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忘却の魔剣士~また、君を見つけるまで~  作者: KUZAKI
第五章 学生最強決定戦
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第58話 学生最強の称号


〜イグナシア闘技場〜


今日は閉会式がある。

俺が死んでしまったことで、どうやら1日持ち越しになったらしい。生きているが。


俺とエマのぶつかり合いで粉々に吹っ飛んだ武舞台も1日で元通り、岩魔術のスペシャリストがいるようだ。


今大会の参加者全員、武舞台の上にいる。

閉会式だけだって言うのに、観客席は満員だ。

まさか、エキシビションマッチがあるとか言わないよな…

俺は一抹の不安を抱え、辺りを見回した。


そう言えば、モルディオのサンズってやつがみあたらないな。

振られたショックで帰ったか?


「なぁエマ、モルディオのサンズってやつが見当たらない…」

「やめて」

「え?」


エマが食い気味に否定してきた。その顔からは怒りが見える。

なにか悪いことをしたのだろうか。


「あいつは死んだよ」

「死んだ?ああ…なるほどね」


エマの手が震えている。昨日のことを思い出したのだろう。

呪術を使用した本人は例外なく死ぬ。

つまり、俺に呪術を使ったのはサンズってことになるな。

しかし、剣士であるサンズがどうして闇魔術の1種である呪術を使えたのか…なぞだ。

すると、武舞台にホグマンが上がった。


『只今より閉会式を行う』


ホグマンが拡声魔術で言った。

会場からは拍手が上がる。


『皆、死力を尽くしよく戦ってくれた。若き力は確実に育ってきていると言えよう。そんな中から勝ち上がり、力を示した者達を表彰しよう』


ホグマンがそう言うと、後ろの出入口から国王ヨハネス・イグナシアが出てきた。

観客席からは歓声があがる。

さすが人望厚き王だな。


『入賞者への表彰は、国王陛下自ら行いたいと仰せつかった。光栄な事であることを自覚し、名を呼ばれた者は前へ出よ』


入賞者?優勝者だけが賞品を貰えるわけじゃないのか?

