第14話 初クエスト
俺、エマ、カルマ、ソフィアの4人は昼食を済ませ、午後からは冒険者協会へ依頼を受けに行く。
その前に、学校で発行してもらっている冒険者カードをイグナスから貰わなければならない。
「アレクサンダー!!」
俺を呼び止める声が聞こえた、ルーカスだ。
「なにかようか?」
エマたちはルーカスを睨んでいる。
「その…さっきは悪かった!!」
思わぬ謝罪に俺達は唖然としていた。
「俺…おまえの才能に嫉妬してしまったんだ。今回の特待生試験で注目を浴び、エキシビションマッチでは剣術まで披露した。頭ではおまえの凄さは分かっていたんだ…でも、止められなかった。本当にすまない…」
「なんも気にしてないよ、せっかく受かったんだ。これから冒険者として楽しくやろーぜ」
「お、おう!俺もっと精進するぜ!」
どうやら、ルーカスは根っからの悪人じゃ無かったみたいだ。今回は感情を抑えきれなかったのか。感情を抑えきれなかった…。まさか。
「ルーカス、おまえ、夢でマイズって男に会わなかったか?」
「ああ、そう言えば会ったなパンドラがなんかとか、新世代がなんかとか詳しくは覚えてないが、アレクサンダーも会ったのか?」
「まぁな、胡散臭い男だ。あんなタイプの奴は無視に限る」
そうだなと言いルーカスは走り去っていった。
やっぱりパンドラが絡んでいたか…
おそらくパンドラの勧誘をルーカスは断ったのだろう。それの腹いせで邪心に瘴気を忍ばせたのか。
「マイズ…確か俺も会ったことあるな。パンドラに入らないかって言われたな。胡散臭かったから断ったが」
「私もです」
「えぇ!?私はないよ!?」
どうやら、カルマとソフィアの元にも来たらしい。あんな胡散臭い格好で、本気で勧誘する気あるのか?2人が暴走しなかったのは邪心が無いからだろう。
エマには遠回しに接触しようとしてたな。
マイズについて考えていたら職員室についた。
「イグナス先生ー。冒険者カードくれ」
昼食途中だったイグナスに遠慮なく話しかけた。
「アレクサンダー、おまえ他の大人には敬語使ってるよな?俺は?」
「先生はなんかタメ口の気分」
「まぁ、いいか」
「「「いいんだっ…!」」」
イグナスは机をゴソゴソと漁り俺達4人の冒険者カードを出した。
E級の冒険者カードだ。
「ざっくり説明するぞー、冒険者協会に入ると右手にクエストボードがある。その中からお前たちの場合はE級以下のクエストを取り受付へカードと一緒に持っていけ。受付したらあとはクエストに書かれていることをやるだけだ、簡単だろー?」
「上のランクは受けることはできないのか?」
「あー?それじゃランクの意味が無いだろ。資格がないやつが挑めば無闇に命を散らすだけだ。在学中でもランクを上げることはできる。ちなみに、歴代だとローガンとシリウスが一緒に卒業した時のA級上位が最高だな」
ローガンは分かるが、シリウス?誰だろう。同級生なのか。
「まぁ、素早くランクを上げたいなら緊急クエストだなー」
「「「「緊急クエスト?」」」」
「読んで字のごとくだ。急を要する案件はランク関係なく受けることができる。俺が参加しようとしたのは4年前のグランドウルフの大量発生だな。まぁ、現場に着いたのに大量ってほどのグランドウルフはいなかったがな。なぜだろうな」
エマたちの視線が痛い。
「緊急クエストは大体年2回ペースで発生するぞ。自分の力量と相談しながら決めることだな」
「了解」
緊急クエストか、楽しみだ。
「あー、そうだ。国王陛下からの勅命だ。『アレクサンダーをリーダーにエマ、カルマ、ソフィアの4人でパーティを結成すること。』だそうだが、問題はなさそうだな」
「おう、俺達は4人でパーティを作るつもりだ」
