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不倫盟約  作者: 鍵香美氏
第4章 潜入編
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第30話 2つ目の盟約

   ◇男の決意◇


 「俺にヤクザになれ?いったいどうしてそんな事を?」


 俺が純粋に思ったことを女に尋ねると、女は顔色を変えずに、理由を語ってくれた。


「まあ困惑する理由もわかるよ。じゃあ1から説明しようか。涼子さん殺害の真犯人、それは来田正成っていう男なんだ。来田は尻尾を中々掴ませてくれなくて私も困ってる。そんな中、最近あることが発覚したんだ。来田は自分の勢力を強めるために、"ヤクザ"や"暴力団"に接近しているらしいんだ」


「つまり、俺に来田正成と接近して欲しいって事か?」


 俺が聞くと女は、頷きながら、


「話が早くて助かるよ」


と言った。


「だがなぜ俺がやる必要がある?別に他のヤクザ事務所と手を組めばいいんじゃないか?」


 俺がふと頭に浮かんだ疑問を聞くと、女は、


「それができたら1番楽だったんだけど、もう日本の有力なヤクザ事務所や暴力団は、みんな来田の勢力圏にあるんだ。来田の莫大な資金力が原因だろうね」


と言われてしまった。


 だから1からヤクザ事務所を作り、その組と来田を接近させる。

 いわば、潜入捜査をしろってことか。

 だが…、


「そんなぽっと出のヤクザ、来田が信用するのか?逆に怪しまれて潰される可能性もあるんじゃないか?」


 俺は、考えられる可能性を女に伝えてみた。

 すると女は、


「信用されるようにすればいいんだよ。長丁場にはなるだろうけど、ヤクザ事務所としての名を日本中に轟かせるんだ。もし潰されそうになっても、私がいれば大丈夫。絶対思い通りにはさせないよ」


と、自信ありげに話してきた。

 いったい何者なんだよこの女は。

 そんな疑問も頭によぎったが、たしかに少しずつ努力していけば、ヤクザ事務所の規模も大きくなるかもしれない。

 そうなれば、俺が望む来田への復讐は可能になるのかもしれない。

 その可能性に希望を持ってしまった俺は、もう立ち止まれなかった。


「そういうことなら良いぜ、その条件を呑んでやる。ヤクザにでもなんでもなってやるよ」


 気づいたらそう言っていた。

 その言葉を聞いた女は、


「ありがとう、君が条件を飲んでくれて嬉しいよ。今ここで盟約は結ばれた。君と私は今から盟約者だ!」


と、力強く言った。

 盟約か…。

 そんな大層なものだとは思わないが、まあいいだろう。

 俺はこれからヤクザになって、来田正成を欺き殺してやる。


 俺の野望は今ここで、この盟約をもって始まってしまった。




 






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