43話 決定
「条件とは?」
国王が真剣な面持ちで聞いてくる、その顔にはさっきまでは無かった覇気が滲んでいる。
まぁ、国王も俺が条件付きとはいえ貴族になっても良いと言い出すとは思っていなかったのだろう。
と言うのも現在、俺以外の3人のSSSランク冒険者達は皆爵位を持っている、それはつまり3人のSSSランク冒険者達はそれぞれ国に属しているという事に他ならない。
その3人がそれぞれ属する国がこのエラムセス王国なのであれば何も問題はないし、国王や貴族達もここまで下手に出ることは無かっただろう。
三大国と称えられるこの国にさえその3人のSSSランク冒険者達は誰1人としている属していない、それだけならまだいい、しかし問題なのはその3人が全員同じ国に属していると言うことだ。
武力的な面で見て人の身でSSSランク冒険者に匹敵する者は殆どいない、その数たったの5名だ。
メイビス帝国を治める皇帝、代々剣帝と称えられる皇帝達の中でも最強と噂されるアンジリーナ・エレ・アルニクス・メイビス。
聖王国に存在する聖剣を唯一の扱うことができ、全ての剣を超越する腕を誇ると言う、剣聖レーラ・サーティスト。
俺たちと一緒に座っているが実は今は隠居した元SSSランク冒険者であり、現冒険者ギルド総師、閃光の大魔導師ジークラウス。
古今東西ありとあらゆる魔法を熟知していると言われていながら、冒険者になるでも無く自由気ままに魔法の研究をしている、魔女アレティヌス。
魔法を覚えるでも無くひたすら身体を鍛え鍛錬を重ね、気闘法や神闘法を独自で生み出し遂には世界最高レベルの力を手にした、拳神マークレン。
因みに最後の2人のうち魔女アレティヌスは実験と称して彼女と犬猿の仲にあった国の王城を吹き飛ばし王族を皆殺しにしたと言う、嘘のような事実を持つマッドサイエンティスト。
拳神マークレンは、修行に熱中し過ぎた結果いつのまにか一国の領土を再起不能なまでに叩き潰したと言うこれまた信じられない様な事実を持つ修行バカ。
2人ともそれぞれ世界的に指名手配されている犯罪者だ、まぁ2人ともそれ以外にも結局は何国かを滅亡させているので決して間違いではないのだけどね。
因みに俺と2人の関係はAWOで俺が魔法や闘い方を教わった師弟関係と言えなくもない、あっ、勿論2人はプレイヤーで無くイベントで追加されたNPCだったけどね、まぁ実際は実在した人物だったわけだけど。
2人が人でありながらも今も生きている理由だが、これまた信じられまいことに、アレティヌスは自身に不老不死の魔法をかけて不死の存在になっている。
マークレンはもっと意味不明だが、身体内の気をコントロールして修行しているうちに気が聖気に変わりそのおかげで寿命がないと言っていいほど伸びて老化もしない聖人と言う種族に覚醒したらしい。
まぁそんな訳で2人は俺のAWO時代の姿を知っている数少ない存在でもある。
かなり話が逸れたが、人とされる存在でSSSランク冒険者達に並ぶ存在は彼ら自身入れて8人しかいない、冒険者である3人は国はメイビス帝国にて爵位を持っている帝国貴族だ。
そして皇帝本人を含め人とされる存在で最強の8人のうち半数がメイビス帝国に属しているという事になる、そして8人のうち3人はどの国にも属さない存在だ。
つまりは、各国の間で最も武力を持っているのが帝国であり、その発言力は頭一つ抜けている状態で、それに次いで聖王国と、8人の属する順に各国の発言力は大きいと言うことになる。
そこに降って湧いた9人目が俺だ、そんな俺を国王が確保しようとしないはずもない。
しかし、俺が冒険者と言う事で俺が属するのならば帝国が最も確率が高いからこそ国王もこの国最強さらには他国にも美姫と噂される自身の娘を嫁にと提案を出したのだろう。
もし俺が普通に貴族になると思っていたと言うのならば、国王が自身の娘であるアリス王女を嫁に出すと言う提案を出す事は無かっただろうな。
余談だが、冒険者である俺が帝国に行くと国王が考えた事にも他3人のSSSランクが帝国にて爵位を持っている事にも勿論理由がある。
端的言ってそれは帝国の立地にある、以前にも軽く言ったことがあった気がするが、帝国は俺のアビスの上にある国だ。
上にあると言うよりかは、俺が下に造ったと言う方が正しいのだが、まぁ灯台下暗しと言うわけでその場所に造ったのだがアビスが俺のホームだと言う噂はすぐにネット上に広がった…
まぁ、メイビス帝国は迷宮アビスの上に帝国を建国し、迷宮アビスは帝国の所有物だと各国に宣言しているので今の世界にあそこが俺のホームだと知っている者は数少ない。
と、まぁそんな訳で、世界最大の迷宮があって尚且つ三大国と言う好条件のメイビス帝国を大抵の冒険者はホームとすると言う訳だ。
まぁ、俺は転移できるので別にそんなことにこだわる必要はないし、今は勇者達がいるはずなので帝国とは関わりたくないと言うのが俺の正直な意見だ。
とまぁそんな訳で国王は何が何でも俺を獲得したいのだろうけど、俺の提示する条件が通るものなのか、リエル先生は何やら自信がありげだがハッキリ言って俺はこんな条件が通るとは思えない。
「私が提示する条件は3つあります。
1つ、他の貴族の方々に権力で迫られるのは嫌なので出来るだけ高位の爵位を頂くこと。
2つ、私達は誰からの指示も受けないと言うこと。
3つ、領地は持たずに自由に行動する許可を頂くこと。
この3つが私がこの国で貴族になる条件です」
こんな条件を呑む国があるだろうか?1つ目はまだいい、しかし2つ目が問題だ、誰からの指示も受けないとなると国王の勅命も従わないと言うことになるからな。
「1つ聴きたいのだが、2つ目の条件にはどの様な意図がある?」
「私が二つ目の条件を提示した理由は、主に他国との戦争に駆り出されたくないからです。
とは言え、この国で貴族になる以上はそれなりの責任は待つつもりです。
例えば、エラムセス王国側から他国に戦争を仕掛けた場合、私達は一切助力するつもりはありません。
しかし、その戦争がどうしても回避出来ない状況にあり他国側に非があると私が認めた場合は出来る限りの助力を惜しむつもりはありません。
他にはそうですね、面倒ごとを押し付けられるのが嫌だからですね」
「アウレーニス公どう思う?」
「そうでございますね、ではソータ殿三つ目の条件に関する理由をお教え頂いても?」
「それは単純に私の主な目的が各国を観光することですからね」
「では、ソータ殿がこの国に不在の時に他国がいきなり進行してきたらどうするおつもりで?
