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不倫盟約  作者: 鍵香美氏
第5章 動乱編
42/57

第42話 2人の男と団

〜『動乱編』開幕 〜

   ◇Side裏切りの男◇

 真っ暗な部屋にろうそくの灯火が燃える。

 そんな暗い雰囲気を出しながら、いつもの俺達の会議は今日も始まった。

 だが、今日はいつもとは雰囲気が少しばかり違った。

 周りの男達は、皆悪巧みをするように笑っている。

 そんな不気味な雰囲気の中、それを打ち破るように、1人の男、"濱島堂馬"は口を開いた。

 

「お前ら、よく集まってくれたな。それじゃあ今から、例の件の作戦会議を始めるぜ」

 

『遂にこの時が来たか!』


『待ちわびたぜ!』


 この声を聞いた瞬間、周りの連中達は歓声の声を上げた。

 ここまで皆が騒ぐのも無理はない。 


 何故ならこれから行われるのは、濱島団を"団から組にする"ための、作戦会議なのだから。


 "暴力団"と"ヤクザ"、一見同じものに聞こえるが、この2つには大きな違いがあり、俺たちは暴力団という名でありながら、世間的な扱いはそこら辺の暴走族と大差がない。

 そう、この地域でヤクザになるためには、1つの条件を満たす必要があるのだから。

 逆にこの1つの条件が満たせなかったため、俺達は今でも暴力団止まりなのだ。

 正直俺は、この状況をいつまでもキープしていたかった。

 だが、それができない状況が出来上がってしまった。


 すべては2年前から俺達に出資を始めた、"来田正成"が原因だ。


 奴のせいで濱島団は、力を持ちすぎてしまい、遂にこの辺の地域でも名前を知らない人はいないほどの組織になってしまった。

 それからは団長も団員も、来田の望むことをすべてやるようになった。

 もともと汚れていた俺達を、更に汚い存在へと陥れてしまったのだ。

 だが、その現状の汚さに気づく人間は、俺を含めて2人ほどしかいなかった。

 そして遂に、来田からの助言で、俺達は組を目指すことになってしまったわけだ。

 本当に馬鹿みたいな話だと俺は思う。

 今だって奴らは、楽しそうに今後の作戦について語っている。

 

 だが、この現状に黙っている俺達ではない。

 "裏切り勢力"の俺達と、"土田さん"が組めば、きっとなんとかなるに違いない。

 そう思いながら俺は、斜め前にいる蓮野に目を向け、互いに頷きあう。

 

 俺達は、濱島団が組になるのを阻止し、そしてまたあの明るくて楽しかったあの頃を取り戻すんだ。


 そのためには、一刻も早く"アイツ"に会わないとな。


 そう思いながら俺は己の拳を握りしめ、退屈な会議の終了を待った。


 

 


 

 

 



 



 

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