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第十三話― 悲しきかな、雨もしたたる水泳授業(2)

 それから数日ほど経過し、またしても二年七組にとってこの上なく待ち遠しかった水泳授業の日が訪れた。

 この日は朝から気温がぐんぐん上昇し、天気予報でも一日を通して降水確率ゼロパーセント。最低気温も二十度を下回らないと報じるほどの夏真っ盛りの快晴であった。

 二年七組の教室には、日本晴れという記念すべき日に心を弾ませる勝と拳悟がいる。この天気なら絶対に中止はない、彼らは感涙とともに万歳三唱して喜びを分かち合っていた。

 これまで水泳授業が中止になること計四回。それほどまでに天候の神様に恵まれなかったのだから、彼ら二人の歓喜の咆哮も止む無しといったところか。

 それを証拠にクラスメイトたちも笑顔でハイタッチを交し合い、プールで戯れることができるこの日の到来を心から喜んでいたようだ。

「おいてめぇら、やかましいぞっ! 授業中だろうが!」

 喜ぶのも束の間、大騒ぎする時間がまずかった。ただいま、ヤクザのような反社会的な教師反之宮が教壇に立つ数学の授業中なのである。

 いつもならここで静まり返るところだが、余程浮かれていたのだろう拳悟と勝の二人は大声を上げて逆らってしまい、それがさらに反之宮の反感を買ってしまうのだった。

 血管をぶち切らんばかりに激高する暴力教師。もう許さん!と彼はステンレス製の定規を武器にして、授業をまともに受けようとしない生徒たちに制裁を加えようとした。

「やべぇ! おい、逃げるぞ!」

「待ちやがれ、このクソガキども! 今日という今日は八つ裂きにしてくれるわ!」

 クラスの落ちこぼれと横暴なる教師の捕り物劇場がここに開幕する。これもすっかりお馴染みの光景だが、教室中が賑々しい笑い声で飽和している中、優等生の由美もクスッと愛らしい微笑を浮かべていた。


* ◇ *

 こういう時ほど時間は瞬く間に流れていくもの。いよいよ本日の三時限目、待ちに待った水泳授業の時間がやってきた。

 二年七組の生徒たちは更衣室に集い、ワイワイ楽しそうに盛り上がって選りすぐりの水着をお披露目する。もちろんそれは男子ではなく女子に限ったことではあるが……。

 真夏を彷彿とさせる炎天下の屋外に集合する生徒たち。誰しもその表情はとても嬉しそうで、お遊戯と言えなくもない水泳授業に喜びもひとしおだったようだ。

「まぁ、今日は暑いし、プールの水温も丁度いいみたいだから適当に水泳授業でも始めちゃって」

 ちょっぴり投げやりな体育教師に見受けられるが、それでも一人の教職者であることに違いはない。プールに入る前に腰洗い槽へ浸かり、身勝手にプールに飛び込んだりしないようごく当たり前の注意を喚起する。

 とはいえ、言うことを聞かない生徒は必ずしもいるもので。腰洗い槽など無視して、シャワーも浴びることなく、鼻歌交じりでプールへと向かうハチャメチャトリオの三人。

 これにはいつも柔和な体育教師もカチンと来たらしく、顔つきこそ穏やかなものの彼らに浴びせるその一言にはたっぷりと毒が混じっていた。

「おーい、おまえら~。俺の話をしっかり聞いておかないと、あとでシズカ先生に報告しちゃうぞ。もう一年、留年したいアホが三人いるってな」

 シズカ――。留年――。彼らハチャメチャトリオにとって、もっとも恐ろしい二つのキーワード。それを惜しげもなく公表されてしまっては汗を飛ばしながらとんぼ返りするしかなかった。

 そんな一幕もあったが、二年七組の生徒たちは消毒し終えてからようやく涼しそうなプールの真ん前まで到着した。そして、体育教師に指示されるがまま隊列をなし全身をほぐす準備体操を始める。