「よし、なら問題ないな、いってこい」
「「「はい!」」」
職員室を後にして、冒険者協会へ向かう。
「陛下はなんで私たち4人にしたんだろうね?」
「ソフィアが心配だからだろ」
「だな」
「ち、違います!力量が近いもの同士組むのは当然です!」
俺達は3人の言葉に顔を赤くしながらソフィアが否定した。
「まぁ、これから4人でやっていこう!よろしくな」
家を出た時は、エマと2人で冒険者をする予定だった。でも、こういう予想外も悪くない。エマも楽しそうだ。
2人でイチャイチャするのはいつでもできる。よし、がんばろう。
◇◇◇
「お揃いのマント良いですね!」
「えへへっ、そうでしょー、アレクが買ってくれたんだー」
「えぇ!お2人共お似合いです!」
「え!?そんな、お似合いだなんて…照れるなぁ」
エマとソフィアがそんな会話をしている。ソフィアのお似合いは多分マントについてだと思うが、エマが可愛いからいいだろう。
「カルマとソフィアのマントとユサールも同じ色だな」
「そう言えばそうですね!私はカルマさんとお揃いです!」
「え?お、おう。そうだな…」
「カルマ、髪だけじゃなく顔も赤くなってるぞ。」
「う、うるさい!」
カルマは意外と照れ屋さんだな。可愛いヤツめ。からかい甲斐がありそうだ。
そんなこんなで冒険者協会に着いたので、中に入る。説明会の時に1度来たが、受付は酒場と併合してあり、クエスト前後の冒険者達が日夜変わらず飲み明かしている。
「おぉ!?新人冒険者さんのお出ましだー!わはは!」
「見たことあるぞ?特待生でやばい記録出してた4人だぜ!!」
「へっへっ、中々可愛い子がいるじゃねーか、いいなぁ坊主共」
酔っ払いのおっさん達に野次を飛ばされる。まぁ、これも新人冒険者の通過儀礼だな。すると、1人の壮年の冒険者が俺達の前に立った。
「依頼を受けたいんですが。退いてくれませんか?」
「まぁ、そうツンケンするな坊主。お前たちに言っておくことがある」
そう言い頭を鷲掴みにされた。喧嘩を売ってるのか?それとも冒険者同士の暗黙の了解があるのか?
そんなことを思っていたら。壮年の冒険者は掴んだ手で頭を撫でてきた。
「いいかぁ、新人冒険者ってのは最初の依頼が肝心だ。しっかり自分に見合ったクエストにするんだぞ」
「は、はい。ありがとうございます。」
なんだ、ただの良い人か。
「び、びっくりしたねぇ…」
「ああ、ただの良い人だったな」
「早く依頼みましょう!!」
「そうだな」
ソフィアはやる気満々だ。ずっと実践を楽しみにしてたもんな。
「どれどれ…」
【ゴブリン10体討伐クエスト:E級。報酬1体10G】
【ローウルフ10体討伐クエスト:E級。報酬1体20G】
【モンスター生息地での薬草採取:F級。10個納品50G】
【一般地帯での薬草採取:G級。30個納品50G】
「……どれもパッとしないな」
「そうだね…」
「モンスター狩りの方が報酬は良いみたいだな」
「この中だとローウルフが額が良いですね」
正直、このパーティの実力だとゴブリンやローウルフでは手持ち無沙汰だ。
チラッと横のDランクの依頼を見てみる。
【山に住むトロールの討伐:D級。報酬1000G】
【ホブゴブリン10体討伐:D級。報酬1体150G】
D級から報酬がグッと良くなるな。その分危険は多いだろうが。
俺たちがD級の依頼を持っていっても受付が受理しないだろうな。仕方ない。
「じゃ、ローウルフの討伐でいくか」
「はーい」「おう」「了解です!」
それぞれの返事を聞き受付に持っていった。
「E級。アレクサンダーさん、エマさん、カルマさん、ソフィアさん、クエストを受理しました!ご武運を!」
クエストを受理してもらい、冒険者協会を出た。
