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辺境の地に婿入りしても良いですか?  作者: ゆりあ
王都ソアラールにて
14/36

ご相談がありますの

「ハシントお兄様

いま、宜しいかしら?」


「ハシント王太子殿下

失礼いたします!」


「アンドレア? ガストン?

ふたりとも、何か、あったのか?」


ガストンは、アンドレア姫と共に、王城の奥に住まうアンドレア姫の実兄に会いに来た。


その長兄こそ、ハシント・イジドア・フォン・エレジオン・スーウィル王太子殿下だ。


「ええ。お兄様にご相談がありますの。」


「急ですが、ハシント王太子殿下に折り入って、ご相談がありまして…」


「ふうむ、相談ね、分かった。

君達からの、その相談とやらを聞こう。」


「ハシントお兄様、ありがとう存じます!」


「ハシント王太子殿下、有難う存じます!」






「キャンベル伯爵令嬢をご存知かしら?」


「グレアム殿とドナ夫人の娘達のことかな。

知ってはいるけれど、話したことはないよ。

長女か、次女か、どっちのことかな?」


「長女のステイシーの方ですわ。」


「ふーん………

ステイシー嬢の方ねぇ?

また、何か、やらかしたの?」


キャンベル伯爵家の長女、ステイシー嬢。


どうやら、彼女のやらかし、婚約破棄騒動は、王太子殿下の耳にも届いていたようだ。


それは、そうだろう、ハシント王太子殿下は、親族の末裔、エルモ様、ディオン様のご兄弟を気に入っておられるのだから。


「うーん………

やらかしてはいないのだけれど…」


「うん?やらかしてはいないのか?」


「でも、やらかす寸前だと思うわ。」


「ふうむ? 何が、あったんだ?」


「ディオンとの婚約破棄以降、最近、ガストンの周りに、よく現れるようになったのよ。」


「なぜ、ガストンに?

ステイシー嬢の元婚約者の兄の部下だぞ?

まさか、気にしていないのか?」


「さあ?気にしていないのかしら?

何を考えているか、全く分かりませんわ。」


「私も、正直、分かりません…。

先日は、いきなり、声を掛けられました。

『お買い物に行きませんこと?わたくし、欲しいものがあるのです!』という感じに。」


「なんだそれ………

あまり話したことないのにか?」


「話はあまりした事がないですね。」


ガストンも、正直に言って、分からない。


アンドレア姫様も、うーん………?という感じに分かりやすく困っているようだから。


「まさか、ガストンの地位目当てか?」


「もしも、そうならば、野心家なキャンベル伯爵閣下に似たのかもしれませんね。」


キャンベル伯爵閣下に似た可能性ならあるが、伯爵閣下は、野心家の割に、大人しい方だ。


娘達を甘やかす傾向にはある。しかし、王族を怒らせてまで、行動に移すことはない。


現に、ディオンへの一方的な婚約破棄騒動に、キャンベル伯爵閣下は、カンカンに怒っているという情報なら、入っているから。

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