 ここでもやはり、真面目に実践しない生徒がいるもので……。プールに入れる嬉しさに舞い上がるばかりで、手足のストレッチもろくにせず準備運動を適当に済ませようとする拳悟。

 体育教師がこれにツッコミを入れないわけがない。準備運動を怠ると後で痛い目を見ると、彼から専門家らしい忠告を突き付けられても今の拳悟にしたらそんなもの余計なお世話というヤツだ。

「心配しなさんな。俺は体力維持のために近所の女子風呂を覗き回ってるからさ。いちいちストレッチなんてかったるいんだよね」

「準備体操はいいとして、おまえ、その犯罪行為を職員会議にかけるから、そのつもりでな」

「わー、ちょっと待ってくれ! 今のジョーダン、ノリに決まってるじゃん」

 結局、拳悟は怠慢な態度のペナルティーとして、授業開始から十分間プールに入ることを許されず正座させられる運命なのであった。

「それじゃあ、そろそろプールに入ってもいいぞ~。まぁ、時間の許す限り目一杯楽しんでくれや」

 体育教師の許可が下りるなり、生徒たちは一斉に駆け出してプールの中へと飛び込んでいく。雄たけびのような歓声と一緒に、大きな水しぶきが透き通った水色の上を這うように波打った。

 プール最高、水泳授業最高!と、水中ゴーグルを装着した勝が喜びの一声を高らかに上げる。それに続けて拓郎や他の仲間たちも満面の笑みを浮かべながら、バチャバチャとプールの水と心地良く戯れるのだった。

 競泳をする者もいれば、潜水する者もいる。涼しい水を掛け合っている者もいれば、水面にのんびり浮かんでいる者もいる。生徒たちそれぞれがそれぞれの楽しみ方でプールを満喫していた。

 そういう愉快な声が飛び交う中、プールサイドに腰を下ろして日焼けしていない色白な両足をプールの水に浸している一人の少女がいた。

 艶のある黒髪をそのまま伸ばし、白と黒のストライプ模様のワンピースを着た二年七組のヴィーナスである由美。一部のクラスメイトたちは水遊びを止めて、彼女の魅力にすっかり釘付けになっていた。

「おおお、ユミちゃん、かわいいぞぉ!」

「あの水着もバッチリ似合ってるぜ!」

「どの女子においても一番! 満点って感じっスね」

 勝と拓郎、それに勘造はそれはもうニンマリ顔で、プールサイドに佇むチャーミングなマドンナの愛らしさに見惚れている。

 プロポーション百点、水着のセンス九十点、ルックス九十点、そしてお色気七十点。本人の知らないままに、彼らが審査した結果はなかなかの高得点であった。

 澄み切った青空の下、童心に返ったように水遊びに興じている生徒たち。ところが、そこに一人だけ溶け込むことを許されない拳悟はプールサイドの隅っこで熱されたコンクリート床の上に正座させられたままだ。

 そこへやってくるのは、色っぽい素足をハイレグの水着で強調した二年七組の誘惑女子である麻未だ。茶色の髪の毛を濡らしたくないせいか、本日の彼女の髪型はポニーテールだった。

「あらら、ケンちゃん。まだお仕置き中だったんだね。これはこれは、お気の毒」

「ちくしょ~。あの体育教師、いつもはさっさと自習にするくせに今日に限ってずっとここに残ってやがる」

「あの人もさ、教務室でいびきかいて寝てるより、かわいい水着の女の子を眺めていたいんじゃないの?」

 三十台半ばで妻子あるこの体育教師。日頃から刺激のない私生活だからなのか、プールサイドに佇んで目を細めるその後ろ姿は、どことなく儚げな哀愁を感じさせてくれる。

 水と戯れることができず、手持ち無沙汰で意気消沈としている拳悟。そんな彼を哀れに思い、麻未はクスッと不敵に笑って一肌脱いで上げることにした。

「プールに入れない代わりに、魅惑あるあたしの水着ファッションショーでもご覧なさい。ほれ、ほれ」

 麻未が色っぽいポージングを極めて、それこそ一肌を脱ぐようにスタイリッシュなおみ足を露にするも、拳悟のおぼろげな視界には太陽の光を乱反射しているプールの水面しか映っていなかった。