「西の森だったよな?」
「うん!」
「じゃ、いくか!」
俺とエマは強化魔術を施し走った。カルマとソフィアも横で並走する。
ちなみに、剣士たちはみんな鬼纏という技を習得している。
鬼纏を纏うことによって、身体能力を強化し人間離れした力を発揮する。その本質は強化魔術に近いが、剣士が使うのは生体エネルギーで、自身の強化にのみしか生体エネルギーは使用できない。
「アレクやエマほどの魔術の使い手でも、強化魔術は他とそう変わらないんだな」
「俺達はまだ10歳だぞ。体の作りは10歳の少年少女だからな、強化魔術を強めれば体が壊れてしまう。2人が纏う鬼纏も同じ原理だろ?」
「なるほどな、俺ももう少し強く纏えるが、体が壊れるな」
「アレクさんは鬼纏は使えるのですか?」
ソフィアがなんの気なしに聞いてきた。
「いや、俺は鬼纏はできない。それを習得しようとしても、結局強化魔術に派生してしまう」
「本質は同じ…だもんね?」
エマもミーヤの教えを思い出しているのか。西の森に入ったころ、前方に気配を感じた。
「前方1km先にローウルフの気配だ。準備しとこう」
「なんでわかるの!?」
「……無属性強化魔術の1つ、サーチだよ…ミーヤさんから教わっただろ…」
「そうだっけ?」
ミーヤの教えはどうしたんだ。
エマは元素魔術が大好きで、それ以外は知識としてでしかない。使えはするが、忘れていたんだろう。
訓練だけじゃ、実戦で重宝する魔術は忘れがちだ。
「アレク。どうするんだ?」
カルマが戦闘方法を聞いてきた。
ここはセオリー通りにいこう。
「カルマ、ソフィアは前衛で各個撃破だ、2人で互いをカバーしろ、俺とエマは後衛で2人の援護をする、おまえらの近くに敵は近付かせない、俺達を信じて好きなだけ暴れろ、俺は必要に応じて前衛と後衛どちらも担う、いいな?」
「「「了解!!」」」
返事をして、カルマとソフィアは前方へ飛び出した。
鷹剣流『疾風』
虎剣流『岩斬』
2人は自分の敵を見定め各個撃破していく。2人とも想像以上の技術だ。
カルマはさすが鷹剣流超級だ。剣速がものすごく速い。ソフィアも虎剣流の特性を最大限活かしている。ローウルフの体が真っ二つだ。
「エマ、ソフィアの援護をしてくれ、俺はカルマの援護を」
「任せて!」
2人が敵に集中できるように、2人の周りに群がるウルフを片っ端から魔術で倒していく。
「…手応えねぇのな」
「うーん、これじゃ、パーティの連携練習にもならないよ」
「とりあえずクエストは達成だ」
「受付へ行きましょう!」
あっという間ローウルフ10体を倒してしまった。
超級魔術師2人に超級剣士1人、上級剣士1人。単純なチーム力で言えばB級以上だ。
あまりの手応えの無さにガッカリしながら俺達は冒険者協会へ向かった。
◇◇◇
「え?も、もう?」
「はい、ローウルフ10体討伐完了です。」
驚く受付嬢に俺は討伐証明に切り取ったローウルフの耳を見せた。
クエスト受理からクエスト完了までの時間。大体30分程だった。どうやらE級の冒険者ではありえないスピードらしい。
「あ、あの君たち、ズルはダメですよ?」
「え?討伐証明は見せましたよね?」
「いや、他の冒険者に貰ったとか」
その言葉に酒場にいた冒険者達が反論する。
「おいおい!受付嬢の姉ちゃん!そりゃないぜ!俺達は新人冒険者にゃ優しくするがそこまで甘くはないぞ!」
「そーだ!そーだ!」
「で、でもこの速さはさすがに…会長に聞いてきます!」
思わぬ非難に受付嬢は堪らず冒険者協会の会長の元へ判断を仰ぎにいった。
ここの冒険者達は新人に優しいのか、通りで生暖かい視線だと思った。
しばらくして、白髪の壮年の男性、会長が出てきた。
