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忘却の魔剣士~また、君を見つけるまで~  作者: KUZAKI
第六章 モルディオ帝国
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第69話 1番の問題児


アレイナから情報を貰い、すぐにカルマとソフィアの元に行った。

すると、訓練場で2人は瞑想していた。ソフィアはシャルと話してたんじゃなかったっけ?


「カルマ、ソフィア邪魔して悪い、ちょっといいか?」

「ん?ああ」

「はい!」


2人は駆け寄ってきた。


「何してたんだ?」

「瘴気や精神攻撃から守る術を探っていたんだ」

「…見つかったか?」

「ああ、鬼纏を精神に纏ったら問題無さそうだ」


マジかよ…

俺とエマは顔を見合わせ唖然とした。


「いけないことでしたか…?」


ソフィアが心配そうに聞いてきた。


「さすが2人だ…自分で見つけるとは…俺はその話をしたかったんだ!すごいな!」


2人は少し照れてるみたいだ。今回のミスを挽回したかったんだろう。


「その技は『鬼纏:心』と言うらしい。瘴気やあらゆる精神攻撃に耐えるらしい。もうできるのか?」

「いや、あと2日はかかるな」

「たった、2日でできるなら十分だ!とりあえず、俺の部屋に来てくれ」


俺達は俺の部屋に向かった。


◇◇◇


エマ、カルマ、ソフィアは俺の部屋に来た。

そして、もう3人


「わー、4人揃ってると壮観だね」

「な、なぜ僕達は呼ばれたのでしょう…」

「ジーク!シャキッとしなさい!」


シャル、リラ、ジークの3人だ。


「それじゃ、作戦会議を始めようか!」

「「「作戦会議?」」」

「おう、ちょっと3人並んで座ってくれ」


そう言うと3人は横並びに座った。


俺は手をかざし、3人に聖の魔力を送った。


「…瘴気は出ないな、このまま精神を保護しておこう」


俺は3人の精神を聖の魔力で守った、魔力が消滅しないように保護して。

これは一時的な方法だが、それで十分だ。


「今、3人の精神を聖の魔力で保護した。なぜか分かるか?リラ」

「私!?えっとねぇ…」


ついでにリラの指導もやる予定だ。一石二鳥だ。

リラは顎に手を当てうーむと考え出した。


「精神を保護…この前、大人達が話してたこと…ラングさんから聞いたこと…アレクが警戒する相手…」


リラはブツブツと呟くと、こっちを見た。


「パンドラの精神攻撃から身を守る為だね。お姉様とジークも呼んだってことは、お父様の傍で貴族連中を見張ってほしいってことかな?あと、精神保護は一時的なはず…私達の誰かが精神攻撃されたら、アレクに分かるようになってるんだね!」


ちゃんと答えられるみたいだな。


「その通り、さすがリラだな」

「えへへーこのくらい余裕だよ!」


そう言ってリラは無い胸を張った。


「痛っ」

「こら!リラ!なにしてるの!?」

「なんとなくムカついて」


リラに殴られた。

女の勘って怖い…


「ま、まぁ。シャルは陛下をお守りしてくれ。数々の貴族連中が接触者してくるだろう。どんな些細な事でもいい。報告してくれ。頼めるか?」

「はい!もちろんです!国家の危機とあらば!」


シャルは了承してくれた。


「リラは警戒されない程度に情報を集めてくれ。リラの持ち前の頭を使ってな、そういうのは得意だろ?」

「うん!任せて!」

「いいか、絶対踏み込みすぎるな。俺達も情報は集めるから、それとなくでいい」

「はーい!」


よし、最後はジークだ。

なんの役割が来るのかオドオドしてるな。


「ジーク」

「は、はい!」

「ジークは俺と鍛錬だ、半年後まで毎日な」

「え?良いのですか…?」


なにを遠慮してるんだ?