先程、ご助力頂けると仰いましたがその様な場合には不可能ではないでしょうか?」
まぁ、そう思うわなそりゃ、けどその点に関しては抜かりない、ここで俺はリエル先生の指示通りにカードを切る。
「あまりこの話はしたくは無いのですが、冒険者ギルドには転移魔法陣がある事をご存知ですか?」
「勿論存じております。
しかし、その転移魔法陣で移動できる距離は半径50メートル程度が限界と聞きます」
「よくご存知ですね、まさかそこまで知っていらっしゃるとは思いませんでしたよ。
アウレーニス公爵殿が仰る通り冒険者ギルドの転移魔法陣では精々が半径50メートルが限界でしょう。
しかし、私は魔法陣さえ設置させて頂ければ世界中何処からでも転移する事が可能です」
「な!それは本当でしょうか!?」
それを聞いた国王が身を乗り出してそう聞いてくる、周囲の貴族達も同じように驚愕にざわついている、ジークラスさんとエリナさんもまた、驚愕を隠せていない。
「ええ、信じて頂けるかどうかは貴方方次第ですけど」
「陛下!それが本当ならば我が国の国力は大きく上昇しますぞ!」
そして、かなり興奮した様子で周囲に立っている貴族達のうち白髭を携えた人物がそう声をあげた。
全く、この人は何を聞いていたのだろうか?それとも本当に俺が提示した条件を理解できていないのだろうか?
「静まれぃ!」
騒然となった室内は国王の一括が響き渡った、その声にこもった覇気は流石は三大国の王だと思わせるだけのものがあり、騒然としていた貴族達が一斉に静まり返る。
「クライス侯、貴殿の言っていることは間違っておる、先程ソータ殿が提示された条件の中には誰の指示にも従わないとある。
それはつまり我らが軍隊の行軍や物資の運搬にソータ殿のお力を使う事は出来ぬと言うことだ」
「そういう事です。
まぁ私から協力することはあるかもしれませんけど」
どうやら国王とそう言う国王の隣で俺の事を見ているアウレーニス公爵は俺の条件の意図をしっかりと理解しているようで一安心だな。
「ソータ殿が提示する条件を呑む事は難しい」
ですよね、俺もそう思いますよ、うん。
「しかし、それでもソータ殿が我が国の貴族となってくれる事で得られる利益は計り知れない」
えっ?この人は何を言っているんですかね?確かにメリットはあるだろうけどそこまでのメリットは無いと思うんだけど…
(そんな事はありません。
SSSランク冒険者が属するのであればそれだけで他国への大きな抑止力になり、発言力もかなり高まります。
それに、ソータ様を他国に取られることの方がこの国にとって大きな損失となり得ます)
どうやら俺はまだSSSランク冒険者の評価を誤っていたようだな。
「よって、我が国はソータ殿を貴族として迎えようと思うのだが、皆の者異論はあるか?」
国王のその問いに答えるものは誰もいない。
「ではソータ殿を我が王国貴族として受け入れる事とする。
今より2日後にスタンピードの事を含め大々的に勲章式を行う事とする。
それまでに全ての調整を終わらせるのだ」
「畏まりました」
国王がそう言うと、首位の貴族達は臣下の礼を取り隣に座っていたアウレーニス公爵は胸に手を当ててそう言いながら深く頭を下げた。
まさかここまでトントン拍子で事が進むとは思ってなかったな、まさにリエル先生の言った通りになったわけだ、流石は先生だな、まぁ先生は俺の権能だから俺なんだけどね。
「ソータ殿よ、今日は実に有意義な話し合いが出来た。
2日後の事はまた追って連絡する故本日はここでお開きとするとしましょう」
そう言う、国の視線が一瞬しっかりとヘルを捉えたのを俺は見逃さない、そして多少その顔が引きつったことも。
「いえ、此方こそお招き頂き誠にありがとうございました。
また、是非語り合いましょう」
「う、うむ。そうしよう」
そう言って俺たちは席を立ち互いに握手を交わした。
ちなみに、ヘルはしっかりと大量のお菓子をその胃袋に収めていた。
後日、実は王城の食材が枯渇寸前まで無くなったらしいと言うのが噂を聞いたのだが、強ち間違いと否定できないのが、なんとも言えないな。
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題名変更しました!
「吸血商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください。
*ちなみに題名は仮名なので変更するかもしれなれません。