「新人冒険者諸君、説明会以来だな。会長のホグマンだ。お?これはこれはソフィア王女、ご無沙汰しております」
王女と聞き冒険者協会がザワつく。
「ホグマン会長、ここへは冒険者として来ています。王族扱いはお辞めくださいませ。それに、パーティーリーダーはアレクサンダーです」
「失礼しました。では、アレクサンダー、パーティーメンバーの剣術または魔術の最高等級を教えて貰おう。」
そのままソフィアが対応してくれたら良かったのに。わざわざ俺の顔を立ててくれたのか。
「俺は魔術が各属性超級、剣術が各流派上級。エマが風魔術が超級。カルマが鷹剣流超級。ソフィアが虎剣流上級です」
俺の言葉に再び冒険者協会がザワつく。
「お、おい聞いたか?超級に上級って…」
「まじかよ…B級、いやA級並のパーティじゃねぇか!」
ホグマンが受付嬢の方を向いた。
「だ、そうだ。この実力ならローウルフなんぞ30分で片付けるだろう。君も噂で聞いただろ?今年の冒険者学校の特待生首席と次席の話は」
「え?じゃ、彼らが…」
「うむ、そういうことだ」
そう言うとホグマンはこちらに向き直した。
「すまないな。君たちはまだ若いから疑われてしまう。受付嬢の非礼を許してやってくれ。」
「いえ、気にしていませんよ」
「ならよかった。いくら超級の使い手でもランクを飛び級することはできない。君たちには退屈だろうが、こなしてくれるとありがたい」
「もちろんです」
そう言いホグマンは下がって行った。ドアを開け部屋に入る前に再度こちらを向いた。
「緊急クエストに積極的に参加してくれるとありがたい」
そう言って部屋に入った。緊急クエストの成果によって便宜を図るって意味かな。
「先程は申し訳ありませんでした!クエスト達成報酬をお渡しします!酒場の冒険者の方も安直な発言申し訳ありませんでした!」
「気にすんな嬢ちゃん!この新人がぶっ飛んでるだけだ!」
ぶっ飛んでるって失礼だな。まぁ、褒め言葉として受け取っておこう。
◇◇◇
その後もゴブリンの討伐クエストを達成し、俺たちは帰路についた。
「皆さん超級なのに、私だけ上級…なんだか恥ずかしいです」
そうソフィアが呟いた。
「10歳で上級ってだけで十分やばいと思うぞ?」
「アレクさんが超級魔術を習得したのはいつですか…?」
「7歳だな」
「…」
ソフィアが余計落ち込んでしまった。悪いこと言っただろうか。
エマがジト目でこちらを見る。
「アレクが何言っても皮肉にしかならないよ」
「なっ!俺なりに励ましてだな!」
「カルマはどうやって超級になったの?」
エマは俺の言葉を無視してカルマに聞いた。辛い。
「そうだな、俺からしたらソフィアの実力は超級に限りなく近づいている。」
「そうなの!?」
「ああ、ソフィアはおそらく『超級の壁』に阻まれているのだろう。」
「「超級の壁?」」
俺とエマは初めて聞く単語に首を傾げた。
ソフィアは俯いている、知っているのか。
「ああ、魔術にも同じものがあると聞いているが」
「「???」」
「お、お前たちの才能は、超級の壁すらも易々と超えるのか…」
カルマの話によると、上級から超級へ上がることは中級や上級に比べ難しいらしい。それこそ、才能を持ち、血が滲む鍛錬を欠かさなかったものがそのステージへ上がれると。上級と超級、1階級の差だが天と地ほどの差があるらしい。
ソフィアの手を見ればわかる。彼女は毎日鍛錬を欠かしていない。才能も十分だ。だが、超級には上がれていない。
超級に上がると体を纏う空気がガラッと変わるため、自分も周りもすぐに気づく。
「きっかけ、だろうな」
カルマがそう呟く。
「お前達2人はその圧倒的な才能で容易に超級へ辿り着いたと思うが、一般的には超級へ覚醒するにはなにかきっかけが必要と言われてるんだ。」