「この俺を誘惑できるものはただ一つ。青く透き通ったプールの水しぶきだけさ……」

「あんたの気持ちはよくわかった。でもさ、このあたしをまるっきり無視するのもちょっとひどくね?」

 拳悟が羨望の眼差しで見つめている先では、涼しい水しぶきと戯れている生徒たちの喧騒があった。

 そこで一際目立っているクラス委員長の勝が、拓郎や勘造といった仲間たちに声を掛けて、プール片道二十五メートルの競泳でもしようと話を持ち掛けていた。

 勝者への賞品は馴染みの喫茶店のチョコレートサンデー。夏にはとてもおいしい、金額にして三百円のご褒美をゲットしようと拓郎と勘造は興奮気味に参加を表明した。

 参加者がこれだけでは少しばかり物足りない。勝はそう感じてか、プールの隅っこで水中散歩を楽しんでいた由美も誘ってみた。

「おーい、ユミちゃん。俺たちと一緒に競泳しないか?」

「え、競泳ですか?」

 思ってもみない勧誘に驚いたのか、キョトンとした顔をしたまま返答に詰まってしまう由美。

 先般の体育祭の活躍でもご承知の通り、運動音痴というわけでもなく水泳も人にバカにされるほど不得意というわけではない彼女だが、なぜか逡巡としてしまうその心情とはいったい……?

「ごめんなさい。わたし、髪の毛を濡らしたくないので競泳はちょっと遠慮しておきます」

 由美はペコリと頭を下げて、乙女らしい言い訳で断りの意思を示した。ただ協調性がないままでは心象が悪いと思ったのか、せめてスターター役として参加させてほしいと申し出るのだった。

 スタート地点に横一列に並んだ競泳の参加者たち。喫茶店ご自慢のチョコレートサンデーを賭けた、熱き男たちの闘いが今まさに始まろうとしていた。

「それじゃあ、よーい……。ドン!」

 由美のスタートの合図に弾かれて、勝たち競泳メンバーがそれぞれ得意の泳法でプールの水を掻き始める。

 順調なスタートダッシュを切ったのは、自慢のクロールを披露する拓郎だった。それを追従するのは、渾身の平泳ぎを繰り出す勘造。そして、ダイナミックなバタフライ泳法の勝がそれに続く。

 どうして勝は出遅れてしまったのだろうか。それはなぜかというと、スタートする際に足で何かを引っ掛けてしまったのだ。

 ――彼が足で引っ掛けたもの、それがプール底にある排水溝の蓋だったことなど当然気付くはずもなかった。

(ちくしょう、さっき足に引っ掛かったのって何だったんだ!?)

 とにかく遅れを取り戻そうと躍起になる勝は、スタート時の違和感が気になりつつも目の前のレースに集中することだけを考えた。

 その頃、スタート地点では異常を知らせる現象が起こっていた。競泳に参加している彼らは知る由もないが、スターター役の由美にはそれがすぐにわかった。

 プールの水面に浮かんでいる謎の渦巻き――。排水溝の蓋が外れていることも知らず、誰かが潜水でもしているのだろうか?と彼女はこの異変にただ首を捻るしかない。

 さて一方の競泳レースがどうなったかというと、スピーディーな泳ぎを見せ付けた拓郎が大差をつけて一位を獲得。残り五メートルで勘造を強引に抜き去った勝が二位に食い込む結果となった。

