表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却の魔剣士~また、君を見つけるまで~  作者: KUZAKI
第七章 スアレ防衛戦
87/137

第83話 ドラゴンの猛攻

 

 周囲では討ち漏らしたSランクモンスターを冒険者達が討伐している。

 あちこちで激戦が繰り広げられているが、問題は目の前だ。


「火龍、水龍、風龍。そして、魔龍か。よくこうも集められたもんだ」

「ドラゴンを使役するって、すごいね」

「今回は正真正銘のSS級ですね…」

「腕がなるな」


 1体は1番強い気配を放つ魔龍は俺達が相手をする。上手い具合に別れ、S級冒険者達は各々のドラゴンと相対していた。


「ぐあぁ!!!」

「下がれ!下がれ!距離をとって戦え!」

「ドラゴンに勝てるのかよ…」


 左では火龍との戦闘が始まっている。

 やはり、ドラゴン。並大抵なわけが無い。冒険者達は蹂躙されている。集められたS級冒険者は15人、防御魔術を展開していた魔術師も前線に合流した。


「丁度5人ずつか…しかし、どこも劣勢だ…」

「どうする…?魔龍は後にする?」

「いや、それはダメだ。誰かが抑えておかないと魔龍が前に出てしまう」

「どうしましょう…」


 魔龍は特に強力な個体だ。野放しにはできない。それに、この状況をどこかでブエイムとマイズが見ているはずだ。隙を見せたら突かれる。


「SSランクモンスターか…」

「アレク…私は大丈夫だよ」


 俺の考えている事をエマは理解していたみたいだSSランクモンスター…。覚悟を決めるか。


「クリーチャー化した超越級の剣士はランクで言ったらどの辺だと思う」

「え…?えっと、SSランクじゃないですかね…」


 周りを見回す。

 風龍を相手にしているシェリエ達はまだ余裕がありそうだ。あそこは大丈夫だろう。


「魔龍は俺とエマが相手をする。カルマとソフィアは火龍と水龍の所に援護に行ってくれ」

「お、お2人で魔龍を…?」

「ああ、大丈夫だ。なんとかなる」

「ちょっと怖いけど頑張るよ!」

「危険過ぎないか…?」


 やっぱり簡単に了承はしてくれないよな。


「仲間を信じる結果がこの選択だ」

「どういう事ですか…?」


 ソフィアとカルマを見て言った。


「俺とエマで魔龍は抑えておく。早々に終わらして俺達の援護に来てくれ」


 俺の言葉に2人は静かに頷いた。


「ご武運を」

「勢い余って討伐してもいいぞ」


 それぞれの言葉を残し、2人は去った。カルマは火龍へソフィアは水龍へ向かった。


「2人大丈夫かな…?」

「あの2人の実力はそこら辺のS級冒険者より強い。大丈夫だ、なんとかするさ。それより、俺達だ」

「そうだね…」


 俺とエマは目の前で鎮座する8m程の大きさの紫色のドラゴンを見据えた。


「魔龍…魔神龍の眷属…とてつもないプレッシャーだ。まるであの時のキメラを相手にしているようだな」

「うん…あの時は震えて動けなかったけど、今は耐えられる」


 さて、俺とエマは魔龍相手にどこまで出来るだろうか。


 ◆◆◆


「え!?あの2人で魔龍を相手にするの!?それは無謀じゃない!?」


 アレクサンダーの判断を見てブエイムが驚いていた。


「魔龍相手に2人…なにか策があるのでしょうか。エルガノフのクリーチャーもアレクサンダー君単体で倒していますし、油断なりませんね」


 マイズもまた固唾を飲んで戦いを見ていた。


 ◆◆◆


「ねぇ、なんか胸騒ぎがする…」

「なんとも言えねぇ淀んだ感じだな」


 そう話すのは馬車に揺られるシリウスとアレイナだった。ローガンとミーヤも乗っている。


「あとどのくらいで着くんだ?」

「そうですね…2時間ほどでしょうか」


 シリウスの問にミーヤが答えた。


「2時間…走った方が速そうだ。アレイナ急ぐか?」