「はい…その通りです…なので、今日は初めての実践でした。それがきっかけになればと考えていたのですが…私には才能が無いのでしょうか…」
だから、ソワソワしていたのか。
ソフィアがみるみる落ち込んでいく。ソフィアの剣術を見て才能がないなんて言うやつはいないだろう。
「カルマのきっかけはなんだったんだ?」
「俺は、9歳の時、師匠であるじいさんが心臓の病気で倒れてな、それを治すには特異エリアの薬草が必要だったんだ。上級じゃ太刀打ちできないモンスターが出てきて、俺は死を覚悟したんだ。でも、じいさんの事を諦めきれなくて、気付いたらモンスターを倒し、超級に覚醒していたんだ」
なるほど、今の話だと覚醒に必要なのは、
『決死の覚悟』
王宮で育ったソフィアにとって決死の覚悟は縁遠いものだ。覚醒しなくてもしかたない。だが、決死の覚悟の事をソフィアにそのまま話すと1人で危険地帯に行きかねない。やめておこう。
「まぁ、なんにせよ。ソフィアにはきっかけが必要みたいだが、今の俺たちのランクではきっかけになるような敵はいないだろう。気長に行こうぜ」
「あの…私…足引っ張ってないでしょうか…?」
「何言ってんだ?足引っ張るどころか俺達にはソフィアが居ないと始まらないんだ」
「そうだよ!ソフィアが居なきゃ私泣くからね!」
「カルマの言う通り、ソフィア、お前は俺たちにとって必要不可欠な存在だ。焦る必要はない、お前のペースでやればいい」
3人でソフィアを励ました。
「はい!ありがとうございます!私、頑張ります!皆さんとパーティーになれて幸せです!」
ソフィアにいつもの明るい笑顔が戻った。
◆◆◆
アレクサンダー達の初クエストから2日後。
イグナシア城の地下牢。そこには、特待生試験の不正で投獄されたファルモディア親子がいた。気力を無くした2人に黒い影が忍び寄る。
「夜分遅くに失礼します。私、パンドラという組織のマイズと申します。ファルモディア男爵とその後継の方でよろしいでしょうか?」
「なんだ…コイツいきなり…」
2人の前に現れたのはパンドラのマイズだった。
「お2人は我らが神に選ばれました。その血に流れる武術の才を我が神はお見抜きになられたのでしょう」
「そ、そうだ!私は天才なのだ!あんな田舎のクズになど…」
ギリギリとランガンが歯ぎしりする。
「そうです!貴方の才は計り知れない!なので、我が神が貴方達へプレゼントを用意されました。あぁ!羨ましい」
そう言うとマイズは右手から禍々しい魔力を出した。瘴気だ。
「さぁ、お受け取りください!これで貴方はアレクサンダー君を殺せるでしょう!そして、最愛のエマさんを貴方の手中へと…」
そう言うとマイズはランガンの体内に大量の瘴気を流し込んだ。
「うがぁぁぁあぁぁああ!!!!!!」
「ランガン!?」
ランガンは悶え苦しむ。その姿を見てファルモディア男爵は叫んだ。
マイズはファルモディア男爵にも瘴気を流し込んだ。
「さぁ、貴方もです。こんな薄暗い地下牢へと追いやったあの国王を殺すのです。」
「うわぁぁあぁあぁ!!!!!」
2人の叫び声が収まると、とてつもない魔力が地下を充満した。
「はっはっはっはっ!!!これで!これであのクソムシを殺せる!!!そして!私の誘いを断ったあの女にも!!!」
「国王殺す国王殺す国王殺す国王殺す国王殺す国王殺す国王殺す」
2人は半狂乱気味になりながら牢屋を蹴破り階段を登る。その不気味な笑い声は冒険者学校へと近づいて行った。
「そうです、計り知れないほど、低い…」
マイズは不敵な笑みを浮かべて影へと消えた。
第14話ご閲覧いただきありがとうございます!
次話をお楽しみに!