 勝利という名誉だけではなく、賞品であるチョコレートサンデーも獲得した拓郎はガッツポーズを決め込んで子供のようにはしゃいでいた。

「はっはっは、自分の小遣いを減らさずにデザートが食えるとはまさに最高の贅沢だぜぇ~!」

 あからさまに悔しそうな顔をしている勝。大喜びの拓郎を賞賛しながらも、やはり嫌味っぽい言葉を投げ掛けてしまう。

「しっかし、おまえは速いのう。どこまで食い意地張ってるんだよ」

「何とでも言いやがれ。負け犬の遠吠えなど聞く耳持たん」

 拓郎の見事なまでの泳ぎっぷり。その秘密こそ、ガキと呼ばれている頃に通っていた水泳スクールにあったのだ。ただ、両親から無理やり連れていかれたせいもあり実際のところ三日坊主だったそうだ。

 とはいえ、圧倒的な差をつけて無難に勝利してしまうところが類稀な彼の抜群の運動神経を象徴していると言えなくもない。

 それはさておき、授業が開始してから十分以上は経過したであろうか。仲間がワイワイと騒いでいる中、拳悟はまだプールサイドの片隅で懲罰を受けたままだった。じりじり照り付ける日差しが彼の焦れる気持ちをより一層苛立たしくしていた。

 もう我慢の限界であった。さすがにお仕置きタイムは終わっただろうと、彼は怒気の混じった声で体育教師のことを呼びつける。

 プールににやけ顔を向けていた体育教師は、これ見よがしに面倒くさそうな顔で振り向くと怒り心頭の拳悟のもとへと歩み寄ってきた。

「どうだ、ケンゴ。少しは反省できたかー?」

「もういい加減十分は経っただろう。俺をいつまでほったらかしにするつもりだ!」

 焦燥感をぶちまけるかのごとく体育教師に食って掛かる拳悟。しかしあまり過激にやってしまうと、それこそお仕置きタイムを延長され兼ねないので最小限に食い止めてはいたが……。

 体育教師は物思いに耽って溜め息交じりで熱弁を振るう。これこそが教職という立場さながらの、留年生である落ちこぼれた生徒を思いやる愛のムチなのだと。

 昔ながらの熱血教師を着飾ってはいるものの、それは一歩間違えれば教職という職権を乱用し留年生を目の敵にする体罰と受け取れなくもないだろう。

 これをしっかり体罰と受け止めた拳悟は、感傷に浸って上空を仰いでいる体育教師に冷ややかな視線を送っていた。

「要するにあんたは、俺みたいな落第生をいじめて日頃のストレスを発散したいだけなんだろ?」

「う~ん、当たっているとは公には言わんが、まぁ、まんざらハズレとも言えないな~」

 コホン、コホンと咳払いをする体育教師。授業では温厚かつ柔和なイメージで通していても、隠されている本性はネチネチと生徒をいびる意地悪な性格だったのかも知れない。

 これにはさすがの拳悟も憤りが頂点に達し、仕返しをしてやろうと逆転一発の裏話を打ち明けてしまうのだった。

「風で聞いた噂だけどさ、あんた、奥さんと子供からも嫌われてるらしいな。家に帰っても自分の居場所がベランダだけなんだって? ご不憫なこった」

 ここでしばしの沈黙――。表情こそ穏やかではあったが、体育教師がボソッと漏らした一言は拳悟にとってさらなる戦慄を与えるものであった。

「……おまえ、あと十分ほど休憩な」

「わー、すまない、今のは誰にも内緒にするからもう正座だけは勘弁してくれっ!」

 今更後悔しても時すでに遅し。謝罪の叫び声も空しく、拳悟はあと十分少々プールの端っこで反省する羽目となってしまった。

 彼が泣く泣く正座の継続を余儀なくされている頃、生徒たちのオアシスであったプールでは、謎の渦巻きがどんどん大きくなり不吉を予感させる事態がより鮮明となっていた。

 競泳を終えた勝や拓郎も異変にようやく気付いた。それもそのはずで、胸元まであったはずのプールの水の量が明らかに減っているからだ。

 これはどう考えてもおかしい。クラス委員長の勝がクラスメイト全員に異常がないかどうか調べるよう呼び掛けてみた。すると、渦巻きの下で何かを発見した由美が驚きの声を上げる。