「うん…なんだか嫌な予感がする。急ごう」


 そう言って2人は馬車から飛び降りた。


「ローガン達はゆっくりこいよ!」

「まぁ、馬車を置いていく訳にもいかんからな…」


 シリウスとアレイナは全速力でスアレに向かった。


「アレク達、大丈夫かな…」

「あいつらならなんとかするだろ」

「会ったことないのにすごい信頼だね」

「前にも言っただろ?なんとなくわかるんだよ。特に忘却のことはな」


 そう言いシリウスは笑う。


「なんでそんなに自信あるの?」

「んー、忘却は俺の親友によく似ている気がする。アレイナから聞いた話でも似ている箇所がいくつもあった。だから、なんとなくわかるんだよ」

「親友?」

「ああ、昔のな」


 少し寂しそうな顔をシリウスはした。それを見たアレイナは何となく察した。もうこの世にはいないのだと。


「アレクのとこに急ご!」

「あんまアレクアレク言うなよ…」

「どうして?」


 シリウスは少し顔を赤くしてそっぽを向いた。


「……妬く」


 アレイナはそんなシリウスを見て笑顔になる。


「そっか!妬いてたんだ!ふーん」

「な、なんだよ…」

「可愛いねシリウス」


 シリウスは更に顔を赤くした。


「急ぐぞ」

「わっ、待って!」


 恥ずかしさを紛らわすようにシリウス全速力で走った。


 ◇◇◇


 〜ミアレス国境付近〜


「くそっ!!どこにもいねぇじゃねぇか!!」


 そう1人で叫ぶのはイグナスだ。


「はぁ…はぁ…落ち着け…落ち着け…」


 イグナスは深呼吸して、冷静に状況を考える。


「俺はエバン校長からギルナンドの話を聞いて、真っ先に向かってきた。ギルナンドと聞いて冷静さを失った俺が馬鹿だったな…。あとでルイーダに謝ろう…」


 荒野に1人佇み、思案に耽る。


「なぜそんな嘘をつく…?エバン校長も偽情報を掴まされてたのか…?……いや、違う…」


 そして、ひとつの結論にたどり着いた。


「嵌められた…!!くそっ!!!」


 イグナスは叫び来た道を戻る。


「エバン校長が内通者だったのか…!冷静に考えればこんな場所にクソ龍が出るはずないだろ!!不安に思ってもテオにサーチ頼めばいい話じゃねぇか!!」


 全速力で来た道を駆け抜けていく。


「まずい…今のイグナシアの戦力じゃ…」


 イグナスは後悔の念に駆られながらひたすら道を走った。


 ◇◇◇


 場面は主戦場に戻る。


「カルマとソフィアでもドラゴン相手だと苦戦してるな」

「ちょっと!よそ見しないで!」


 俺とエマは紙一重で魔龍の攻撃を掻い潜っている。

 やはりドラゴンは別格だ。動きに規則性がなく考えて動いてやがる。

 今しがた俺も腹に風穴開けらる所だった。


「アレク、どうする…?」

「どうするかな…どうやら、カルマとソフィアの援護は期待できなそうだ」


 別に嫌味を言ってるわけじゃない、自分の敵に集中して欲しいだけだ。


「避けるのでやっとだ。爪攻撃とブレスが特に要注意だな」

「うん…体当たりも結構あぶない…」


 さっきからずっと攻めあぐねている。こっちの体力を消耗するだけで、一撃与えられない。


「痛っ…くそっ…」


 爪攻撃を脇腹に掠めてしまった。


「アレク一旦下がって体制整えよう!」

「ああ、そうだな」


 俺とエマは魔龍から距離を取り体制を立て直した。


「ふぅ…凪を使っても躱すのがやっとか…」

「私の強化魔術も簡単に貫くね…」


 分かっていたことだが一筋なわじゃいかないな。


「早くケリをつけよう。魔力は使い切るなよ」

「うん!」


 俺とエマは魔力を解放した。


第83話ご閲覧いただきありがとうございます!


次回をお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