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とある誓い
真実を求め、歴史の頁をめくり続けた。
何枚も、何十枚も、何百枚も。
その中で気付いた。
幾層にも積み重なる紙片は、いずれ風化し、擦り切れ、真実を見失ってしまう。
残った言葉の欠片を拾い集めるだけでは、決して真実には成りえない。そうしてできあがるのは、何者かの主観と偏見をはらんだ模写でしかないのだ。
ではどうすべきか。
記録するのではない。
真実を人の魂に刻むのだ。
想いの熱をもって、深く深く、どんな波に削られようとも決して消えないように、刻み込む。
たとえそれが多くの人間にとって歓迎すべきものではなかったとしても、誰の目にも見えなくなったとしても、この魂に刻まれた真実は、消えはしない。
そして真実は、必ず真理に到達する。
今、その時が来たのだ。