「あー、これを見てください!」

「どーした、ユミちゃん、いったい何があったんだ?」

 由美が人差し指で指し示した青白く揺らめく水の中。そこでは排水溝の蓋が外れており、ものすごい勢いで排水されている現象が誰の目にもわかるよう映っていた。

 勝はそれを見て、先ほどの競泳スタート時の違和感を思い出した。足で勢いよく蹴飛ばしたものが、まさかこの排水溝の蓋だったとは……と。

 これは大変なことになった――!バチャバチャと暴れながら大騒ぎする生徒たち。しかし、暴れたからといって排水がストップするわけでもない。その間にもプールの水はどんどん減っていく。

 この一大事を食い止めようと、勝は大きく息を吸い込むなり渦を巻く排水溝目掛けて素潜りした。

 排水の勢いが想像以上に強かったせいか、水と一緒に排水溝に引き寄せられながらも途中で仲間に手伝ってもらい、数分間の長い格闘の末、彼は何とか重たい蓋を閉じることに成功した。

 おかげさまでプールの排水は止まった。だが残る水位は、呆然としている生徒たちの太もも当たりまで低下していた。

「蓋を閉めたのはいいが、プールの水がほとんどなくなっちまったな」

 勝はバツが悪そうな顔で溜め息を零した。この見るも空しい惨事を招いた張本人だけに、その心中には反省の二文字が見え隠れしていた。

 体育の授業も残り三十分を経過しており、たくさん涼を楽しんだであろう生徒たち。苦笑を浮かべるしかなかったが、誰も勝のことを責めたりすることはなかった。

 そこへハイスピードで駆け込んでくる男子生徒が一人。非常事態が起こったことなど露知らず、ひたむきに涼を求めて胸を躍らせる、お仕置きから解放されたばかりの勇希拳悟その人だ。

「いよいよ来たぜ、いよいよプールに入れる時が来た! おいおい、おめーら、俺様が飛び込むからそこをどけぇ~!」

 拳悟の咆哮が青空を突き破らんばかりにプールサイドに轟く。それはプールの中にいる勝の耳にも否が応でも届いてしまうのだった。

「わ、バカ! ケンゴ、ちょっと待て、早まるんじゃねー!」

「心配すんな! 華麗なる飛び込みをそこで見届けろっ!」

 仲間たちの警告が鳴り響いても、もうその時点で拳悟の体は宙を舞った後だった。彼の頭の中には、プールの中で熱帯魚になる夢しか見えていなかったのだろう。

『バチャ――ゴカッ!』

 水が弾ける音に続く、コンクリートを叩いたような鈍い音。

 念願のプールへ華麗なる飛び込みを披露した拳悟。クラスメイトたちが声を失っている中、彼は魚になることは叶わず、プールの底に串刺しになった十字架と化していた。

 そんな惨めで哀れな仲間を見て、勝はポツリと小さく呟くしかない。

「……だから、やめろと言ったんだ」

 幸い、水のクッションのおかげで一命こそ取り留めた拳悟だったが、プールで戯れるという楽しみを奪われるだけでなく、頭に痛々しい大きなたんこぶができる憂き目に遭ってしまった。

 彼はただ泣き叫び、両手をじたばたさせながらプールの中を走り回るのであった。

「何で俺だけがこんな目に遇うんだ、バカヤローッ!!」


* ◇ *

 勝が後日になって語るに、すっかり拗ねてしまった拳悟を宥めるのに馴染みの喫茶店でチョコレートサンデーをご馳走してもなお、二日間ほどの日数を費やしたそうな。

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