「アレクさんに剣術や魔術を教わりたい人は沢山います…それを僕が独占は…」

「気にするな、俺がジークに教えたい。そう思ったんだ」

「な、なんで僕なんですか…?大臣達からは落ちこぼれと言われています…そんな僕では…」


ジークの自信の無さは大臣達貴族連中のせいだったのか…。


「ジーク、俺はお前に可能性と計り知れない伸び代を感じるぞ」

「え!?僕がですか?」

「ああ、俺を信じろ」


可能性と計り知れない伸び代。

これは励ます為の虚偽ではない。

本当にこのジークバルトには計り知れない程の力を感じる…

将来は俺やカルマと並ぶような超越級の剣士に育つはずだ。


「ジーク自信を持て、アレクの言う事は本当だ。俺もお前に可能性を感じる」

「私もです!」

「わ、私も!」


エマは嘘だな。

カルマとソフィアも気付いたようだ。


「は、はい!頑張ります!」

「ジークすごいね!頑張ってね!」

「アレクにここまで言わすなんて、さすが私達の弟!」


ジークはしっかり家族に愛されている。きっと成長できるだろう。


「さ!話はここまでだ!3人は戻っていいぞ!ただ、絶対に気取られるなよ?」

「「「はい!」」」


3人は元気よく返事をして出ていった。


残るのは俺達4人だ。


「ふぅ…」

「アレク…」

「シッ…」


エマが何かを言い出そうとしたが、エマの口に指を当てて止めた。


〔パチンッ〕

『サイレント』


俺の部屋の扉の前まで防音領域を展開した。


「え?なにかしたんですか?」


ソフィアが困惑している。


「ああ、防音したんだ。俺達の声は扉より外には聞こえない」

「なんで、防音するの?」

「外でおてんば娘が聞いているからだ」

「あ、なるほど…」


扉の外では…


「あれ?声が何も聞こえなくなっちゃった…。なにも話さないのかな?そんな訳ないよね?ちょっと覗くくらい…」


リラはドアノブに手をかけ扉を少し開けた。

ドアの先の光景は…


「はわわ…エ、エマがアレクを押し倒してエッチなチューしてる…。なんでソフィアとカルマは平然と剣の手入れをしてるの…?これが、あの人達の普通なの…?…これ以上は見ちゃダメだよね…部屋に戻ろう…」


防音領域内に戻る。


「あれ?リラが覗いてきたって思ったら顔を真っ赤にしてどっか行ったよ?」

「ああ、出入口には膜を張るように、水魔術をかけてるんだ」

「水魔術?」

「そう、上級水魔術ミラージュの応用『イリュージョン』だ。膜を通して見た俺達の光景は、リラには別の光景に見えるようにしておいた」


どうやら上手くいったみたいだな。


「どんな光景見せたの?」

「それはな…」


俺は見せた光景を説明した。


「リ、リラに見られちゃった…しかも、なんで私がアレクを押し倒してるの…逆でしょ…」

「なんで俺とソフィアはお前達に背を向けて平然と剣の手入れをしてるんだよ」

「そ、そんな意味不明な光景で騙されるのでしょうか」


騙されたからどっか行ったのだろうに。


「意味不明くらいが丁度いいんだよ。この人達はこれが普通なんだって勝手に解釈してくれるから」

「あとで誤解解いてよ!」

「わかってるって…」


俺はエマに押し倒される時はドキッとするけどな…

エマは押し倒されたいのかな?