開会式の話を何も聞いてなかったからわからん。


「何位まで呼ばれるんだ?」


エマにコソッと聞いた。


「開会式聞いてなかったの…?準決勝まで残った人が呼ばれるよ。私達4人だけど」

「賞金は?」

「準優勝の私と、優勝のアレクだけ」

「そうか…ってそれじゃ飯奢らなくていいだろ」

「べー」


エマは舌を出してきた。

なんだよ、それなら美味い飯奢らなくていいじゃん。

騙された…


『まずは、同率第3位。カルマ、ソフィア・イグナシア。前へ』


国王の手から銅メダルが2人の首に掛けられる。


「よく頑張ったね!ハイレベルな試合を見せてもらったよ!もし、2人が違う時代に生まれていたら、優勝は君達だっただろう。これからも励むように!」

「「はい!」」


2人は国王から言葉が贈られていた。

違う時代に生まれていたらか。

確かに、今年のレベルは異常だと常々言われている。

この2人がいるから俺も頑張れるんだけどな。


カルマとソフィアは1歩後ろに下がる。


『準優勝、エマ。前へ』


エマが前に出ると大きな歓声が上がる。


「エマ君は相変わらず大人気だね!君の秘めたるその力はいつか必ずこの国を、そして、アレクサンダー君を救うだろう。……これからもソフィアと良き親友でいてくれ」

「はい!もちろんです!」


国王の手で銀メダルが掛けられる。

ソフィアのことはボソッと言ってたな。

ソフィアにも聞こえていたようで国王を睨んでいる。


エマは1歩後ろに下がった。


『今回の学生最強決定戦。学生最強の称号を手にした優勝者、アレクサンダー。前へ』


割れんばかりの大歓声が上がる。

俺は前に出て、国王の前に行く。


「さすがだ。アレクサンダー君!個人的な事を言わせてもらうと、君が優勝することは目に見えていたよ。君のその強さは、きっと何かを守るためのものなんだろうね。」


そう言って国王はチラッとエマを見た。


「何かを守る、守りたいという想いは人をどこまでも成長させる。いいかい?大いなる力には大いなる責任が宿る。君のその力は、この先ずっと何かを守るためであってくれ」

「はい、誓って」

「あ、あと…ソフィアを嫁に…」

「お父様!」


それより先の言葉はソフィアが遮った。


「は、ははっ…じょ、冗談だよ…いや、君とソフィアの関係性はしっかり聞いてるよ。これからは良き親友であってくれ」

「は、はい」


この国王の顔はワンチャンない?って感じの顔だな。


「それじゃ!気を取り直して、おめでとう!」

「ありがとうございます」


国王の手で金メダルが掛けられる。


『賞金と賞品の授与を行う、エマ、前へ』


俺の横にエマが並んだ。

国王の後ろには金貨が入った麻袋1つと1枚の紙を持った騎士が1人と金貨が入った麻袋1つを持った騎士が並んでいた。


「準決勝のエマ君には5万Gだ!」


国王は後ろの騎士から麻袋を1つ手に取り、エマに渡した。


「好きな物に使っても良し!結婚資金に当てても良しだ!」

「け、結婚資金!?は、はい!」


国王の言葉にエマが顔を真っ赤にしてキョドっている。

国王もエマをからかうのが楽しいようだ。

その気持ちはよくわかる。


「優勝のアレクサンダー君には10万Gだ!」


そう言って騎士からもう1つの麻袋を手に取り、俺に渡した。


「何に使うんだい?」

「そうですね…エマとの結婚資金にしましょう」

「ははっ!さすがアレクサンダー君だ!!」

「もう…」


国王は上機嫌に笑った。

俺の返しが気に入ってくれたようだ。愉快な人だな。


「それと、君にはもう1つ」


後ろの騎士から1枚の紙を手に取り、俺に渡した。


「ここには、所有可能な土地が記されている。好きな場所を選ぶといいよ!土地も割とすぐ売れてしまうから、気に入った場所があれば直ぐにホグマンに報せてくれ」

「はい、エマとゆっくり相談します」

「それがいいね!」


国王は満面の笑みで下がっていった。


『最後に、準決勝に残った上位4名、ソフィア、カルマ、エマ、アレクサンダーをA級中位へ昇格となる。彼らは凄まじい力を示してくれた、当然の昇格だろう。異論がある者は?』


会場からは大歓声が上がる。

武舞台に居る選手達も拍手してくれている。

十分力を見せれたようだ。


俺達はA級中位になった。


『これにて、学生最強決定戦の全日程を終了する』


会場の拍手に包まれ俺達は武舞台を降りた。


「A級中位だって!」

「この間A級上がったばっかだろ」

「早く上がるに越したことはないな」

「そうですね!」


A級中位か、あと2つ上がればS級だ。

確か、A級からS級に上がる時には昇格試験があるんだっけか。

そんなことを話しながら闘技場を後にしようとした。


「アレクサンダー君」


ホグマンが俺を呼び止めた。


「ホグマン会長、どうされました?」


何の用だろうか、まさか、エキシビションマッチ…?


「君に来客だ」

「来客?どなたでしょう?」

「モルディオ帝国現皇帝リオン・モルディオ皇帝陛下だ」


もっとめんどくさいことが待っていた…。


「あの…俺だけですか…?」

「呼ばれたのは君だけだが、パーティーメンバーを連れて来てもいいと仰っていたぞ」

「そ、そうですか。エマ、カルマ、ソフィア…行くよな?」


俺は引き攣った笑顔を向けて半ば強制的に言った。


「「「う、うん…いくよ…」」」


みんなついてきてくれるようだ。良い仲間を持ったな。



第58話ご閲覧いただきありがとうございます!


次話をお楽しみに!

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