それは意外ね!
「そうねえ
私からは商店街をオススメするわ。
領地の料理が食べれるの。」
「商店街………それは、気になるな。
私もレオンも、意外と大食いなんだ。
その情報は、嬉しい。」
サラサ夫人が、突然立ち上がって、喫茶店内に置いてある小さな雑誌を持って来た。
それは、商店街を中心に、オススメの料理店が書かれた真新しいものだ。
「あら、それは意外ね!
大食いのお方にオススメなのが、その商店街にあるガーヤ食堂よ。」
「ガーヤ食堂!
ありがとう、サラサ夫人。」
『ガーヤ食堂』のページには、確かに、大食いの人向けの料理が、たくさん、あるらしい。
しかも、このエルナール辺境伯領の旬のものが使われたものばかりで、美味しそうだ。
「観光地………
ではありませんが………」
「コアな場所でも構わないぞ?」
「ディオン様が温泉が平気でしたら、南方にあるセーテ村の温泉はいかがでしょうか?」
「ほう?温泉地があるのか、珍しいな。」
この王国では温泉を楽しむ文化がないために、温泉地は、非常に少ない。
が、一部の貴族は、密かに、温泉に貸し切りの予約をして、楽しむものだ。
ディオンは、その一部の貴族なのだ。
目立たないが、王都の南の隅に温泉地がある。
そちらに、密かに行くことが多い。
「身体が暖まりますと、血流が良くなります。
実は、あまり知られてはいませんが、温泉は、健康に良いのですよ。」
「そうなのか?
温泉は、健康に良いものなのか?」
「ええ。セーテ村の温泉は、免疫力強化、疫病予防、冷え性の改善に繋がっていますから。」
「それは知らなかった!良い情報を聞いたよ!
ありがとう、リタ嬢。その温泉地に予約して、行ってみることにするよ。」
「ふふ。 ぜひ、ごゆっくり。」
「レオン」
「はい、なんでしょう?」
「3日後に、セーテ村に行くことにしよう。
セーテ村について、調べてくれないか?」
「はい、承知致しました。
調べて参ります。」
ディオンとしては、気軽に行きたいが。
今回は、お忍びのため、旅人として行くので、あらかじめ、調べておく必要がある。
リタ嬢が紹介してくれた場所だから、安全ではあると思うが。念のためだ。
「ガーヤ食堂には、いつ行かれますか?」
「エクトールを誘いたいから、エクトールに相談してから、決めるよ。」
「エクトール様に!
はい、かしこまりました。」




