、エルナール辺境伯家に届きましたが、ディオン様宛てだそうです。」


「その手紙は、いったい、誰からなんだ?」


「エクトール様は、ハシント王太子殿下からとおっしゃってました。こちらをご覧下さい。」


「王太子殿下から………!」


この独特な、爽やかなお香に、ハシント王太子殿下でしか押せない白薔薇の紋様の判子…


王家や公爵家は、偽造されたり間違えられたりしないように、特殊なお香と、決まった紋様の判子を使用しているのだ。


さらに、この文字とサイン、まさに、ハシント王太子殿下の手紙で、間違いは無いだろう。


「ああ、なるほど…」


「何があったのか、お聞きしても?」


「どうやら、キャンベル伯爵令嬢が職場に向かうガストンに言い寄っているらしい。」


「なんと… 職場で…」


「夜会ならば、ガストンに声を掛けても違和感は無いが、まさか、職場に行ってるのか?」


「意外と行動力がお有りのようですね」


ガストンとアンドレア姫に、思い切り、迷惑をかけているではないか…


夢見がちな少女らしく、遠くから、ガストンを見つめているだけなら良かったのだが


しかし、行動に移してしまった以上、これは、厄介なこととなる。


「この手紙によると、ガストンとアンドレア姫の婚約発表を早めるらしい。今月末に。」


「それは、思い切った行動に出ましたね。」


「そうだな…」


普通ならば、王族の婚約発表、婚約式などは、時間をかけて、慎重に、開催されるものだ。


しかし、キャンベル伯爵令嬢のような夢を見る少女が出てきたため、早めたらしい。


第三王女アンドレア姫が相手なら、さすがに、キャンベル伯爵令嬢も諦めることだろう。


「王太子殿下と、ガストン、アンドレア姫宛てに元婚約者がご迷惑をおかけした謝罪と婚約式の祝福の手紙を送るとしよう。」


「では、手紙など

必要な物を買って参ります!」


「ああ、頼んだぞ。

出来れば、早急に。」


「はい!もちろんです!

承知いたしました!」

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