「でも、なんでこんなことしたの?」

「それは今から説明するよ」


3人は姿勢を正してこっちを向いた。


「今回、リラは失敗する」

「え?どうして?」

「リラは、自分が思ってるより頭は良くない」

「でも、アレクが質問したことしっかり答えれてたけど…」

「ああ、そりゃ答えれるだろ。あちこちにヒントばらまいておいたからな」

「そうなの?」


そう、俺は事前にラング、城の執事、メイド達にそれとなくヒントを与えるよに言っておいたのだ。

だが、城でも誰が信用できるかわからない。あくまで、リラを試す為だと言ってある。


「なるほどです。それで、ヒントをかき集めたリラさんは簡単に答えに辿り着いたってことですね」

「そゆこと、リラは自分の頭に対して過剰な自信を持っている。これはシャルやジークよりも厄介だ。一度鼻っ柱を折っておく必要があるんだ」

「で、でも…危険すぎない…?今回はパンドラも絡んでる…」


確かに危険だが、そうでもしないとリラの悪癖は治らない。


「そうだな、リラは情報収集に首を突っ込みすぎて貴族連中に捕まる。その後は、まぁ、リラほど可愛かったら変態貴族共の慰み物になるだろうな」

「やっぱりやめよう…?リラにもしもがあったら」

「もしもが無いために俺達がいるんだ」


リラには危険な目に合ってもらうが、決して見捨てる訳じゃない。


「いいか?俺達がいる間にどうにかしないといけない。俺達がイグナシアに戻って誰の助けも借りれない状態でリラが下手をしたら、それこそ最悪だ。俺達がいる今のうちにどうにかしないといけない。わかってくれ」

「うん…そうだね、わかった」

「俺達に失敗は許されないぞ、気を引き締めろ」

「「「了解!」」」


〔パチンッ〕

防音領域は解除された。

3人は立ち上がり、部屋を出ようとする。


「エマ、ちょっといいか?」

「どうしたの?」


チラッと後ろを見て、カルマとソフィアが出ていったのを確認した。


「アレク?…わっ…!」


俺はエマの手を引っ張りベッドに押し倒した。


「アレク?どうし…んぐ…!?…んっ…」


そのまま強制的に大人なキスをした。


「ぷはっ…アレク…しちゃダメだよ…?」

「ああ、わかってるよ…」


もう一度した。次は長めに…

しばらくして、口を離す。


「最近、イチャイチャできてなかったから、少しね」

「でも…これ以上は、我慢できなくなっちゃう…」

「もう、やめとく?」


すると、エマは寂しそうな顔をした。


「あと1回だけ…」


そう言って次はエマからしてきた。

幸せな時間だ…。


扉の外では…


扉が少し開いていた。


「えぇ…まだしてるの…?わぁ…さっきより激しい…私と同い年のはずなのに…大人だなぁ…」


既にミラージュは解かれていた。

リラが目にしたのは幻覚ではなく、本物だった。


俺は強靭な精神で理性を保つ。

エマが暴走しかけたが、なんとか宥めた。


◇◇◇


俺はジークを鍛える為に、ジークを迎えに行っている。

リオン皇帝と共に朝のランニングに行っているようだ。ランニングは日課らしく、リオン皇帝の若々しさの秘訣らしい。

皇帝とジークの朝のランニングはキルニアでも名物になっているそうだ。


俺が城の居住区の居間にいると、ランニングからリオン皇帝とジークが帰ってきた。


「おお、アレクよ、おはよう」

「おはようございます、陛下。毎日お疲れ様です」

「なぁに、もう慣れたもんよ!今日はジークのペースがいつもに増して速かったのはアレクとの鍛錬があるからか、納得だ!」

「おはようございます、アレクさん」

「おはよう、ジーク。準備してきな」

「はい!」


ジークは毎朝10kmのランニングを30分ほどで走りきってしまう。それに着いて行く皇帝もやばいが。

リオン皇帝は息も絶え絶えだが、ジークにはまだ余裕がある。

ジークの可能性の1つ、圧倒的なスタミナだ。


「して、アレクよ…ジークは強くなれそうか?」


リオン皇帝がコソッと聞いてきた。


「ご安心ください。私が感じた気配では、ジークの可能性は十分にあります。将来、私やカルマに並ぶ剣士になるでしょう」

「そうか!アレクがそこまで言うほどか!実は俺もジークには才能があると思っていたのだよ。だが、弱気な性格ゆえ、難儀しておる…どうか、ジークを頼むぞ。次の皇帝はジークだからな」

「お任せください。私もジークの成長が楽しみです」


俺がそう言うとリオン皇帝は満面の笑みを浮かべた。


「まぁ!アレクがシャルと結婚するというのなら、次の皇帝はアレクだがな!」

「陛下…」

「冗談だ!ガッハッハッ!!」


冗談なのか…?

顔はガチだったぞ…

あの顔はヨハネス国王もしてた顔だ、ワンチャンない?みたいな。

皇帝は笑いながら去っていった。


「アレクさん!お待たせしました!」

「ああ、行こう」


俺とジークは訓練場に向かった。


第69話ご閲覧いただきありがとうございます!


次話をお楽しみに!

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